・CIAの妨害工作テクニックで使われている?組織をダメにする会議方法(Forbes Japan 2023年4月3日)

Mark Murphy

※現在の米国中央情報局(CIA)の前身にあたる組織「米国戦略情報局(OSS)」は1944年「Simple Sabotage Field Manual(妨害工作のための簡易な野戦教本、以下サボタージュ・マニュアル)」という興味深い名前の文書を作成した。

これは、敵国で米国の利益のためにサボタージュ(妨害工作)を実行する、その国の工作員(米国への協力者)に向けたガイドとして作られたマニュアルだ。工作員に対して妨害工作の手段を教え、連合国が第二次世界大戦で勝利するための後押しとする狙いがあった。

このマニュアルには、電力や鉄道、通信手段を含む、幅広い妨害工作が記されている。だが、現代のオフィスワーカーである我々にとって最も参考になると思われるのは「組織と生産への一般的な妨害」を扱ったセクションだ。ここで取り上げられている多数のテクニックの中から、特に筆者の目にとまった「ミーティングの進行を妨害する手法」をいくつかご紹介しよう。

・前回のミーティングで決まった事柄を蒸し返し、決定事項の妥当性に関する質問を再び投げかけるよう試みる

・すべてを『正規ルート』を通じて行うよう、強く主張する。決断を迅速に行うための近道を決して許さない

・できる限り頻繁に、本筋に関係ない話題を持ち出す

・情報伝達や議事録、決議の細かい言い回しについて、延々と議論する

念のため言っておくと、これはCIAの前身にあたる組織が、第二次世界大戦中に米国の敵国で妨害工作を行う外国人工作員のために作成したマニュアルだ。だが、現代の企業で行われているミーティングに、ある程度の回数参加したことがある人なら、意識的かどうかはともかくとして、これらのテクニックが日常的に行われていることはおわかりだろう。

例えば、筆者が創業したコンサルティング企業Leadership IQ(リーダーシップIQ)のアンケート調査「How Effective Is Your Executive Leadership Team?(あなたの会社の経営チームの効率性は?)」の結果を見てみよう。

意思決定を行う際に、背信行為や受動的攻撃行動(サボりや黙り込むなどの受動的な態度で攻撃的な感情を表現する行動)などがなく、経営陣の全員が、誠心誠意その決断に関わっているか? という問いに「強くそう思う」と回答した企業トップは、全体のわずか19%だった。また「自身の発した言葉が実際の行動につながる」と確信を持って断言できると回答した企業トップも、14%にすぎなかった。

企業の経営チーム、あるいはどんなチームでも、同じ案件が何度も蒸し返され、その問題にけりをつけて前に進むことができなくなるというのは、見慣れた光景だろう。まさに、前述したサボタージュマニュアルにある「前回のミーティングで決まった事柄を蒸し返し、決定事項の妥当性に関する質問を再び投げかけるよう試みる」というテクニックを、積極的に実行しているように見えるほどだ。

これらの妨害テクニックは、組織を停滞させ、従業員の士気を低下させることに関して、驚くほどの威力を発揮する。数万人におよぶ企業リーダーや従業員が受けた、リーダーシップIQのオンライン診断「How Do Your Time Management Skills Stack Up? (あなたの時間管理スキルはどのレベル?)」には、以下の2つの選択肢から、自分に当てはまるものを選ぶ設問がある。

・生産的とは言えず、参加者全員の時間を効率的に活用していないミーティングに出席していることがよくある

・おしなべてみれば、私が出席するミーティングは焦点が絞れており、生産的で効率的だ

ミーティングは、従業員のエンゲージメントにかなり大きな影響をおよぼす要素だ。例えば「自分の仕事が嫌いだ」という働き手のうち65%は「非生産的なミーティングに頻繁に出席させられる」と回答している。しかし、仕事が好きという人の場合、この割合は24%にまで下がる。

