※ブログ主注:あくまで現時点での仮説としてお読みください。
・デルタ株が死滅!?第5波収束の一因か?(テレ朝NEWS 2021年11月6日)
※8月下旬のピークの前に、ほとんどのウイルスが増殖できないようなタイプに置き換わっていた可能性
第5波の感染拡大の大きな原因となったデルタ株。そのウイルスを、国立遺伝学研究所と、新潟大学が分析したところ、8月下旬のピークの前に、ほとんどのウイルスが増殖できないようなタイプに置き換わっていて、結果的にウイルスが死滅し、第5波収束の一因になった可能性があると発表しました。実は、このデルタ株が死滅した仕組みには、私たち”日本人”が体内に多く持つといわれるある物質が関係しているそうなんです。一体なぜ、デルタ株が死滅していったのか。
コピーミスを修正する物質
そもそもウイルスは体内に入り、細胞に入り込むと自分を作る「設計図」を大量にコピーして、そこからウイルスがどんどん作り出されます。でも、時には設計図のコピーミスで、違った形のウイルスができることも。これが”変異株”で、デルタ株もこうしてできたと考えられています。ただ、ウイルスの中には コピーミスを修正しようという“物質”がいて間違った設計図を正しいものに書き直そうとするんです。
さらに作業を邪魔する酵素も
ところが、その作業を邪魔しようという酵素が、私たちの体の中にはいるんです。その酵素は、ウイルス自体も攻撃するんですが、今回の研究では、設計図の修正作業を邪魔する働きもあると推測しています。この酵素の働きが強いと、設計図は修正されないまま、ウイルスの変異がどんどんと進みます。
設計図が修正されないままコピーがすすむ
さらに、デルタ株は、感染力が強いので一気に広まっていきますが、それと同時に体内でコピーミスもどんどん起き、設計図は修正されないままグチャグチャに!そうなると「もうお手上げ!」原型をとどめていない設計図では、ウイルスを作れず、増やすこともできません。その結果、多くの人の体内で、デルタ株が死滅していったのではないかということです。
東アジアの人やオセアニアの人は”酵素”の働きが活発
これが第5波収束の一因になった可能性があると考えられています。また、分析を行った、国立遺伝学研究所の井ノ上先生によると、「日本人を含む東アジアの人や、オセアニアの人は、設計図の修正を邪魔する酵素の働きが活発」なんだそうです。
・新型コロナウイルス「死滅説」と「風邪化説」は朗報か? 国立遺伝学研究所とNY大が指摘(日刊ゲンダイDIGITAL 2021年11月3日)
※1日の東京の新型コロナウイルス感染者数は9人。1年5カ月ぶりの1桁に安堵感が広がった。だが海外では10月下旬から感染者数と死者数が増加に転じ、ロシアなどでは深刻な状況が続いている。10月28日、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は「パンデミック収束は程遠い」と警戒を呼びかけた。
そんな中、2つのニュースが注目されている。1つは国立遺伝学研究所などがまとめた研究結果。第5波が収束したのはウイルスの変異を修復する酵素「nsp14」が変化したためで、担当した研究者は「修復が追いつかず死滅したのではないか」と指摘している。
もう1つはニューヨーク大の見解で、ウイルスが変異を起こし過ぎると感染力と複製力が低下すると予想。ウイルスは今後も感染拡大を繰り返し、最終的に普通の風邪のような状態になると推測しているのだ。
ハーバード大学院卒で近著に「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)がある医学博士の左門新氏に解説してもらった。
まず「死滅説」について。
「ウイルスが変異するとき変異を修復して元に戻す酵素が存在しますが、この酵素はウイルス内の遺伝子によって作られる。この遺伝子が変化すると酵素も変異し、その結果、酵素が本来持っていた修復能力が働かなくなるとの理論です。その酵素がnsp14で、修復が阻害されたためウイルスが死滅したのではないかと研究者が推測しているのです」
ニューヨーク大の理論には2つの裏付けがある。①度重なる変異によってウイルスの毒性が強まると、感染した人などが死に、ウイルス自体も一緒に死滅する(自然淘汰)②毒性が強いと人間がワクチンなどの対策を強化するため、毒性の弱いウイルスのみが生き延び風邪の状態になる(適者生存)。こうした理由でウイルスの脅威が収まるというのだ。
「死滅」と「風邪化」――。どちらも朗報だが、信じていいのか。
