妻から「不倫バレ」の告白を受けた我が夫。

部屋が暗くて表情が分からないが、夫はケタケタと笑っている。

「ドルチェ、何か勘違いしてない?誰のこと言ってるのか分からないけど、そんな疑われるような事何もないよ。」

ウソばっかり!会社の部下と不倫なんて恥ずかしくないの?

ごまかしても無駄!全部知ってるんだから!!

夫も動揺してるのだろう。
目を見開き、私の目を見ながら固まっている。

パパー妊娠しちゃったかも〜、ってあれは何よ?

だから、そんな妊娠するような事してないってば。
ほら、何も心配しなくていいから。
早く寝ないと明日も早いでしょ。

夫のあまりのマヌケな返答に愕然。
まだこの時点でLINEのトーク履歴データがこちら側にある事は夫に伝えていない。

とにかく!もう金輪際その女と会ったり、連絡取ったりしないで!わかった?

はーい。
ドルチェがそう言うならそうします。
おやすみ。

何なんだ?この緊張感のない空気。
夫は女との関係を認めるでも否定するでもなく、のらりくらり。
私は激しい修羅場を想像していたが、なんだこれ。うまく伝わらなかったのか?まさか。

直後、夫の寝息が聞こえる。

私はとてもじゃないけど眠れない。
眠れない時に、横で夫がグーグー寝てるというシチュエーションは激しく私を混乱させ、大袈裟ではなく気が狂ってしまうのではないかという恐怖が押し寄せる。

眠れない。誰か助けて!
思わず寝ている夫の頰をひっぱたく。

ん?なに?どうしたの?まだ寝ないの?

まんじりともせず、暗闇の中で溢れる涙を拭きながら、壁にかけてある時計を見つめる。

一体どうしたらいいのだろう…
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