・トランス思想の源流

Prof. Nemuro🏶

2023年5月9日

https://note.com/prof_nemuro/n/nb577d6f86da4


※男女の性別は他の動物の雄雌と同じく生物学的に決まっているものではなく、本人の意思で決めるもの、というトランス思想の源流はフランスからアメリカに輸入されたポストモダニズムだと"Cynical Theories"/『「社会正義」はいつも正しい』では論じている。

この論証には説得力があるが、これほど突拍子もない観念が一部の知識人だけではなく、社会現象になるほど多くの人々に広まったのは、西洋、特にアメリカにそれに通底する世界観が元々あったからではないかと考えられる。

その世界観とはキリスト教(+ギリシャ哲学)で、これら👇が「性は肉体ではなく精神で決まる」という過激な性自認主義につながることは明らかに思える。加えて、人間は言語を用いた精神活動を行える点で他の動物とは一線を画した存在、という観念も、生物学的な性(sex)の否定につながっている。


キリスト教では人間存在を霊魂と肉体に峻別し、後者がなくても前者のみでやっていけるという世界観(イデオロギー)を構築しました。死とともに霊魂は肉体を離れますが、最後の審判をまって永遠の場(天国または地獄)を得ることになっていたわけです。

一方、肉体、特に女性の肉体は悪の宿る部署として蔑視されました。また、原罪すらも人間存在の全的在りように関わるのではなく、特にアウグスティヌス以後は端的に性と結びつけられるようになりました。キリスト教イデオロギーでは性を過大評価し、蔑視したために性の媒体としての人間の身体も貶められたのです。

森田秀二「吸血鬼の物語」


1960年代にはキリスト教の中で、魔法や超自然現象を信じるそれまでとは異なる方向性の宗派が爆発的に増えます。それらはカルト的なもので、幻覚や妄想と極端な興奮への欲求がありました。そこではキリスト教と陰謀論が重なり合います。

どちらも同じ種類の極端な個人主義と主観的考え方を持ち、「自分が真実だと感じることが真実なのだ」ということです。アメリカのキリスト教で重要なことは、この国を作った人たちが実際に極端な教派だったことです。つまり彼らは最初から宗教的過激派だったのです。

『アメリカ 流転の1950ー2010s』p.363-364
カート・アンダーセンの証言


信心深いか否かにかかわらず、アメリカ人なら「自分が感じて考えていることが真実だ。誰も何が真実かを自分に強要することはできない。何が真実かは自分が知っている」という初期のプロテスタントの信念がいくらか組み込まれているのだと思います。

同上p.364


トランスする=精神(霊魂)が肉体から解放されて高いステージに上がるという認識(妄想)が、自称トランスの自信の根底にある。

トランス思想やLGBTQ教はキリスト教系の新興カルト宗教で、人類が普遍的に「正しい」と感じる思想ではなので、非キリスト教文明国の日本が受容する必要は全くない。