言い換えれば、あまりに頻繁に非生産的なミーティングに出席していると、これが仕事に著しい不満を抱く要因になるおそれがあるということだ。

退屈で効率の悪いミーティングに次から次へと出席させられると、それに対する不満が、従業員の全体的な幸福度に悪影響を及ぼすと言っても、決して大げさではないだろう。こうした非効率なミーティングが、従業員の日中の業務時間を食いつぶし、家に持ち帰る仕事が山積みになれば、問題はさらに悪化する一方だ。

最後にこうした事態に手を打てずにいると、リーダー側のキャリアにもよくない影響がある。というのも、前回のミーティングで決まっていた案件が蒸し返され、重要でない事柄が頻繁に議論され、細かい言い回しに関する議論が延々と続くようであれば、ミーティングの意味がないからだ。

「Why CEOs Get Fired (CEOがクビになる理由)」という調査では、最高経営責任者(CEO)が解任される主な要因の1つとして「言葉ばかりで行動がともわない」点が挙げられている。この調査で聞き取りを行った取締役の多くは「壮大なビジョンや新たな戦略について際限なく話し続けるが、決断をせず、行動に移すこともないCEO」に対して、不満を述べていた。

読者のみなさんには、ミーティングに関わるすべての人に、冒頭で挙げたミーティング妨害テクニックの情報を共有してほしい。さらに、部下には、自分たちの属するチームがこれらのテクニックによってどれくらい妨害されていると思うか、意見を聞いてみよう。

配下のチームは、まさに妨害工作員が弄する作戦にはまっていることを知り、ショックを受け、恥ずかしく思うかもしれない。しかし、そうした気持ちが原動力となって、問題行動の多くを一掃できるケースも多いのだ。


・「ガソリンタンクに砂糖をブチ込め」「鍵穴にヘアピンを突っ込め」などCIA直伝の市民向け破壊工作指南書「シンプル・サボタージュ・フィールド・マニュアル」(Gigazine 2023年4月9日)

※戦時中には直接的な戦闘も重要ですが、敵国の士気を下げたり輸送網を遮断したりといった工作活動も重要な作戦です。アメリカの中央情報局(CIA)が作成した「シンプル・サボタージュ・フィールド・マニュアル」には、敵国の市民を懐柔して工作員として活動させる方法や、「ガソリンタンクに砂糖を投入する」「電話線を切断する」「タイヤをパンクさせる」といった工作活動の具体的な手段が記されています。

Simple Sabotage Field Manual(Wayback Machine)

https://www.cia.gov/news-information/featured-story-archive/2012-featured-story-archive/CleanedUOSSSimpleSabotage_sm.pdf

1944 OSS Simple Sabotage Field Manual · GitHub

https://gist.github.com/kennwhite/467529962c184258d08f16daec83d5da

「シンプル・サボタージュ・フィールド・マニュアル」は第二次世界大戦さなかの1944年にCIAによって作成されたスパイおよび工作員向けの行動マニュアルで、「敵国の政府や警察組織を疲弊させる」「敵国の国民がアメリカを含む連合国の攻撃および占領を自ら望む状況を作り出す」といった目的を達成するための「効率良くかつバレずに敵国を妨害する方法」がまとめられています。


・目次 ◆1:破壊活動の下準備 ◆2:破壊活動の対象選択 ◆3:具体的な破壊方法 ・3-a:建物を破壊する方法 ・3-b:生産施設を破壊する方法 ・3-c:鉄道網を破壊する方法 ・3-d:自動車交通網を破壊する方法 ・3-e:通信網を破壊する方法 ・3-f:組織を破壊する方法


