私が夫の元不倫相手の女に慰謝料請求するため弁護士と委任契約を結んでから、受任通知が届くまで約3週間。その頃の私について書こうと思う。
男は不倫をやめると決意した瞬間、その事実は過去のものになるようだ。
ほんと、驚くほどあっさりと。
でも不倫された妻はそうはいかない。
不倫発覚した時が苦悩の始まり。
発覚当初は訳が分からなくて、軽くパニック状態。怒ったらいいのか、悲しんだらいいのか、訳が分からなくなった。
そして、私は直後、典型的なサレラリ状態に陥ったので、表向き夫婦仲は和やかであった。
少し時間が経過して、徐々に不倫の全貌が明らかになると、私の場合、夫が不倫を開始した過去にまで一気にタイムスリップしてしまい、その不倫期間中に起きた出来事全てが真っ黒に塗りつぶされてしまった。
娘とのささやかで幸せな思い出も一気に嫌な記憶に塗り替えられてしまったのである。
不倫期間に私と娘が二人きりで出掛けた場所でさえ、近づけなくなった。
ましてや、夫と女が行った場所なんてもってのほかで、私は一生同じ場所に行けないのではないかと思っている。
受任通知を受け取った頃、ちょうど家族でいつも行く映画館へ出掛けた。
嫌な予感はしていたが、映画の間中何とも言えない真っ黒なドロドロとした気持ちに襲われて、ストーリーなど全く頭に入らず、映画どころではなかった。
夫が赴任地で女と過ごしていた週末は、娘とその映画館によく行っていたこと。
娘はよく「パパも来たら良かったのにね」なんて言っていたっけ。
でも、実は仕事と言いながら女と週末を過ごしていた訳だ。
今その不倫期間に観た映画(君の名は、ズートピア、ペット、シング、モアナと伝説の海など)のサントラを聴くのも不愉快だ。
また、その映画館の窓からは、昨年のクリスマスに夫が女と宿泊したホテルがよく見えること。
前回家族でこの映画館を訪れたのは、ちょうど発覚一週間前であったこと。(ちなみに美女と野獣)
最新のとても快適な映画館で家族全員のお気に入りであったが、残念なことに近づくだけで地雷を踏んでしまう感じ。
フラッシュバックの一種であろう。
夫が不倫同棲していた町(都会です)
夫が不倫相手と訪れた店
夫が不倫相手と訪れた町
夫が不倫相手と訪れた国
夫と不倫相手のLINEトーク履歴に登場するもの全て(◯◯のケーキ、◯◯のパンなど)
それら全ては私にとって地雷に変わってしまった。
そして、もっと悲惨なのは、直接夫と不倫相手は関係していないのに、不倫期間に私が行った場所や行事など、それら全てもゾッとするほど真っ黒で嫌な思い出に変わってしまった。
写真の中の私は笑っているのに。
現在の私が一年前の写真の中の私に語りかける。
「 隣で笑っている夫は、嘘をついてるよ。若い女と不倫してるよ。どうして 気づかないの?早く気づいて!!」
季節はめぐり、今現在の私は一年前の今日、夫と女は何をしていて、私は何をしていたか。
季節を上書きしながら毎日暮らしているのだ。