毛虫イヤーンの巻 | RX-8不定期報告書

毛虫イヤーンの巻

さて、先日久しぶりにヨメレンジャーが私に話し掛けてきた。
最近のヨメレンジャーはチビレンジャーと二人で


チ「あー、うー、あぅー」
嫁「ウンウン、あー、あー、うー」


などと、暗号で私を仲間ハズレにしている。
私なりにこの会話を解釈すると、


チ「おいヨメレンジャー、あの車、暑いからどうにかしてくれ」
嫁「ウンウン、そうだね、そろそろ売っちゃおうね、あんな車」


多分、こんな感じだろう。
顔はニコニコしているが、きっと、こんな恐ろしい会話をしているに違いない。


嫁「そういえばさー、この間フロントガラスに毛虫が落ちてきてさー」
私「なんで?毛虫?」
嫁「よくわからないけど、落ちてきた」
私「で?」
嫁「仕方ないから、家に帰って来てから棒で落としてたの」
私「ウン」
嫁「そしたら、フロントガラスの下の穴に入っちゃってさー」
私「ウン」
嫁「探そうと思ったんだけど、面倒クサイからそのままにしちゃった」
私「マジ?」
嫁「マジ」


私は平静を装いながらも、背筋が凍りついた。
なんてったって、私がこの世で1番苦手なのが、この”毛虫”。
あの、趣味の悪い柄模様とグロテスクな動きがどうにもダメだ。
この文章を書いてる時も、私の体に毛虫がついているんじゃないかと思って
体中がモサモサしてくる始末だ。


参った・・・。
なんでこんな重大なコトをアッケラカンと言うのだ。


私「あの、私が毛虫が嫌いなコト知ってるよね?」
嫁「ウン、でもいつも、毛虫見つけても騒がないから平気かなーって」


違う、違うぞヨメレンジャー。
完全に解釈が間違っている。
アレは騒がないんじゃなくて、動けないのだ・・・。
毛虫を見た瞬間、体が硬直して何もできなくなるのだ・・・。

お前が毛虫を見つけてキャーキャー騒いでる間に、
私の魂は宇宙へと旅立っているのだ。


私「まぁ、いいや、この話は聞かなかったコトにする」
嫁「でもさー、運転してる時、クーラーの隙間からニョロニョロって出てきたら嫌だよね~」
私「・・・」


一瞬、私はその様子を想像して宇宙に旅立った後、冷静に考えてみた。
果たして、フロントガラスの下の穴から入って空調出口に到達するのだろうか?
う~ん、わからん・・・。
車オンチの私にはまったくもって難しい話だ・・・。


私「そんな、恐ろしいコトを言うな」
嫁「だって~~~」
私「とりあえず、この話はナシ!無かったコトにする!」
嫁「まぁ、ソレでイイんならイイけどさ」
私「うむ」
嫁「ニョロニョロって出て来ても、あたしのせいにしないでね」
私「・・・」(宇宙旅行中・・・)
嫁「ウニョウニョって、シートの隙間から出て来ても」
私「・・・」(宇宙旅行中・・・)
嫁「グチュ~って踏み潰したりしないでね」

私「ウルサイ!! いい加減にしろ!!」
嫁「だって~~~」
私「もういい! クーラーの穴塞いでくる」
嫁「えっ、マジ?」
私「マジ」
嫁「そんなコトしたら、私達家族、熱中症で死んじゃうよ」
私「毛虫が出てくるよりマシだ」
嫁「ナニ言ってるのよ? 毛虫の方がマシでしょ?」
私「イヤ、熱中症の方がマシだ」
嫁「バカじゃないの? そもそもあの車が暑いからいけないんでしょ」
私「・・・」
嫁「あの車があんな暑いなんて知らなかったわ」
私「・・・」
嫁「詐欺よ詐欺、アツアツ詐欺だわ」


アツアツ詐欺って・・・。
ヒドイ言われようだ。
私のコトをボロクソに言うのは構わんが、
エイトのコトを悪く言うのは許さん、ヨメレンジャーめ。
まぁ、面と向かって文句は言えないが・・・。


私「もういい! とにかくこれ以上は考えない」
嫁「なんでよ」
私「考えたってしょうがないだろ、だから考えない」
嫁「あなたらしい現実逃避ね、まぁいいわ」


辛い・・・、辛いぞ・・・、大好きなエイトに大嫌いな毛虫が
ついているなんて・・・。
ボインのお姉ちゃんに告白されたけど、実はおかまだった位ショックだ・・・。


それから二週間後、なるべくエイトに乗らないようにしていた私に
ヨメレンジャーが笑顔で話し掛けてきた。


嫁「ねー、あの毛虫覚えてる?」
私「勿論、片時も忘れなかったさ・・・」
嫁「実はねー、いたのよ」
私「マジ?何処に?」
嫁「ドアの内側」
私「・・・」

私はぞーっと背筋が凍って、遠い宇宙の彼方へ飛んでいった。

嫁「でもね、違うの、聞いて、聞いて!」
私「ウン・・・」
嫁「ビックリしたコトに蛾になってたのよ~!」
私「・・・」
嫁「ねっ、凄いでしょ? コレって?」
私「・・・」


果たして、そんなコトってあるのだろうか?
エイトの内部で毛虫が蛾になるって・・・。
多分、世界中のエイトオーナーで私だけだろう。
それとも、ヨメレンジャーがちょっと育児ノイローゼなんだろうか・・・。


拝啓チビレンジャー殿。
夜中に泣いてばかりいないで、少しヨメレンジャーを寝かせてあげなさい。