どろろ   (1969)


手塚治虫原作の『どろろ』は戦国時代を舞台に運命的な出会いをした2人が妖怪を退治し放浪する物語です。
当時、テレビはほぼカラー化してましたが、この『どろろ』についてはモノクロで制作されました。
妖怪が登場するためか、おどろおどろしい雰囲気に包まれています。
また、劇中のセリフが現在では差別的とされるものが多いため、またモノクロ製作だったために再放送の機会にも恵まれませんでした。
かくいう私も、本放送やテレビで見た記憶はありません。
ただ、全話をDVDなどで見ています。

まずは奇妙な歌詞が印象的なオープニングから・・・


それでは、登場人物を紹介しましょう。

百鬼丸(野沢那智)
父・醍醐景光の天下取りの野望の犠牲となり、身体を48の魔物に取られて生まれた。
捨てられたが、寿光という医者に拾われて作られた身体で成長した。
その後、身体を奪った一匹の魔物を倒せば、本物の身体が一つ戻ってくる。

どろろ(松島みのり)
野盗火袋とお自夜の間に生まれた子供。
両親が亡くなったあとは、盗みで生活していた。
百鬼丸の腕に付いている刀を狙って百鬼丸とともに旅をする。

醍醐景光(納谷悟朗)
天下取りの野望のために、百鬼丸の身体を魔物に与えた。


しかし、最終回「最後の妖怪」では・・・。

一揆を控えている村で、どろろと百鬼丸は別れる。
その後、一年間で百鬼丸は次々に魔物を倒していた。
一方、どろろは一揆に加勢していた。
百姓たちは新しい領主となった醍醐景光により、次々に殺されていた。

47匹目の妖怪・鵺を倒し、どろろのいる村にたどりついた百鬼丸は、荒れ果てた村を見て愕然とする。

士官をしたいと父・景光の館に現れた百鬼丸に、士官をしたいのならば、どろろを斬れと命ずる。
母である縫いの方は、百鬼丸を庇って景光に斬られる。
その現実に錯乱した景光は、再び魔神たちに救いを求める。
しかし、魔神たちは嘲笑うだけだった。

すでに景光は、妖怪と化していたのだった。
涙ながらに父を斬る百鬼丸。

「俺の父は、寿光という医者一人でいいんだ!」

百鬼丸は、全ての魔神を倒した。

どろろには女には刀は必要ないと言い残して、一人で旅立っていった。


さて、48匹の魔物を倒した百鬼丸が最後に手に入れたものは、何だったんだろう?
何も語られないまま、物語は終わります。
もしかしたら、後悔ということなのか?
父を斬らねばならなかった運命の残酷さは、悲しいという簡単な気持ちではなく、戦国時代という特殊な時代を必死になって生き抜く様を通して、戦争という愚かな行為を描いていたのではなかったか?
たった一人の悲しみ、誰にも理解できない悲しみの心・・・これこそが最後に百鬼丸が手に入れたものではないだろうか?


それでは、今夜はこれでおやすみなさい!