脚本:若槻文三 監督:鈴木俊継
ゲスト:浜村純
ストーリー・・・
SRIの三沢は、学生結婚をした友人、鬼島夫妻の家に招かれていた。2年ぶりの再会に、和やかな雰囲気が流れるが、ふと三沢が家の周りで鬼島の父親を見かけたと話すと、二人の顔色が急に曇る。
鬼島によれば、不仲の父親とは依然、別居していると言う。
三沢はそのまま鬼島家に泊まることになるが、深夜、何者かが就寝中の三沢にナイフを持って襲いかかり、三沢は手の甲を切られてしまう。
その頃、鬼島家の近くを帰宅途中のサラリーマンが、道端にフランス人形が立っているのを見かける。
何気なく通り過ぎ、ふと振り向くと人形はナイフで斬りかかってきた。
そして、サラリーマンは、刺殺されてしまう。
その死体を後に人形はどこかへ歩き去っていった。
事件の捜査を始めた町田警部は、同時刻に三沢が同じようにナイフで負傷していると言う聞き込みを受け、三沢を参考人として呼び出す。
三沢はすぐ解放されるが、その帰り道、またあの人形が三沢の後をつけてきて襲ってくる。
三沢は額に傷を受けただけで、なんとか逃げる。 
その頃、鬼島は気になって、田園調布の父親の家を訪ねる。
鬼島「ちょっと心配になって」
父親「お前が、私のことを? お前に心配されなくたって・・・」
鬼島「分かってますよ。お父さんは特許を幾つも持っている。特許料だって相当な額だ。僕の心配してるのはねえ・・・お父さん、今夜、僕のうちに来ましたね」
父親「お前のうちに? 誰が行くもんか」
鬼島「・・・三沢が刺されたんだ」
父親「三沢が? お前の同級だった・・・」
鬼島「誰かに僕と間違われてね」
父親「私がやったとでも言うのか」
鬼島「お父さん、お父さんはどうして僕がそんなに憎いんだ?」
父親「お前は私は裏切った!」
鬼島「裏切った? 成長した子供が親から離れていくのを、あんたは裏切りだと言うのか!」
会話の途中、家の奥から物音がして、父親は慌てて玄関のドアを閉めて引っ込んでしまう。
父親は小さな子供らしい影をベッドに寝かせ、優しく語りかけるのだった。 
父親「もうやめよう、頼む。お前は私のために、私に代わって・・・お前は私のことだけを考えてくれている。私だってお前だけが・・・だからもうやめるんだよ。二人だけで静かにここで暮らそう。私だってあいつが憎い。しかし・・・」
その傍らには、例の殺人人形が置いてあった。
その小さな影が、人形を使って鬼島を殺そうとしているらしいのだが・・・?
三沢も鬼島の父親が怪しいと睨み、その邸宅の前で張っていた。
と、タクシーで、酔っ払った父親と見知らぬ若い女性が家の前に下りるのが見えた。
女性は、鬼島父が泥酔して倒れているのを親切に送ってくれたらしい。
三沢は鬼島父を家の中へ運び、ついでに彼女の家まで送って行ってあげようと、SRIの車で待つよう指示する。 
だが、車で一服していた女性の前に、あのフランス人形が現れる。
女性は怖くなってその車を運転してひとりで自宅へ帰る。
だが、人形は執拗で、女性の部屋まで上がり込んで、遂には彼女を殺してしまう。
三沢は、死体の第一発見者だったことから、また町田警部から疑いの目で見られる。
SRIは、事件の際に必ずテレビの画像が乱れることをつかんでいた。
その特定の電波の発信源を突き止める。
そこは、やはり鬼島父の屋敷だった。
町田警部と三沢が屋敷を訪れるが、鬼島父は三沢を見るなり、血相を変えて門前払いで中に・・・。
令状を取っていないので引き返すしかない町田警部だったが、直後、中から鬼島父の悲鳴が聞こえた。
急いで中に踏み込むと、殺人人形が鬼島父を殺そうとしていた。
警官が即座に人形を銃で撃つ。 
破壊された人形の頭部には、機械部分が埋まっていた。
何者かによって遠隔操作されていたようだ。
三沢「この人形を操っているのは、あんたじゃないですね?」
町田たちは、奥の部屋にいると思われる「真犯人」を捕らえようとするが、鬼島父が身を以てかばう。
父親「あの子は4つなんだよ、4つの女の子なんだよ、そんな子供に何が出来るんだ。やめてくれ・・・」
町田と三沢は鬼島父を押しのけて、その部屋に入り、ベッドを覗き込む。
彼らが見たものは・・・言葉もなく目を見交わす町田と三沢。
やがて、その人形の顔が青く染まり、ぶつぶつと喋りだす。
「老人を捨てた老人の子供たちを殺さなきゃ・・・私は大人よ。いつまでも子供扱いされちゃかなわないわ・・・私も老人を捨てて独立するの・・・だから私も殺さなきゃ」
「それ」は、突然ベッドから飛び上がり、窓を突き破って地面に落下、青い血を流しながら死んでしまった。
鬼島父「私があれほど言ったのに、私とお前だけの二人きりの生活もこれで・・・」 
ラスト、事件について語り合うSRIと町田警部。
的矢「なあ町やん、現代ほど、老人にとって孤独な時代はなかったかもしれないよ。だから決して裏切らない、そんなつもりで、あの老人はあれを作って孤独を忘れようとしたんだ。結局はあれも老人を捨てたがね」
町田「老人がフッと抱いた殺意をあれは老人に代わって実行し続けたんだ」
的矢「だが、あれ自身、いつの間にか老人を捨てようとしていた・・・」
こうして事件は未知の部分を残したまま終わった。
親子の断絶、老人の孤独などを核心に秘めた奥深いエピソードでした。
的矢所長が、現代ほど老人にとっては孤独な時代はないと語るが、それはそのまま現代を表しているようでもあります。
野村の、世の中がおかしくなるとみんなあれになるというセリフがあります。
私は「あれ」=「自分勝手」または「利己主義」ということではないかと思います。
実の親子であっても簡単に傷つけたり殺したりする今の世の中には、「あれ」が溢れているのかもしれません。
今や逆ピラミッド型の人口比率になってしまった日本。
私も他人事ではなく、自らも老いていく過程にいますが・・・ほんと考えさせられるエピソードだと思います。
それ以前に、めちゃくちゃ怖い話です。
そしてエンディングですが、
実は、これと同じ人形が我が実家にもありました。
「こんにちは赤ちゃん」のオルゴール音で、人形がクネクネと動きます。
今から考えると、少々不気味ですよね(笑)
今日のところは、こんなこったす!