「遺伝学研究所が言うように、第5波収束の原因は酵素の変化が多少関係しているとも考えられます。ただ、それが大きな原因とは言えず、死滅はあくまでも推測にすぎない。普通の風邪に変化するとの見方は以前から医師たちが指摘していること。断定はできませんが、新型コロナで同様の現象が起きるとも考えられます」(左門新氏)
第6波が深刻にならないよう祈りたい。
・「激減した理由すら説明できないのはおかしい」現役医師が痛感した“コロナ専門家”の無責任ぶり(PRESIDENT ONLINE 2021年11月10日)
大和田 潔
なぜ新型コロナの新規感染者数は激減したのか。医師の大和田潔氏は「専門家はワクチン接種や自粛の成果を強調するが、説明になっていない。もし次の波が来たとしても、重症者が増えないようなら普段通りの生活を続けたほうがいい」という――。
※なぜ新規感染者数は激減したのか
日本の新規陽性者数の激減が世界中で注目されています。たとえばアメリカのニュース雑誌『TIME』のオンライン版では「Japan's Plummeting COVID-19 Cases Create Mysterious Success Story」(日本の急減した新型コロナ陽性者が示すミステリアスなサクセスストーリー)として紹介されています(注1)。
なぜ陽性者が激減したのか。私は、臨床医としてその理由をずっと考えてきましたが、ひとまずの結論としては、今後も日本では大流行は起きないのではないかと予想しています。そして、コロナの激減は日本の「地の利」ではないかと思っています。
幻の第1波と、各国で異なるコロナ被害
2019年夏ごろ、中国でPCR機器が大量に発注されコロナウイルス肺炎(COVID-19)が流行したことが推察されています(注2)。そのころ、中国の人々は大量にインバウンドで来日されていました。2020年1月や2月には、日本のマスクを大量買いする中国旅行者の姿も報道されています。
2019年末に日本国内に入り込み始めていたとすると、日本に「新型」コロナウイルスが上陸して既に2年が経過することになります。2019年末の上陸時はPCRが行われていなかったため認識されていませんが、私は「幻の第1波」があったのではないかと思っています。
このコラムでも時折触れてきましたが、日本のコロナウイルスの被害は世界的にみると軽微でした。そして、高齢者と持病リスクの高い人々に集中する特徴をもっていました。老若男女の感染した人々がバタバタと倒れる病(やまい)ではありませんでした。
世界では、特に西洋諸国では被害が大きく日本とは異なる様相を呈していました。2020年夏ごろにはそれが明白になっていました。その後もその傾向は変わることなく続きました。

世界保健機関の「WHO Coronavirus(COVID-19)Dashboard」を見ると、国や地域で大きく偏りがあることがわかります(注3)。
中国を中心としたアジア・オセアニアの周辺国や中東、アフリカでは被害が少なく、南北アメリカ大陸、欧州諸国で被害が大きいことがわかります。アフリカ大陸では南アフリカの被害が目立ちます。
もし、コロナウイルスがエボラ出血熱のようなどの人類も経験したことのない致死的ウイルスだったとしたら、世界中の老若男女が死亡したためこのような偏りは出なかったでしょう。これが観察された事実です。
なぜコロナ被害が国・地域で偏るのか
流行当初から私はこの偏りに注目してきました。アジアの一つである日本で被害が少ない理由は、守ってくれている“何か”があるからに違いありません。私は2つ要因を考えています。ウイルス側の要因と、ホストのわたしたち側の要因です。
まずはウイルス側の要因を見ていきましょう。
私たち日本の町医者には「コロナウイルス」は冬季に流行する弱毒ウイルスとしてなじみ深いものです。そのため、季節性コロナウイルスは注目されることなく、特別検査することも他のウイルスと鑑別診断することもなく「冬のカゼ」として対症療法薬の処方で治療してきました。
季節性コロナウイルスは4種類が知られていて、その流行パターンは地道に研究される対象でした(注4)。
私たち日本人のほとんどは、子供の頃から季節性コロナウイルスに暴露されてきました。もともとコロナウイルスは変異しにくく、インフルエンザの10分の1程度であることをウイルス学研究者で医師の本間真二郎先生が示されています(注5)。
コロナウイルスは、nsp14というウイルス自身の遺伝子修復を行う部位を持っていてあまり変化しないのです(注6)。新型コロナウイルスは、たまたま世界に拡散できるように変異したため世界流行したと考えられます。
ウイルスには、変異する部位と変異しない部位があります。季節性コロナウイルスの感染でも、ある程度の免疫を発揮したのではないかと私は推測しています。
