HONDA中国工場は労働者に24%の賃上げ提案をした。
対する労組側はなんと53%の賃上げ要求をしていたわけで、そこにものすごい乖離がある。
グローバル化なるもので調達コストを安くする、工賃を安く上げるということを世界中のあちらこちらで展開しているわけであるが、「成長著しい」中国では当たり前にインフレーションが進み、賃上げ要求がでてくるのは当然である。
それがモノの価格に反映されるのは当然なわけで、経済とはそうしたところでも動いている。
いわゆる中国市場が成長することは悪いことではない。
ただし全ての「中国」とやらに暮らす人たちに恩恵をもたらすものであれば・・・であるが、どうみてもそうではなく中国内の格差は拡大する一方である。
そのいびつな状態を解消する方向に動くのであれば望ましいとは思うのだが、公称13億の国民が全て日本人の一般家庭並みの生活力を持つには、今を基準としてもとてつもない経済力が必要なわけで、少し現実的ではないと考える。
・・・と中国内の愚痴はおいといて・・・
インフレーションが進む中では当然ながら賃上げ要求がなされるわけで、賃上げをしてモノの値段があがれば、中国国内での生産というのはむしろ衰退してくるのが当たり前ということになる。
そうすれば今度は生産拠点としての中国というのは廃れてくるわけで、逆に単純労働者の工賃が高くなった中国に魅力がなくなったグローバル企業は別の拠点へと移るのは至極当然のこととなる。
結果として悪循環でしかないわけだが、まあそれでも日本や米国、欧州よりは工賃が低い現状においては生産拠点としては最低でも現状維持となる可能性もあるわけだが、それでは中国の成長は当然ながら鈍るということとなる。
そうしたことがわずか数年のうちに来ることははっきりしているわけなのだが、グローバル化企業というのは一瞬の安さに飛びつきやすく、目標をそこにあわせて十年後の未来とかを描いているのではないかという気がする。
目標到達のためにコストを設定し、そのコストに見合う土地に生産拠点を移すということを繰り返しているだけのことであり、魅力がなくなれば撤退を・・・という繰り返しになるのではないだろうか。
もちろんグローバル化企業のよさというのもあるのだろうが、その国に腰をすえて「育ててやろう」なんて感じは到底ないわけで、市場を支配さえすればこっちのものだというようなものが見え隠れしている(これは私の主観であるのは当然なのだが)。
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還って、日本に生産拠点を持つ日本のグローバル企業は、どこぞの経済団体では「日本から逃げ出す」のようなことを繰り返し言い放ち、日本に企業を呼び込むために法人税の減税を言っている。
そもそも生産拠点としては既に向いていない日本に、市場経済だけを捉えているグローバル企業がやってきたとしても、それは市場をかき回す目的しかないのは明白で、日本の経済に役立つことは少ないと考える。
むしろ日本を生産拠点としても考え、また頭脳的労働やサービス的労働を増やし、少なくとも今以上の雇用を目指しながらも軽いインフレーションを続けられる経済を考える必要があるのではないかと思われる。
現在のいわゆるデフレーション経済においては日々の生活を考えるのがやっとという人も多くいるわけで、そんな中でモノの価値を叫んでも安いものに飛びつくのはやむを得ない。
それが自分の首をさらに絞めているということに例え気がついていたとしても、生きていくのに必死な場合は当然ながら安いものに飛びついてしまうのだ。
それはやむを得ないことなのであるが、大規模小売店が「安く売ることしか考えていない」ことはたいへんに危険なことである。
それは同時に企業が自分の首を絞めることにつながっていることを知っているはずなのに、安いことだけをさもよいことのように宣伝することは、企業の生命を自ら削っているといって過言ではない。
どうするかといえば、付加価値を認められるだけの最低限の経済力を労働者に持たせるべきなのであって、そのためにはそれぞれの企業で努力をするべきなのだと考える。
日本をたてなおすためには、そこに痛みを伴う場合がある。
政治主導でこの経済を立て直すことは不可能であり、政治と経済が密接に協力をし、そこに労働者という消費者が合わさってよいものを作り上げるしかない。