お天気というものは、なかなか当たらないものやそうでございますね。
天気予報というのが毎日、テレビでもラジオでも流されているわけでございますが、新聞にも載っておりますが、なかなか当たらんのやそうですね。  
今のこの科学的な装置をもっていたしましても、六割か六割五分くらいしか当たらんのやそうでございます、天気予報はね。
面白いもんでございますね。
なんじゃかんじゃ、あの装置使こてやってるんですが、六割か六割半やそうです。  
単純に考えてみましてもお天気と雨ですから、毎日「お天気じゃ、お天気 じゃ、お天気じゃ」ば~っかり言うてても五割は当たる勘定でしょ、それをその「お天気じゃ、雨じゃ、ちょっと曇りじゃ、雪が降るぞ」とか言うて、 じょ~ずに避けて歩いてるようなところがあるわけでございますが、面白いもんでございますね。
なぜこのようにお天気というものが当たらないか、ということに関する考察でございますけれども、あの、故無きではないのでございます。
これはなぜかと申しますと、お天気のほうが我々人間よりもこの、歴史が古いわけでございます。  
我々人間偉そうに言うてますけれど、ホンこないだからやそうですね。
こないだも中国のほうで、何千年か前の少女のミイラが出てきた、とか何とか言うてましたが、それでも何千年か、何万年かくらいですわねぇ。  
地球ができましたのはもっともっと、も~っと前ですからな。
一番初め、 地球というものは、まあどういうわけで地球ができたのか、宇宙の成り立ちから考えると、もっともっと、も~っと向こうなんでしょーけども、まあとりあえず地球みたいなもんがでけましてですね、はじめは全辺水で覆われていたそうです、どこもここもね。   
The earth is covered with water. 
全部覆われていたわけでございます。 
そのときにその、これも何がどうなりましたのか、なんかの原因となんかの原因とが、因と因あるいは因と縁が結びついて、初めて生物のようなものが生まれ出たわけですわ、その水中でね。  
で、今で言いますと、いわばアメーバーのようなものでしょうなあ、単細胞生物ちゅうか、こんな顔したヤツがどういうわけなのか、ポッとでけたわけでしょうねえ。


それがこう、ウロウロ・ウロウロ水の中をば「こんにちわ」 とも言わずにウロウロしてたんでしょう。  
そのうちにその、いわゆる生命の意欲というもんがあって、このアメーバー が「そうしてやろう」というような気はもちろんありません、アメーバーには自覚がありませんからな。  
そらないんですが、生命の意欲でございますね、これが、こんなアメーバーみたいなブサイクな泳ぎようやなしに、もっとスマートに「泳ぎたい、泳ぎたい」というような、いわゆる生命の意欲ですね。  
すると、こんなヤツがちょっとこんなことなったり、こんなことなったりしながら、こう変わっていったのが、今で言うお魚でございますわねぇ。
上手に、こんなとこがあって、こんなとこがでけて、こう泳げるようになったわけです。  
お魚でございますね。
で、そのうちに、全辺水で覆われていた部分に少しずつ水が減って、いわゆる陸地ができ始めたわけですね。
するとその、それもお魚が「よし、わたしが陸へ上がってやろう」思たわけやない、生命の意 欲がそうさしたんですが「おッ、陸があるな」ちゅうなもんですね、お魚のうちの、誰や知りませんけど一匹がね。  
ちょっとこう出てみる、ところがエラ呼吸でしかありませんから、空気はしんどいですから「あッ、しんどい」言うて水に戻るんですけど、でも生命の意欲がそれではやめませんからな「もっぺん、上がれ」ちゅうなもんですわなぁ。  
「もっぺん、上がってみようかな。やっぱりしんどい」繰り返し繰り返し、 陸と水とをウロウロしている段階が残ってるのが、いわゆる両生類というやつでしょうね、今で言いますところのね。
カメやとかカエルやとかがそうですかな。
細かいとこは間違いがあるかも分かりません。 
ウロウロして、そのうちに完全に水と「離れちゃった」というようなものがでけますわねえ。
これが爬虫類と言われているもんですわなあ。今で言うトカゲやとか、イモリやとか、ヘビやとかもそうですかな。  
それのまぁすごく、ドンドンと大きくなったのが恐竜とか、翼竜とかいうもんですね。ダイダラザウルスとか、こんなようなもん「ドラえもんの恐竜退治」なんかに出てくる、あのようなもんです。  
で、その、いわゆる爬虫類の中から、上を見ますと空がありますのでね「あ、空があるなぁ」ちゅうなもんで「ちょっと、飛んでみようかな」なんて、それも生命の意欲がそうさすわけですね。  
手をばこんなことをする「飛べないな」またバタバタ、こうしてるうち に、一匹ではとてもダメでございますけども「俺がやったからお前もやれ」 ちゅうな申し送りがあってですね、また子供が「わっかりました」言うて、バタバタ。  


