Eストリートバンドでの地味にアコギを弾いているだけのパティでは想像もつかないだろうが、パティ・スキャルファという女性は実に才能豊かなアーティストだ。それは寡黙な彼女の作品群を聴いて行けば誰でも感じる事が出来ると思うが、カントリーやブルースを基調としたアメリカ古典音楽の要素を多分に取り入れながらも、よりポップで大衆性に秀でている至ってポピュラリティの高い楽曲に仕上げている点に注目される。

論より証拠に基本それらの音楽が苦手な自分でもすんなりと受け入れる事が出来るのだから、よほど彼女の音楽は聴き手に向かって開かれた音楽なのであろう。そして彼女の紡ぎだす一見静かな音楽の中に情熱的で饒舌な、間違っても付け焼刃では鳴らす事の出来無い音楽家としての造詣の深さと天賦の才が垣間見えるのだ。

ボスの妻であり二人の間に出来た子供たちの母親でもあり、Eストリートバンドのメンバーでもあるパティには、それほど自由な時間は無い事は理解できる。だからパティのソロアルバムが現在まで僅か3枚に留まっているのは仕方がないことなのである。

しかしその3枚のアルバムのどれもこれもが実に穏やかでいて素晴らしい名曲の数々であることに驚嘆しない訳にはいかない。寡黙で饒舌なパティのソロアルバム、どれを聴いても外れがない見事な名作揃いだと断言しよう。





アメリカンロックは嫌いだ。なにやらカントリー臭い音楽が体質的に合わない。だがボスとパティの音楽は例えそんな香りが漂ってきてもまったく気にならないくらい素敵なのだ。