デイサービスの昼下がり事件が起きる。利用者のトシコさん(仮)が不穏スイッチが入り玄関でスタッフの大山さんを振り切り出ていってしまったのだ。大山さんから助けを求められる僕。兎に角トシコさんを連れ戻さないと。大山さんはパニック状態。僕は大山さんに自分が連れ戻すので兎に角フロアの利用者さんの安全確保をお願いし、休憩中の矢島さんにもヘルプをお願いするように伝えた。トシコさんに戻ろうと提案するも不穏スイッチオンのトシコさんが「子供が子供が」と興奮し言うことを聞かない。しかしこのままの状態にするわけにもいかないため、僕は力ずくでトシコさんを引っ張り連れて帰る。その際トシコさんは大声を出し、容赦なく僕の腕に爪を立てる。なんで認知症は本能的な部分だけは健在なんだ?このときほどこの疾患の不条理さを感じたことはない。教科書的な対応だと恐らくは怒りが落ち着くまで散歩に寄り添うが正解になると思うが、今時分そんな悠長なこと言ってられない。住宅街のど真ん中。車も多く通る場所で不穏状態のトシコさんと歩くことが、どれだけのリスクを抱えるか。兎に角トシコさんに怪我がないようにデイサービスに連れ戻さないと。僕はトシコさんから爪を立てられ腕から出血しながらもなんとかトシコさんをデイサービスの玄関に引き戻す。デイサービスに戻るも、興奮が収まらないトシコさん。
トシコ「助けて〜助けて〜誰か警察呼んで」
僕「落ち着いてトシコさん。あともう少しここにいたら家帰れるから。だからホールもどろうよ。」
トシコ「この悪者。まだそんな事言うか。ならこうしてやる。誰か助けてくださーい」
彼女の爪が更に僕の腕に食込む。僕はホールの大山さんを呼ぶがなかなかやってこない。そんなやり取りを10分くらいしていると玄関に警官2名がやってきたのであった。
警察官「通報がありました。老人を無理やり連れて行ったというのはあなた??」
僕は??状態。そして怒りは頂点に達していた。