ここからはまた過去に遡り、夫と不倫相手の話。

単身赴任先では20歳以上も年下の部下と、大胆にも不倫同棲していた夫だが、付き合いが半年を超えたあたりから、もともと情緒不安定気味な女は本性ムキ出しとなり、何かと夫を攻撃することが増えてきたようだ。

それをなだめるため、女の言いなりとなり、やれ星付きレストランだ、海外旅行だ、ブランド品だと夫は女に時間とお金を費やし続ける。

妻である私は感情を表に出さない。
というか、出せないのだ。
夫の不倫が発覚しても、世間で耳にするような修羅場はなく、内心ドロドロした感情を抱えつつ、表面上はいたって平穏に暮らしているのだ。

そんな私に比べ、自由奔放で、思った事をそのまま口にして、喜怒哀楽を表現する若い女が夫にとって眩しかったのだろう。

オンナである私にも何となくわかる。

そして、そんな女だから放っておけなくて、心配で可愛くて、イケないと思いつつ刺激的な関係を自ら終える事ができなかったのであろう。

50歳を超えたオヤジが、若い女に慕われ、頼られ、求められ…

妻とは味わえない経験も沢山あっただろうし、おいしい思いも嫌というほど味わっただろう。

想像するだけで、夢のような話ではないか。

とは言え、付き合いも一年を超え、職場では上司と部下。ハイリスクな関係である。

そんな激しい女とどうやって円満に、そしてキレイに関係に終止符を打つか、が夫の頭を占めるようになる。

妻と別れて女と一緒になる、という選択肢は最初からなかったし、女も夫と結婚できるとは思っていなかったようだ。

後に夫は何度も私に言った。

「ドルチェの事を嫌いになった事は一度もない。

  ずっと、ドルチェの元に戻りたかった」

嬉しい、というより、バカにすんなよ、というのが正直な気持ち。

そんな、なかなか女と別れられない夫が取った行動とは…