先週、仕事帰りに夫と待ち合わせ、二人で行きつけのワインバルに行った時のこと。
なんでそんなこと聞くんだろう?
せっせとワカサギのフリットを口に運ぶ私に向かって、夫は言いました。
「K社に戻れそうなんだ」
そして、ニヤリと笑みを浮かべ、小指を立てて
こう続けた。
「K社は(女性問題は)二年で時効なんだ」
そう言うと、グラスの赤ワインを一気に飲み干した。
K社とは、夫の元勤務先。
そう、夫は昨年の春、突如子会社への出向を命じられ、今は全くもって畑違いの仕事をしている。
部長という肩書きはそのままではあるものの、いわゆるライン部長ではない。
年俸も減額されたとは言え、世間一般常識からすると法外な金額だ。
仕事はとても楽なものらしく、日々ゆるゆると気楽に過ごしている模様。
ランチなんて取れない日の方が多い私に、夫は毎日ランチの写真を私に送ってくる。
夫の言葉を借りて言うならば
「今の僕は、ドルチェの半分も働いてない」
そんな夫だが、50代になったばかりで隠居するにはまだ若い。
このまま終わらせるつもりはないのだろう。
そして、夫は私に聞いてきた
「K社に戻れるようなら、戻ってもいい?」
なんでそんなこと聞くんだろう?
なるほど、そうか、そういうことか。
K社に戻るということは、夫の元不倫相手と同じ会社になるということ。
とは言え、超巨大企業なので同じ部署になる可能性はほぼないけれど、不倫された側としては、嫌な人は嫌だろう。
でも、今の私はもう夫と元不倫相手が同じ会社になろうが、なるまいが、どうでもいい。
むしろ、顔を合わせて気まずい思いをすればいいと思うし、まさかの不倫復活なんてことが起こったとしても、きちんと対処できる自信がある。
そうか、夫は私が不愉快にならないよう、不安にならないよう、気遣ってくれてるんだ。
そんな夫の気持ちにすっかり気を良くした私はこう返した。
「私なら平気。もうあの人と復活するなんて思ってもないし、心配してない。あなたのしたいようにして、応援するから」
目の前の夫はキョトンとしたマヌケな顔をしている。
夫は
「やだなードルチェ!まだそんなこと考えてるの?僕が言ってるのは、K社に戻ったらまた忙しくなるから、今みたいに◯◯(娘)の世話や家事ができなくなるけど、構わないかな、ということだよ」
まさかの発言に、今度は私がキョトンとする番。
元不倫相手と同じ会社に戻る事で妻が不愉快に感じるとか、不安になるとか、夫はそういう発想を持ち合わせていなかったようだ。
夫が娘の世話や、平日に家事参加してくれるようになったのは、不倫発覚後のこと。
夫の助けがなくても、元通りになるだけ。
そして私は夫に冷たく言い放った。
私「好きにすればいいよ」
夫「冷たいなあ」
夫は遠い目をしている。
それにしても大きな発見があった。
夫は自ら小指を立てて、自分は女性問題で子会社に出向させられた、ということを認めたのです。
今までは頑として、会社にはバレてないと主張していた夫だが、K社に戻れる見通しが立ったことで、ポロリと本音が漏れたのか。
春からは娘も中学生。
春に我が家はまた変化の時を迎えそうだ。