・「武器もバターも」は不可能?:軍事費が膨張し急速にインフレが進むロシア経済
thedailydigest.com
2024年11月20日
※バターが値上がり
ロシアではパンが主食となっているが、そのパンにバターをつけて食べるのは難しくなりつつあるかもしれない。ロシア連邦国家統計庁によると、バターは今年だけで少なくとも25%も値上がりしているのだ。
「武器もバターも」は無理?
プーチン大統領は国民に対して、ウクライナ侵攻を行っても経済が破綻することはなく、「武器」も「バター」もともに十分な量を供給すると約束していた。その約束はいったいどれほど守られているのだろうか。
万引きも増加
『ザ・モスクワ・タイムズ』紙によると急速に値上がりした影響で万引きも増えているとされ、バターをプラスチック製のケースに入れて厳重に守るスーパーも出てきているという。
ジャガイモの値段も高騰
急激に値上がりしている食料品はバターだけではない。同じく主食のひとつとなっているジャガイモも、今年初めからなんと56.4%も値上がりしたという。
食糧だけでなく燃料費も上がる
ロイター通信によると、他にも牛乳や燃料などが大きく値上がりしたとされる。
買い物客の声
同通信の取材に対し、ある買い物客はこう語っている:「バターは毎日の朝食に必須です。牛乳とチーズ、ソーセージ、卵、パンも買います。それだけで1,500ルーブル(約2,350円))にもなるんですよ。とても高いです。どうしてこんなに値上がりしているんでしょうか」
巨額の軍事費が影響
しかし、GDP比6.3%にして国家予算の3分の1という巨額の軍事費を考えれば、ロシアにおける生活費の高騰は驚きとは言えない。
冷戦後最高水準の軍事費
軍事費の額は2025年度予算では25%増額され13兆5,000億ルーブルに達し、冷戦後最高水準となっている。
意外にも好調を保ったロシア経済
むしろ、これほどまでの額をウクライナ侵攻に費やしながらも、ロシア経済がいまだに好調を保っている事のほうが世界にとっては驚きの的となっている。
予測に反して崩壊しなかったロシア経済
2022年にプーチン大統領がウクライナへの全面侵攻を開始すると、西側諸国はロシアへの経済制裁を決定した。これによって2兆ドル規模とも言われたロシア経済は崩壊するとみられていた。
むしろ急速に成長
だが、実際はロシアの経済成長はアメリカ合衆国やヨーロッパの大半の国を上回り、戦時経済への転換を果たした。ユーロニュースが報じている。
東側に原油を販売
ロシアはエネルギー市場や金融市場をまとめ上げ、中国を筆頭とする東側の同盟国との関係を深めた。中国は、ロシアが東シベリア・太平洋パイプラインを経由してアジア太平洋地域へと原油を販売するのを手助けした。
ついに終わりが見えてきた?
とはいえ、そんなロシア経済の命運も尽きようとしている。中央銀行の利率は21%にまで上昇し、今年のインフレ率は8~8.5%になると見積もられているのだ。
持続不可能な経済
ゴールドマン・サックス前チーフ・エコノミストのジム・オニール氏のように、現在のロシア経済は持続不可能だとする専門家は多い。
「中長期的な展望は暗い」
オニール氏はロイター通信にこう語っている:「これもすべてはロシアの膨大な軍事費のせいです。中長期的な展望は暗いと思いますね」
連邦中央銀行総裁も警告
ロシアの専門家も、自国が「成長なきインフレ」に入ったという警告を出している。『ザ・モスクワ・タイムズ』紙によると、連邦中央銀行のエリヴィラ・ナビウリナ総裁も「経済を機能させるためには、より抜本的な改革が必要だ」と述べたという。
・ロシア経済はまやかしのGDPが増えて破綻に向かう
2024.10.28
https://www.thutmosev.com/archives/123545hgfccr.html
兵器生産は公共事業なのでGDPは増えるが、後にはダムすら残らない
※ロシアの好景気を支える戦時経済
22年2月にウクライナ侵攻が始まった時に多くの人は過大な軍事支出でロシア経済と財政は破綻すると予想したが、そうはなっていない
ロシアは今少なくとも表向きは好景気であり、戦争関連やIT技術者として働くエンジニア達は月給数十万円を貰っており侵攻前より豊かになった
政府は国民の支持を取り付けるために住宅購入の補助金を出したり兵士募集に数百万円の報酬を出したので、社会にお金が循環し人々を豊かにしている
成長率は22年にマイナス1.2%だったが、23年はプラス3.6%、IMFによると24年はプラス3.2%が見込まれている
