すばやく猫パンチする前足。その前足で軽々と木登りをし、高い塀の 細道をしゃなり、しゃなりと優雅にキャットウォーク。背中を綺麗に反りこむ 伸びのポーズ。その毛づくろは捻りの曲線美をたっぷり魅せてくれる。そのすべてが美しい。猫の筋肉は動物界でも最高度の優れものだと言う。家畜化された今でも野生の巧みな技を難なくこなす。

特に注目したいのが肩甲骨。

その使い方 は達人芸だ。


 今年のパリオリンピックで体操の解説者の内村航平氏(体操界のキング )が金メダル連覇の極意は猫の肩甲骨から学んだというような趣旨のコメントがあった。そう、そうこなくっちゃと猫びいきは

小躍りした。猫の肩甲骨は金メダルなのだ。  

 以前から、人の猫背は「人猫背」であり、本家の「猫背」とはまるで格が違うと常々思ってきた。猫の肩甲骨は丸まったり、反ったり、捻ったりとしなやか。「人猫背」の筋肉は凝ってガチガチだったり、亀の甲羅のように融通が効かなくなって本家とは大違い。つまり月とスッポンなのである。ここがなんとも残念でならない。

 

 「人猫背改善」には猫の手を借りるのが一番。 前足をから動きを繰り出す「猫歩き」だ。意識して肘を後ろに引き、左右の肩甲骨を交互に背骨に寄せて歩くキャットウォークである。 「歩くのにいちいち意識なんて面倒」って思うかもしれないが、「肩甲骨ウォーキング」は美姿勢だけでなく体幹ダンスでもある。ダンスの極意は「体幹の綺麗な捻り技」。肩甲骨から、くびれ、股関節という繋がりが「体幹捻り連鎖」という美の方程式となる。「人の動きの中で捻りの動きが上手に組み合わされた動きは質の高い美しい動きになる」とも言う。

これって猫が当たり前にやっている身のこなしではあるまいか。でも当の猫たちは値千金の金メダルも、猫に小判でまるでどこ吹く風の知らん振り。キラキラした捻り技を気前よく連発している、