142「水族館」
久しぶりの繁華街は暑かった。
僕は息苦しくなりファーストフード店に逃げ込んだ。
一番端の席に座り、味のしない食べ物をつついている。
ガラス一枚隔てた街は賑やかで美しく揺らいでいる。
着飾った人々がまるで花のように、
まるで熱帯魚のように流れて行く。
あそこは僕の住める世界ではない。
あの人達と僕はヒトと魚ぐらいの違いがあるんだろう。
店内がざわついた。
若者達が沢山入ってきたようだ。
とたんに息苦しくなった。
そうか。
魚は僕だ。醜い深海魚は僕だ。
独り分厚いガラスに囲まれて、
冷たい孤独の水中に沈んでいるのは僕だ。
ここは僕の場所ではない。
立ち上がりトレーの中身をダストボックスにぶちまけた。
饐えた魚の臭いを感じたが、きっと気のせいなんだろう。
1 名前:('A`) :2006/08/08(火) 06:03:26 0