23年の実質賃金は7.8%も増加し西側の制裁が及ばないロシア国内の接客業や観光業のようなサービス部門も活況を呈している
こうした好調を支える要素は3つあり、欧州から旧ソ連諸国への輸出が急増しておりロシアは旧ソ連から事実上自由に西側製品を購入している
国連商品貿易統計に基づくと、21年から23年までにドイツからカザフスタンへの輸出は2倍以上に膨らみ、同じ期間にカザフからロシアへの輸出が40%も増加していた
ロシア産の石油・ガスは中国やインドやブラジルなどの非西側人口大国へ輸出していて、西側企業から入手できない精密部品などの一部を中国から調達している
23年の中ロ貿易は確かに26%拡大し、ロシアにとって中国が最大の貿易相手になり、人民元を決済通貨に使う事でロシアは欧米以外の国と貿易している
ロシアの成長率のほとんどは中ロ貿易でも石油販売でもなく、ウクライナ戦争そのものへの軍事支出にあり、いわゆる戦時経済になっている
25年の軍事支出は約25%増額され13兆2000億ルーブル(1400億ドル)となり、これはGDP比6%に達するがこれだけではない
ロシアは今までに150万人もの兵士をウクライナに派兵しているが、兵士の福利厚生や様々な社会支出は軍事予算以外の名目で支出している
戦時経済は数字だけが増え現実は貧困化
侵攻以前のロシアの軍事費は5兆円以下だったと思われるので突然軍事費は4倍に増え、これは15兆円を消費する消費者が突然現れたのと同じになる
消費者がブランドバッグを買う代わりにロシア軍は砲弾や地雷やミサイルやドローンを無限に買い続けるので、ロシアの景気は良くなりました
戦時中の日本もあらゆる軍需工場すべてがフル操業だったので、大戦の4年間を通じて景気はとても良く失業者など存在しなかった
国民総生産は増え続けたのだが生産物は全て戦場の鉄くずとなり、国民生活に貢献することが無かったので数字だけが増えて日本は貧しくなっていった
ロシアもGDPという戦時浪費で数字が増えているが、生産物は戦場で錆びた鉄くずになっているので、国民生活はまったく向上していない
するとGDPという数字だけが増えて実際には貧しくなり続けている筈で、これが戦時経済好調の落とし穴なのです
戦時経済とは政府が巨額のお金を浪費して鉄くずや海の藻屑を生産することなので、政府の借金が軍事生産の分だけ増えていきます
ロシアは2021年と比較して軍事費が15兆円以上も増えたので、その政府支出によって好景気になりお金が社会に循環しています
だが今後も毎年軍事支出を年5兆円増やす事はできないので、この経済成長はすぐに終わりを迎えると予想されている
政策金利は19%に達し物価上昇率は9%だが、今までの2年間は物価を上回る賃金を配る事で、人々のダメージを緩和していた
今後も年10%以上賃金を上げ続けるのは不可能なので、物価が賃金を上回るようになり結局は国民が戦争の借金を払う事になる
国家予算の4割を占める軍事支出は教育や医療など社会保障費の犠牲によって成り立っていて、たとえばロシアの教師の月給は数万円でしかない
ロシアの軍事生産の大半は高度な半導体を必要としないローテク、言い換えると第二次大戦から変わっていない兵器に向けられている
ロシアはより一層前代的な工業化を進めていて、例えばロシア軍の砲弾は第二次大戦でソ連軍がドイツ軍に対して使用した物と同一なのでそのまま使用できたりする
・警告ランプ灯ったロシア経済…「プーチン氏の弱点、戦争に打撃与える可能性も」(中央日報 2024年11月20日)
※「ロシアのプーチン大統領は苦痛な経済的圧迫を受けている」
英経済専門誌エコノミストが18日に出した診断だ。ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻後、西側のさまざまな制裁にもかかわらず昨年は経済が3.6%成長し、最近は北朝鮮軍にまで支援を受けたがいまは警告音が鳴っている。メディアはその根拠として、先月のロシア中央銀行の金利引き上げとロシアの中国依存度拡大を挙げた。
◇「ロシア中央銀行、今後近づく問題に警告」
ロシア中央銀行は先月、政策金利を年19%から21%に2%引き上げた。21年ぶりの最高値で、市場では年末までに23%に引き上げるとの見通しまで出てきた。戦争直後に記録したこれまでの最高値20%も上回った。戦争が3年目に入り軍事分野で莫大な支出を続けた結果現れた物価上昇率8.4%というインフレへの対応策だ。