 二代ではあきませんので孫に「お前もやれ」「わっかりました」バタバタ、こんなことばっかりしてるうちに「あ、飛んだぁ~」飛ぶんですね。
これが いわゆる鳥です、鳥類なわけです。
はじめはもうちょっと飛んで、ドタ~ッ と落ちたりなんかしてますが、そのうち飛べるようになる。  
で、そう思わない一群もあったわけで、そこらウロウロ・ウロウロしている、そのうちに寒冷期がくると、寒さに耐えるために毛が生えてくるように なる、これがいわゆるケモノと呼ばれる哺乳類ですわねぇ。
それになったわけです、まぁウシやとかウマやとか、ライオンとかヒョウとかゾウとかみなそうです。  
そのうちの中の、森の中で暮らすよぉになるヤツがおる。
これがおサルさんですわね。
こう枝やなんかに掴まってましたら、手がブランと上になって体が立つようなことになります。  
そうこうしてるうちに、森林生活をおくってるもんの中から追い出されたヤツが「お前はもう森林には住ませない、あっちへ行け」草原へ追いやられた、それが人間の始まりですわねぇ。
少し、枝持って立ってられたわけですから「あ~、立った、立った」
この へんからが人間ですわね。
そこが大きいわけで、なぜかと言うと、四つ這いになってますというと、頭を首だけで支えてますので、ある程度以上大きくなると「重たい、重たい」と下がってしまうわけですね。
それがこう立つことによって体全体で頭を支えることができるようになったんで脳味噌が大きくなったというか、頭がしっかりしてきた、それで知恵というものができてきた、手が空いているから道具を使うようになった、火を発明した。  
というんで、人間になったという、まぁザッとした、誤りがあるかも 知れません、こらもう大学の話ではありませんので、噺家が言うてることですから誤りがあるかも分かりませんけども、ザーッとしたとこそれらしいことなんですね。  
事ほど左様に、昔から人間のように思てますが、なかなかそやない。
まず 地球だけがあって、水で覆われてて、そんなんがでけて、魚類になり、両生類から爬虫類になり、哺乳類になりおサルさんができ、そしてやっとこないだから人間をやっているわけです、人間がね。  
地球の歴史から考えると、こないだです、昨日、ホンさっきですわ、いわばね。
その間、お天気のほうは、もうズーッとお天気ですからな「晴れじゃ、 雨じゃ、晴れじゃ、ちょっと曇りじゃ」ズーッとやっているわけですから、 そら歴史が違うわけです。  
ですから人間が当てようなんてね「当たるもんか」歴史の違いでございま すね。
こないだ気象庁の職員さんが皆寄ってするソフトボール大会が雨で順延になったそうでございます。  
まことに面白い話がございますが、まあなんですなぁ、お天気というものも面白いもんでございまして、なかなか人間が当てたりなんかするようなことがでけないのが、お天気やそうでございますが・・・。


桂枝雀さんの「雨乞源兵衛」の枕で語られた話です。




今日のところは、こんなこったす!