◆1:破壊工作の下準備 敵国に対する破壊活動はCIA職員によって直接実行される場合もありますが、敵国の国民を扇動して「一般市民」に破壊活動を実行させれば長期間にわたって効果的な破壊活動が可能となります。ただし、一般市民は破壊活動に関する知識や動機を持っていない場合がほとんどなため、まずは一般市民に動機を与え、破壊行為を助長し、安全を確保する必要があります。 ・個人的な動機を与える 市民に破壊活動の動機を与えるには、まず「破壊活動に参加するメリット」を伝える必要があります。また、各種メリットは「○○という制限が○月○日に撤廃される」「食料が○月○日に到着するようになる」といったように具体的な内容と日付を交えると効果的です。一方で、「個人の自由が確保される」「報道の自由が確保される」といった抽象的なメリットは、破壊活動に参加させる上で役に立ちません。 市民が1人で達成できる効果には限界があるため、市民が「破壊活動を個人で行う必要がある」と思い込んでいる場合は協力を得られない場合もあります。このため、「既にこの地域で○○という破壊活動が実行されている」という情報を与えて「破壊活動が大規模な組織で展開される」と思い込ませることが必要です。この際、破壊活動の事実はでっち上げてもOK。また、破壊活動に従事する市民の数を水増しして伝えることも効果的です。 上記のような動機を与えるためには、初期段階でCIA職員が破壊活動を自ら行う必要がありますが、最終的には市民に破壊活動に関する責任感を植え付け、市民が別の市民を勧誘する状況を生み出すのが理想です。

・破壊力を助長する 市民の中には、工具や重機などを扱ったことがない人が多くいます。これらの市民には、「何を破壊するべきか」という具体的な提案や「どんな手順で破壊すればいいのか」といった手順の指南が必要です。一方で、自動車整備士や旋盤作業員などの技術者は破壊すべき対象を自発的に見つけ、破壊方法を考案できます。これらの市民に破壊行為を行わせる場合は、手順を指南するよりも破壊活動に適した思考を促すことが重要です。

・安全対策 破壊活動に従事した市民が当局によって摘発された場合、他の市民に摘発のウワサが広まり破壊活動の規模が縮小してしまいます。このため、スパイは市民に対して摘発を逃れる方法を伝授することも重要です。 まず、市民には「ナイフ」「爪やすり」「マッチ」「小石」「髪の毛」といった破壊工作に使うとは思われにくい道具を使わせる必要があります。特定の職業に従事している市民は「レンガ」や「ハンマー」などを自然に持ち運ぶことが可能です。 「誰が破壊活動を行ったか分からない状況」を生み出すことも重要。例えば「工場の配電盤が破壊された」といった場合、工場に勤務する全員に疑いが分散し摘発を逃れられる可能性が高まります。また、破壊活動を実行した後に現場で様子を見ず、すぐに立ち去ることも重要です。


◆2:破壊活動の対象選択 破壊活動が有効に働く対象は「軍事攻勢前」「軍事攻勢の直前」「軍事攻勢のさなか」といったタイミングによって変化します。 ・軍事攻勢前 軍事攻勢の前段階では、敵国が使用中もしくは使用が明らかな製品や物体を破壊することが重要です。例えば重工業製品や燃料、潤滑油などが破壊の対象となります。一方で、作物や食品は破壊すべきではありません。 ・軍事攻勢の直前 軍事攻勢の直前は、物資や装備の流れを断ち切ることが重要です。このため、「軍用車のタイヤを破壊する」「タイヤの材料となるゴム工場を稼働不能にする」といった破壊活動を積極的に進めるべきです。 ・軍事攻勢のさなか 軍事攻勢のさなかでは、軍事活動に直接かつ即時に影響するものを破壊対象とするべきです。例えば、道路や線路、自動車、トラック、自転車、電車、路面電車を破壊することで、敵兵や物資の輸送を遮断できます。さらに、敵の指揮系統を分断するために電話や電信および電力システム、ラジオ、新聞に対する破壊も有効。加えてガソリンやオイル、食品、水といった物資への破壊も重要です。