エコノミストは「こうした変化は普通戦争中には中央銀行が経済活動抑制に消極的な点でより異例。中央銀行の金利引き上げ決定は力の誇示とみるより今後近づく問題に対する警告」と分析した。
実際にロシアは政府支出を維持するのが難しくなっている。9月に公開されたロシアの予算案によると、国防・安保の年間支出は全政府支出の40%以上、ロシアの国内総生産(GDP)の8%に相当する17兆ルーブル(約26兆円)に増加すると予想された。国防費は冷戦以降で最も多い。
◇企業破産20%増…「来年の投資計画保留」
ロシア政府はこれまで家計負債償還猶予、企業貸付補助金などで経済に介入してきた。しかし今年の企業破産は20%増えた。貿易団体であるロシア産業・企業家連合は借入費用負担のため来年の投資計画が保留されていると明らかにした。
今後高い利率は企業と消費者支出をさらに萎縮させる見通しだ。国際通貨基金(IMF)は来年のロシアの経済成長率が1.3%で急激に鈍化すると予想した。国営開発銀行であるVEBも成長見通しを2%に下げた。
◇中国依存深まる…「ルーブル相場に注目」
ロシアの中国依存も問題だ。中国はロシアの最も重要な貿易パートナーで、輸入の3分の1を占める、ドローン、ミサイル、戦車に使われるマイクロ電子工学の90%以上を供給している。しかしこれは無料ではないためロシアは人民元基準の自国通貨価値を鋭意注視しなければならない境遇だ。この数値は今年だけ10%下落し戦争勃発後最低値に近づいた。
エコノミストは「重要な輸入品費用を支払うためルーブル相場を維持しなければならないのはプーチン氏には弱点で、彼の戦争遂行能力に打撃を与えかねない。プーチン氏はトランプ氏が紛争を終息させるという約束を守ることを願っているかもしれない」と指摘した。
thedailydigest.com
2024年11月20日
※バターが値上がり
ロシアではパンが主食となっているが、そのパンにバターをつけて食べるのは難しくなりつつあるかもしれない。ロシア連邦国家統計庁によると、バターは今年だけで少なくとも25%も値上がりしているのだ。
「武器もバターも」は無理?
プーチン大統領は国民に対して、ウクライナ侵攻を行っても経済が破綻することはなく、「武器」も「バター」もともに十分な量を供給すると約束していた。その約束はいったいどれほど守られているのだろうか。
万引きも増加
『ザ・モスクワ・タイムズ』紙によると急速に値上がりした影響で万引きも増えているとされ、バターをプラスチック製のケースに入れて厳重に守るスーパーも出てきているという。
ジャガイモの値段も高騰
急激に値上がりしている食料品はバターだけではない。同じく主食のひとつとなっているジャガイモも、今年初めからなんと56.4%も値上がりしたという。
食糧だけでなく燃料費も上がる
ロイター通信によると、他にも牛乳や燃料などが大きく値上がりしたとされる。
買い物客の声
同通信の取材に対し、ある買い物客はこう語っている:「バターは毎日の朝食に必須です。牛乳とチーズ、ソーセージ、卵、パンも買います。それだけで1,500ルーブル(約2,350円))にもなるんですよ。とても高いです。どうしてこんなに値上がりしているんでしょうか」
巨額の軍事費が影響
しかし、GDP比6.3%にして国家予算の3分の1という巨額の軍事費を考えれば、ロシアにおける生活費の高騰は驚きとは言えない。
冷戦後最高水準の軍事費
軍事費の額は2025年度予算では25%増額され13兆5,000億ルーブルに達し、冷戦後最高水準となっている。
意外にも好調を保ったロシア経済
むしろ、これほどまでの額をウクライナ侵攻に費やしながらも、ロシア経済がいまだに好調を保っている事のほうが世界にとっては驚きの的となっている。
予測に反して崩壊しなかったロシア経済
2022年にプーチン大統領がウクライナへの全面侵攻を開始すると、西側諸国はロシアへの経済制裁を決定した。これによって2兆ドル規模とも言われたロシア経済は崩壊するとみられていた。
むしろ急速に成長
だが、実際はロシアの経済成長はアメリカ合衆国やヨーロッパの大半の国を上回り、戦時経済への転換を果たした。ユーロニュースが報じている。
東側に原油を販売
ロシアはエネルギー市場や金融市場をまとめ上げ、中国を筆頭とする東側の同盟国との関係を深めた。中国は、ロシアが東シベリア・太平洋パイプラインを経由してアジア太平洋地域へと原油を販売するのを手助けした。
ついに終わりが見えてきた?
