小さなビーズをつなげていて、その中心となる、

少し大きなガラス玉が欲しくなってきた。

なぜ惹かれるのかわからない。

 



あるきっかけで、それを制作する道具を手にした。

その道具は知識のない素人には使いこなせないものだった。

この道具があるのなら、

私は広い世界へ行ける。

なぜそう感じたのかわからないけど、

その道具を使いこなければいけない使命を感じた。

今は便利な時代だね。

検索すればその道具の使い方を教えてくれる教室に出会える。

月に一回、平日午前中2時間の教室を見つけた。

モラ男の許しが出そうもない時間帯。

先の体力をつけるための習い事は、

夕方、モラ男の事業の退社後だから文句も出なかった。

平日…

モラ男に許しを乞う。

道具は、

モラ男の父から形見分けで譲り受けたのだった。

モラ男は最初は大きな反対はしなかった。

なぜなら、私はその教室に姑も誘ったからだった。

遺品となった道具は嫁姑の仲を取り持つ。

と私は心底考え抜いたあらすじで、モラ男を反対させなかった。

半年ほど通った所で、姑は腕が痛いからと退会した。

私は強力な切り札を無くした。

それまで黙っていたモラ男が徐々に本性を出してきた。

「◯◯日は教室だから。」

と前もって伝えているのに!

当時の朝、モラ男が出勤する直前に、

「午前中にやれ」

と事務仕事を命令するのだ。

「教室終わってから昼頃じゃダメなの?」

と冷静に聞くが、

「午前中」

を譲らない。

腹私が

煮えくりかえる思いって、こんなんだろうな。

月に一度、たった2時間を許さないモラ男。

休んで事業の仕事をした。

その日、その時間にしなければいけない事務仕事は、

5分とかからない仕事。

モラ男覚えれば済む仕事。


珍しく何も言わない日、

今日は思う存分楽しむ!

と心ウキウキで出かけ1時間ほど過ぎた時、

着信。

手が離せずそのままにしていたら、

ずーーーっとバイブレーターが止まらない。

無視し続け、出ずにいると、切れる。

切れた後、またすぐかかってくる。

仕方なく出ると、

「どこにいるんだ!!!」

「教室」

「今すぐ来い!!!」

「無理だよ」

「無理じゃねえ!」


私の応対の様子を見ていた同じ教室の人が、

「今から会社行くの?」

「無理って言えば良いじゃん」

「無視すれば」

「なんかすごいダンナさんだね」

同年代のおねえさま方が口々におっしゃる。

どの言葉も聞かず、

私は早退した。

使いこなせない道具が使えるようになって、

いろんな技術も教えてもらった。

制作品を中心に身につけるアクセサリーに仕立て、

翌月の教室で披露し合う。

刺激を得られる時間だった。

「売ってみたら?売れるよ、きっと!」

先生にいただいた評価だった。

自分の作った物を販売。

思いがけない先生からの言葉に、

小さな夢が生まれた。


モラ男が邪魔する。

邪魔するモラ男から逃避するための資金作りに、

ハンドメイドサイトへ登録した。