◆3:具体的な破壊方法 ・3-a:建物を破壊する方法 倉庫や兵舎、オフィス、ホテル、工場は「火災による被害を受けやすい」「用務員や訪問者など外部の人々が出入りする機会が多い」という特徴を備えているため破壊活動の対象として適しています。火事を起こす具体的な方法や注意点は以下の通り。 ・紙をねじってヒモ状にしてロウソクの根元に置き、ロウソクに着火する。これにより、ロウソクが根元まで燃えた際にヒモに火が燃え移り、火災に発展する。 ・破壊工作員が逃走できる十分な時間を確保できるようにロウソクの長さを調整する。 ・ヒモの先に綿を詰めた袋などの可燃性物質を配置すると火を拡大させやすい。 ・建物の管理人は油性の廃棄物を地下室で管理する場合が多い。このため、地下室を狙うと火災を発生させやすい。 ・破壊工作員が工場の労働者である場合、掃除をサボりゴミを放置しておく。これにより、火災を発生させやすくなる。 さらに、建物を火災以外の方法で破壊する手順も存在しています。 ・スプリンクラーを作動させて、建物内を水浸しにする。 ・トイレに固く丸めた紙や髪の毛を流す。不純物がある程度たまると、下水システムが使用不能になる。 ・スポンジに濃い砂糖水かでんぷん溶液を染み込ませ、丸めてからヒモで固く縛る。乾燥してからヒモを外すとスポンジがボール状になるので、これをトイレに流し下水システムを破壊する。 ・建物の入口の鍵穴にヘアピンや木の枝、紙などを詰め込んで開閉不能にする。

・3-b:生産施設を破壊する方法 各種物資を生産する工場の生産能力を低下させることで、敵の能力を下げることが可能です。工場の生産能力を低下させる方法は以下の通り。 ・ドリルなどの切削工具を鈍らせておく。 ・ノコギリを未使用の間は、少しねじっておく。すると経年劣化が激しくなる。 ・ヤスリを通常より速いストロークで使用する。これにより、ヤスリの摩耗が激しくなる。 ・ヤスリは万力にたたきつけると簡単に壊れる。 ・ドリルビットは強い圧力で簡単に折れる。 ・プレス機に通常より多くの物を入れると正常に機能しなくなる。 ・工具の潤滑接点や電気接点に異物を入れる。 ・オイルさしをサボれば、オイルが必要な機械の動作を不安定にできる。 ・金属粉やヤスリの削りくずなどを潤滑システムに混入させる。 ・機械のフィルターを取り外したり、鉛筆などで穴を開けたりする。 ・異なる種類のオイルを混入させる。 ・オイルの保管容器に穴を開ける。 ・冷却システムに麦や米、髪の毛などを混入させる。 ・加熱したモーターに冷水をかける。何度か繰り返すとひび割れが発生する。 ・吸気バブルおよび排気バブルに不純物を詰め込む。

工場で用いられるガソリンやエンジンに対する破壊手段は以下の通り。 ・ガソリンタンクや燃料タンクに麦や米を詰めて供給ラインを詰まらせる。輪ゴムや消しゴムも効果的である。 ・ガソリン10ガロン(約45リットル)に対して砂糖や蜂蜜を75グラム~100グラム混入させる。これによりエンジンを破壊できる。 ・ガソリンに金属粉や砂、すりガラスなどを混入させる。これにより、エンジンが急速に摩耗する。 ・ガソリンに水や尿、ワインを投入する。これによりガソリンの濃度が下がりエンジンが使用不能になる。 ・軽油が必要なディーゼルエンジンに別の燃料を注油する。 ・ガソリンの保管室に立ち入れる場合は、火を付けたロウソクを置き火災を誘発する。 ・空気中にガソリンが充満していない場合は、「ガソリンタンクに穴を開ける」「保管室の窓を密閉する」といった対策を試みる。 モーターに対する破壊手段は以下の通り。 ・可変抵抗器の抵抗を大きな値に設定する。 ・サーマルリレーの設定を変更する。 ・モーター周辺のゴミや汚れ、ホコリを掃除せずに放置する。 ・接続部のナットを緩めたり、絶縁体を傷付けたりし、流れる電流量を大きくする。 ・モーターの周囲に金属粉をまいてショートを誘発する。