とはいえ、そんなロシア経済の命運も尽きようとしている。中央銀行の利率は21%にまで上昇し、今年のインフレ率は8~8.5%になると見積もられているのだ。
持続不可能な経済
ゴールドマン・サックス前チーフ・エコノミストのジム・オニール氏のように、現在のロシア経済は持続不可能だとする専門家は多い。
「中長期的な展望は暗い」
オニール氏はロイター通信にこう語っている:「これもすべてはロシアの膨大な軍事費のせいです。中長期的な展望は暗いと思いますね」
連邦中央銀行総裁も警告
ロシアの専門家も、自国が「成長なきインフレ」に入ったという警告を出している。『ザ・モスクワ・タイムズ』紙によると、連邦中央銀行のエリヴィラ・ナビウリナ総裁も「経済を機能させるためには、より抜本的な改革が必要だ」と述べたという。
・ロシア経済はまやかしのGDPが増えて破綻に向かう
2024.10.28
https://www.thutmosev.com/archives/123545hgfccr.html
兵器生産は公共事業なのでGDPは増えるが、後にはダムすら残らない
※ロシアの好景気を支える戦時経済
22年2月にウクライナ侵攻が始まった時に多くの人は過大な軍事支出でロシア経済と財政は破綻すると予想したが、そうはなっていない
ロシアは今少なくとも表向きは好景気であり、戦争関連やIT技術者として働くエンジニア達は月給数十万円を貰っており侵攻前より豊かになった
政府は国民の支持を取り付けるために住宅購入の補助金を出したり兵士募集に数百万円の報酬を出したので、社会にお金が循環し人々を豊かにしている
成長率は22年にマイナス1.2%だったが、23年はプラス3.6%、IMFによると24年はプラス3.2%が見込まれている
23年の実質賃金は7.8%も増加し西側の制裁が及ばないロシア国内の接客業や観光業のようなサービス部門も活況を呈している
こうした好調を支える要素は3つあり、欧州から旧ソ連諸国への輸出が急増しておりロシアは旧ソ連から事実上自由に西側製品を購入している
国連商品貿易統計に基づくと、21年から23年までにドイツからカザフスタンへの輸出は2倍以上に膨らみ、同じ期間にカザフからロシアへの輸出が40%も増加していた
ロシア産の石油・ガスは中国やインドやブラジルなどの非西側人口大国へ輸出していて、西側企業から入手できない精密部品などの一部を中国から調達している
23年の中ロ貿易は確かに26%拡大し、ロシアにとって中国が最大の貿易相手になり、人民元を決済通貨に使う事でロシアは欧米以外の国と貿易している
ロシアの成長率のほとんどは中ロ貿易でも石油販売でもなく、ウクライナ戦争そのものへの軍事支出にあり、いわゆる戦時経済になっている
25年の軍事支出は約25%増額され13兆2000億ルーブル(1400億ドル)となり、これはGDP比6%に達するがこれだけではない
ロシアは今までに150万人もの兵士をウクライナに派兵しているが、兵士の福利厚生や様々な社会支出は軍事予算以外の名目で支出している
戦時経済は数字だけが増え現実は貧困化
侵攻以前のロシアの軍事費は5兆円以下だったと思われるので突然軍事費は4倍に増え、これは15兆円を消費する消費者が突然現れたのと同じになる
消費者がブランドバッグを買う代わりにロシア軍は砲弾や地雷やミサイルやドローンを無限に買い続けるので、ロシアの景気は良くなりました
戦時中の日本もあらゆる軍需工場すべてがフル操業だったので、大戦の4年間を通じて景気はとても良く失業者など存在しなかった
国民総生産は増え続けたのだが生産物は全て戦場の鉄くずとなり、国民生活に貢献することが無かったので数字だけが増えて日本は貧しくなっていった
ロシアもGDPという戦時浪費で数字が増えているが、生産物は戦場で錆びた鉄くずになっているので、国民生活はまったく向上していない
するとGDPという数字だけが増えて実際には貧しくなり続けている筈で、これが戦時経済好調の落とし穴なのです
