遠くから泣き声がした。

誰かの泣き声

誰?誰かが泣いて居る?

もしかして…次女?

そう思って目覚めた朝


夢見心地に次女だと思っていた泣き声は、隣の犬だった。


『良かった。次女じゃない。』


そう思った時、1階からかすかにテレビの音が聞こえてきた。
かなり眠ったつもりでいた私は少し疑問に思って枕元の携帯で時間を確かめた。

朝5時を過ぎていた。
深夜に帰ってきた夫がテレビをつけたまま眠ってしまったのだろうか?

そう思っていると、夫の咳が聞こえてきた。

もしかして…ずっと起きてたの?
不思議に思った私は、こっそりと階段を下りてリビングへ向かった。

我家の1階はオープンになっていて仕切りが全くない。

私の足音に途中で気が付いた夫はあわててストーブを消していた。


みさき『まだ起きてたの?』



夫『別に寝ていた訳じゃない。仕事をしていたんだ。』



テーブルには、閉じられた本と携帯電話だけが置いてあった。



みさき『寝なくて大丈夫?』



夫『今寝るよ。』



みさき『あんまり無理しないで。風邪ひいちゃうよ。起きれるの?』


夫は黙っていた。

私は、テーブルに置かれた夫の携帯電話が気になっていた。



みさき『今は灯油も高いんだよ~。私達は出来るだけ早めに寝るようにしてるんだよ。』

テーブルに置かれた夫の携帯電話を見ていた事を悟られない様に、わざと話をそらして明るくそう言った。



夫『私達って、まるで俺は家族じゃないみたいだな!』



そう言った夫の顔は怖くて……もう何も言えなかった。。


つい数日前迄は、のこやイモ子の話をしてあんなに笑って居たのに…夫の顔には、もうあの時の笑顔は無かった。。



夫はテーブルの携帯電話を手に取ると二階へと階段をかけ上って行った。



家族じゃないみたいだな……


夫の居なくなったリビングで、その言葉がグルグルと私の心を締め付ける。

家族じゃないみたいだな……。

確かに私の言い方も悪かったけど……家族の輪から離れようとしているのは夫の方なんじゃないの?


分からない。

夫が何を考えているのか?

どうしたいのか?

何故、何も私に言ってくれないのか?


聞けない私が悪いんだよね。


どうして良いのか分からない。

もがけばもがくほど、夫の言った言葉が私の心をきつくきつく締め付ける。