・3-c:鉄道網を破壊する方法 交通網を破壊するために、車掌や乗務員を務める破壊工作員に求められる行動は以下の通り。 ・発券を故意にミスする。 ・同じ座席のチケットを複数枚発券する。 ・発券方式を印刷方式から手書き方式に切り替えて時間を浪費させる。 ・誤った内容の発着表示を掲示する。 ・車内で提供する食事の味を悪くする。 ・切符の確認を真夜中に実施する。 ・夜中に大声で電話する。 ・夜中にできるだけ騒がしく荷物を扱う。 ・荷物の宛先を書き換える ・もっともらしい理由をつけて運行を遅らせる。 ・エンジンを高速回転させ、下り坂でブレーキを多用する。 列車や線路の整備士に求められる破壊活動は以下の通り。 ・信号機や踏切の配線を誤った状態に変更する。 ・踏切が動かないようにネジを緩める。 ・信号機などの電気接点に塩をふりかける。塩が雨水と混ざると、ショートする。 ・車両の連結を緩くする。 ・修理が必要な列車をそのまま運行させる。

・3-d:自動車交通網を破壊する方法 自動車交通網を破壊する方法は以下の通り。 ・交差点や分岐点の標識を変更する。 ・カーブや交差点の危険信号を撤去する。 ・道を尋ねられたら、「橋が封鎖されている」「フェリーの運行が停止している」といった誤った情報を伝える。 ・道路を建設する際に、コンクリートの砂や水の配合を増やす。 ・暖かい季節なら、スコップでアスファルトを掘ることが可能。 ・水門を大きく開き、水流で道路を破壊する。 ・タイヤに穴を開けるためにクギやガラスの破片、とがった石を道路上にまき散らす。 ・バスの運転手は、敵が降りたいバス停をスルーする。 ・タクシーの運転手は、わざと回り道することで時間とお金を浪費させられる。 ・駐車中にライトを点灯し続け、バッテリーを消耗させる。 ・オイルの交換をサボる。 タイヤを損傷させるための手段は以下の通り。 ・マッチ箱にクギを入れ、停車中の車の後輪付近に垂直に立てる。車が発進するとタイヤにクギが刺さりパンクする。 ・修理業者は、タイヤを修理する際にタイヤ内部にガラスやベンジン、水酸化ナトリウムなどを投入する。これによりチューブに穴が空きやすくなる。 ・修理業者は、パンクの原因となった物質をタイヤ内部に残しておく。 ・修理業者は、タイヤの修理時にチューブをリムとホイールの間に挟んでおく。 ・タイヤに空気を入れる際は、規定量より少なめに入れる。 ・タイヤの管理施設に入れる場合は、オイルやガソリン、ベンジンをタイヤに振りかける。ただし、合成ゴムの場合は効果が薄い。

・3-e:通信網を破壊する方法 各種通信手段の中でも、電話を破壊する方法は以下の通り。 ・電話交換手は、番号をわざと間違える。 ・ホテルやオフィスの電話線を切断する。 ・敵の司令部に1日1回以上電話をかけ、業務を妨害する。 ・敵の司令部から電話がかかってきたら「間違い電話だ」と伝える。 ・軍や警察に対して火災や空襲、爆撃に関する虚偽の報告を匿名で行う。 手紙や電報の破壊手段は以下の通り。 ・電報の宛先を故意に間違える。 ・電報の内容を一文字書き換える。例えば「最小」を「最大」に書き換えるなど。 ・郵便局の従業員は、仕事を1日以上遅らせる。 戦時中は、プロパガンダ映画が頻繁に上映されます。これを妨害する手段は以下の通り。 ・映写機の担当者は、ピントをずらし、故意に早回しする。 ・観客は大音量で拍手し、音をかき消す。咳(せき)や私語も有効。 ・紙袋に20~40匹程度の蛾(が)を入れて観客席に入る。上映中に紙袋を開くと、蛾が光に集まり映像の投影を遮断する。

・3-f:組織を破壊する方法 「シンプル・サボタージュ・フィールド・マニュアル」では、「無意味な会議を開きまくる」「無能な部下を重用する」「仕事をサボりまくる」といった手段で組織を破滅に追いやる方法も解説されています。

組織を破壊する方法については、以下の記事に詳しくまとまっています。 CIAが敵の組織を破滅に追いやるために潜入スパイに実行させた「愚者の心得」をまとめたマニュアル「Simple Sabotage Field Manual」 - GIGAZINE