戦時経済とは政府が巨額のお金を浪費して鉄くずや海の藻屑を生産することなので、政府の借金が軍事生産の分だけ増えていきます
ロシアは2021年と比較して軍事費が15兆円以上も増えたので、その政府支出によって好景気になりお金が社会に循環しています
だが今後も毎年軍事支出を年5兆円増やす事はできないので、この経済成長はすぐに終わりを迎えると予想されている
政策金利は19%に達し物価上昇率は9%だが、今までの2年間は物価を上回る賃金を配る事で、人々のダメージを緩和していた
今後も年10%以上賃金を上げ続けるのは不可能なので、物価が賃金を上回るようになり結局は国民が戦争の借金を払う事になる
国家予算の4割を占める軍事支出は教育や医療など社会保障費の犠牲によって成り立っていて、たとえばロシアの教師の月給は数万円でしかない
ロシアの軍事生産の大半は高度な半導体を必要としないローテク、言い換えると第二次大戦から変わっていない兵器に向けられている
ロシアはより一層前代的な工業化を進めていて、例えばロシア軍の砲弾は第二次大戦でソ連軍がドイツ軍に対して使用した物と同一なのでそのまま使用できたりする
・警告ランプ灯ったロシア経済…「プーチン氏の弱点、戦争に打撃与える可能性も」(中央日報 2024年11月20日)
※「ロシアのプーチン大統領は苦痛な経済的圧迫を受けている」
英経済専門誌エコノミストが18日に出した診断だ。ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻後、西側のさまざまな制裁にもかかわらず昨年は経済が3.6%成長し、最近は北朝鮮軍にまで支援を受けたがいまは警告音が鳴っている。メディアはその根拠として、先月のロシア中央銀行の金利引き上げとロシアの中国依存度拡大を挙げた。
◇「ロシア中央銀行、今後近づく問題に警告」
ロシア中央銀行は先月、政策金利を年19%から21%に2%引き上げた。21年ぶりの最高値で、市場では年末までに23%に引き上げるとの見通しまで出てきた。戦争直後に記録したこれまでの最高値20%も上回った。戦争が3年目に入り軍事分野で莫大な支出を続けた結果現れた物価上昇率8.4%というインフレへの対応策だ。
エコノミストは「こうした変化は普通戦争中には中央銀行が経済活動抑制に消極的な点でより異例。中央銀行の金利引き上げ決定は力の誇示とみるより今後近づく問題に対する警告」と分析した。
実際にロシアは政府支出を維持するのが難しくなっている。9月に公開されたロシアの予算案によると、国防・安保の年間支出は全政府支出の40%以上、ロシアの国内総生産(GDP)の8%に相当する17兆ルーブル(約26兆円)に増加すると予想された。国防費は冷戦以降で最も多い。
◇企業破産20%増…「来年の投資計画保留」
ロシア政府はこれまで家計負債償還猶予、企業貸付補助金などで経済に介入してきた。しかし今年の企業破産は20%増えた。貿易団体であるロシア産業・企業家連合は借入費用負担のため来年の投資計画が保留されていると明らかにした。
今後高い利率は企業と消費者支出をさらに萎縮させる見通しだ。国際通貨基金(IMF)は来年のロシアの経済成長率が1.3%で急激に鈍化すると予想した。国営開発銀行であるVEBも成長見通しを2%に下げた。
◇中国依存深まる…「ルーブル相場に注目」
ロシアの中国依存も問題だ。中国はロシアの最も重要な貿易パートナーで、輸入の3分の1を占める、ドローン、ミサイル、戦車に使われるマイクロ電子工学の90%以上を供給している。しかしこれは無料ではないためロシアは人民元基準の自国通貨価値を鋭意注視しなければならない境遇だ。この数値は今年だけ10%下落し戦争勃発後最低値に近づいた。
エコノミストは「重要な輸入品費用を支払うためルーブル相場を維持しなければならないのはプーチン氏には弱点で、彼の戦争遂行能力に打撃を与えかねない。プーチン氏はトランプ氏が紛争を終息させるという約束を守ることを願っているかもしれない」と指摘した。