脚本:若槻文三       監督:安藤達巳
ゲスト:西沢利明、住吉正博

ストーリー・・・
とある古いビルにある研究所で、水槽のような箱が開いて何かが起き上がった。 
それは、ビルを見回っていた管理人に近づくと、青白い手を伸ばして絞殺した。
さらに、倒れている管理人に近寄った女性がその怪人を見てショック死してしまった。

変死体が続けざまに出たということで、町田警部の依頼で死体の検死を行ったSRIは、首に凍傷があるのを発見した。
また、他にも犯人からはがれたらしい皮膚組織があるのを発見する。
一方、とある民家に青白い顔で体から冷気を上げた、凍りついた男(演:真弓田一夫)が現れた。


表札を見た男は呟く。
「違う…。家の様子も少しずつ何もかも違う。私が今朝家を出てから…すると、中からこの家の主婦が現れた。誰だ、あの女は…?ここは私の家だ」

冷凍人間が近寄ると主婦が悲鳴をあげたため、冷凍人間はその場を立ち去った。
冷凍人間が目覚めた研究所では、加瀬(西沢利明)という科学者が油をまいて火をつけていた。
同じ研究者の島村が止めに入ったが、加瀬はこれでいいと制する。 
管理人が殺されたため、自分たちに手が回るのを恐れての行動だった。 
そして、加瀬は島村にこの資料を整理して完璧な報告書を作れば、自分たちには素晴らしい栄光が待っていると語る。
さらに、新たな実験室で二人は話す。
自分たちのアイディアを試すには他に方法はなかったと。
あの男は、科学が進むための尊い犠牲者だったと。 
すると、警備員がやってきて凍りついた何かを引き剥がすような変な足音を聞いたという。 
島村は、やはり冷凍人間が生きていると怯える。
その実験室を冷凍人間が、窓から覗いていた。


そして冷凍人間は、つい昨日の出来事を思い起こす。

昨日の朝、最初に声をかけてきたのはあの男だ。
駅のベンチで、気分が悪そうにしている男。
その男に加瀬は声をかけた。
「どうです?一日だけ蒸発しませんか?」
加瀬は男にこう持ちかけた。
男は、サラリーマンの一日だけのはかない反抗と、それを承諾したのだった。

窓の外の気配に気づいた島村は、窓の水滴が凍りついているのを見つける。
冷凍人間が生きていると知った加瀬は、実験は成功しているとして捕まえようと企んだ。

その頃、SRIでは牧が液体空気を使って金魚を凍らせて蘇生させる実験を行っていた。
また、大学教授を訪ねた牧は、これからの宇宙開発には人間を冷凍させて蘇生させる技術は必要不可欠だという話を聞く。 
この事から、牧は何者かが冷凍人間を開発しようとしていると考えた。
最初の被害者がビルの管理人と分かり、牧と町田警部は現場に向かう。
しかし、そこはすでに加瀬によって燃やされた後で証拠は残っていなかった。 
話をする二人に迫る影。
それは、戻ってきた冷凍人間だった。
もみ合いの末、冷凍人間は逃げていったが掴まれた牧の腕は青白く変色していた。 


牧は、冷凍人間は実在すると確信する。
翌日、加瀬たちの実験室に冷凍人間が現れた。
しかし、冷凍人間を捕まえようとした島村は反対に殺されてしまう。 
また、冷凍人間が最初に現れた民家に再び現れたという通報が入る。


かけつけた牧らは、以前この家に住んでいた岡崎という人物が7年前に蒸発していた事を知る。 
冷凍人間の正体は、まさにこの岡崎だった。
彼は冷凍冬眠の実験台とされ、7年もの間眠り続けて目を覚まし、かつての自分の家に帰ってきたのだった。
古いビルの研究所では、加瀬が謎の行動をとっていた。
現れた岡崎によく帰ってきたと笑いながら抱きつく。


加瀬は正気を失っていた。岡崎は加瀬のそんな姿を見ると、黙って研究所を後にする。
岡崎がかつての自宅にまたもどってくるだろうと予測した警察とSRIは、そこで網を張る作戦を立てる。 
予想通り現れた岡崎に警察が発砲するが、すでに人間ではなくなった岡崎には通じない。 
やむなく、的矢所長の指示でSRIの熱線銃「サンビーム500」が使用される。


牧が引き金を引くと、岡崎の体は炎上しあっという間に燃え尽きた。
それを見た牧は呟く。
「かわいそうに。あの男は既に7年前に殺されていたんだ、いや7年の間、氷の死刑台で殺され続けていたんだ。狂った死刑執行人のせいで。そしてそれは、今終わったんだ…」
パトカーのサイレンが響く中、炎は収まっていくのだった。

冷凍人間にされた岡崎にとってはわずか一日の間の出来事であり、その心理描写が悲劇を一層引き立てている。
この「科学の進歩」や「人類の進歩」のための尊い犠牲という言葉による悲劇は、現実には報道されないけど存在するのかもしれません。
しかし、絶対にあってはならないことですね。



今日のところは、こんなこったす!