・CIAが敵の組織を破滅に追いやるために潜入スパイに実行させた「愚者の心得」をまとめたマニュアル「Simple Sabotage Field Manual」(Gigazine 2016年8月29日)

※CIAは第2次世界大戦中に敵国にスパイを潜入させて、組織が機能しなくなるよう工作活動を行っていました。その中でも、「Simple Sabotage Field Manual」と呼ばれる極秘マニュアルには、組織を機能不全に追い込むためにはどのように行動するべきかという「組織の癌」とでも呼ぶべき愚者の心得が説かれており、ここには時代を問わず多くの組織で反面教師とするべき含蓄があります。

CleanedUOSSSimpleSabotage_sm.pdf
(PDFファイル)https://www.cia.gov/news-information/featured-story-archive/2012-featured-story-archive/CleanedUOSSSimpleSabotage_sm.pdf

Read the CIA's Simple Sabotage Field Manual: A Timeless, Kafkaesque Guide to Subverting Any Organization with "Purposeful Stupidity" (1944) | Open Culture
http://www.openculture.com/2015/12/simple-sabotage-field-manual.html

CIAがスパイに実践させた組織腐敗行動は以下の通り。このような行動は、すべての組織を機能不全に追い込むと考えられています。


◆組織と会議

・Insist on doing everything through “channels.” Never permit short-cuts to be taken in order to expedite decisions.
(何をするにも「指揮系統」を主張せよ。意志決定を早めるためのいかなるショートカットも認めないようにせよ)

・Make “speeches.” Talk as frequently as possible and at great length. Illustrate your “points” by long anecdotes and accounts of personal experiences.
(ひたすら「演説」せよ。演説は可能な限り頻繁に、そして尋常ならざる長さで行え。論点は、長々とした逸話や体験談で形作れ)

・When possible, refer all matters to committees, for “further study and consideration.” Attempt to make the committee as large as possible — never less than five.
(可能な限り、委員会(会議)に全ての項目を提示せよ。そして「さらなる調査と検討」を求めよ。委員会の大きさはできる限り大きなものにせよ。委員会は決して5人未満ではいけない)

・Bring up irrelevant issues as frequently as possible.
(できるかぎり頻繁に関係のない話題を持ち出せ)

・Haggle over precise wordings of communications, minutes, resolutions.
(解決策が出る直後に、正確な言葉をもって押し問答せよ)

・Refer back to matters decided upon at the last meeting and attempt to re-open the question of the advisability of that decision.
(前回の会議で決まった問題を持ち出して、その決定を再検討するように議論を蒸し返せ)


◆上官

・In making work assignments, always sign out the unimportant jobs first. See that important jobs are assigned to inefficient workers.
(課題を与えるときは、つねに重要でない仕事から先に割り当てよ。重要な仕事は能率の悪い部下に割り当てるように心がけよ)

・Insist on perfect work in relatively unimportant products; send back for refinishing those which have the least flaw.
(相対的に重要ではない仕事に完璧さを要求せよ。ささいな点でも修正するように突き返せ)

・To lower morale and with it, production, be pleasant to inefficient workers; give them undeserved promotions.
(士気を下げ、非生産的な部下が心地よいようにせよ。出来の悪い部下に不当な昇進を与えよ)

・Hold conferences when there is more critical work to be done.
(やるべき重大な仕事があるときこそ、会議を開催せよ。)

・Multiply the procedures and clearances involved in issuing instructions, pay checks, and so on. See that three people have to approve everything where one would do.
(許認可、指示、確認などあらゆる手続きを複雑化せよ。一人で決められる事でも3人の承認が必要なように取りはからえ)


◆部下

・Work slowly.
(とろとろのろまに働け)

・Contrive as many interruptions to your work as you can.
(できる限り多くの仕事の妨げになるよう企画せよ)

・Do your work poorly and blame it on bad tools, machinery, or equipment. Complain that these things are preventing you from doing your job right.
(仕事は下手くそにやり、道具や機械のせいにせよ。「こんな道具では仕事にならない」と不平不満の声を発せよ)