コロナウイルスにエラーを起こすAPOBEC酵素
もう一つは、ホスト側の私たちの要因についてです。
人間は、一度入り込んだ外敵を排除する免疫システムを持っています。ワクチンはそれを利用したものです。
これまであまり知られていませんでしたが、免疫系だけでないウイルスに対抗する手段も持っています。それが、APOBEC(アポベック;apolipoprotein B mRNA editing enzyme, catalytic polypeptide-like)というヒトの細胞内にある酵素です。ウイルスが侵入すると細胞は危険信号のサイトカインを発します。サイトカインで誘導される酵素の一つです。
ウイルスの遺伝子に変異を起こして、エラーを起こさせウイルスを自滅させる働きを持ちます。国立遺伝学研究所と新潟大のチームから、日本人をはじめとしたアジア・オセアニアに酵素活性が強い人が多いことが報告されました(注6)。アルコール分解酵素と同じように細胞内の酵素なので先天的に親から遺伝してくる生まれつきのものです。
コロナウイルスの遺伝子にエラーを起こして、コロナが遺伝子を修復できないようにしていたようなのです。ウイルスはほぼ最小限の遺伝子とカプセルでできているので、その遺伝子にエラーが生じて修復できないことはウイルスにとって致命的になります。
それでは、なぜアジア・オセアニアにAPOBECの活性が強い人々が多いのでしょう? そこがまさに面白いところです。
中国のジャコウネコ、中東のラクダ
コロナウイルスは、動物由来の感染症の側面を持ちます。「過去のコロナウイルスの教訓」という面白い論文があります(注7)。コロナウイルスは、豚やコウモリ、ラクダから人間に伝染してきた歴史を記した論文です。豚からの胃腸炎も報告されています。
感冒ウイルスを鑑別することができなかった時代にも、地域的コロナウイルスの大流行が過去にも世界的に繰り返されてきたはずです。
通常コロナウイルスが自然界で住処(すみか)にしているのはコウモリです。呼吸器感染症のSARSがジャコウネコ(ハクビシン)を経由し中国発祥、MERSではラクダ経由の中東発祥であることが有名です。これらは、人類がウイルスの遺伝子を分析できるようになったのちのものです。アフリカのエボラ出血熱もフルーツコウモリが起源です。
森を切り開き家畜や食糧の元になる野生動物と共に暮らすようになった有史以来、数々の獣を経てコロナ感染症に人間はさらされてきたことでしょう。そして、ヒト―ヒト感染するコロナウイルスだった場合に時折パンデミックとなったのかもしれません。
このように中国周辺国や中東などの地域では、昔から動物由来のコロナウイルス感染にさらされてきたわけです。コロナウイルスのエラーを引き起こすAPOBEC酵素活性が強く病気に強い人が淘汰されてきたと考えると自然です。
逆にウイルスが淘汰される循環
そしてコロナウイルス側も、いたずらに細胞を刺激してサイトカインによるAPOBEC誘導が起きないように弱毒変化していったのかもしれません。季節性コロナウイルスは、動物由来感染症を離れて目立たないようにヒト―ヒト感染することで生き延びるようになったコロナウイルスだと考えています。
私は、このような地政学的な理由から、季節性コロナウイルスによる免疫やAPOBEC活性によって日本の流行被害は小さくなったのではと考えています。
ウイルスの毒性が強くなってヒトの細胞が刺激されAPOBEC活性が強まるとウイルス遺伝子にエラーが起きて不利になります。ウイルス側としてはヒトの細胞をあまり刺激しない無毒化したものが生き延びて淘汰されていくことでしょう。
新型コロナウイルスが流行してエラーを起こして廃れて、変異型がやってきてまた流行する。でも、そのたびに毒性が減っていった周期的な流行の繰り返しもそれで説明ができるかもしれません。5波では、はっきりした「陽性者数と被害のリンク切れ」が観察されました。もちろん、それまでの流行波による獲得免疫も追加され被害を減らしたことでしょう。
これからも新型コロナウイルス(SARS-COV2)がヒト―ヒト感染で生き延びるとするなら、無毒の5番目の季節性コロナウイルスにならざるをないと私が考える理由です。2019年末にコラムでお伝えしたとおりです(注9)。
ワクチン接種率を高めても新規感染者数の発生は抑えられない
ワクチンの影響はどうでしょうか。残念ながらワクチン接種率を高めてもブレークスルーによる感染爆発が複数の国で観察されています。
地域性がありますので、同じアジアの中で比較してみましょう。インド、インドネシア、シンガポールです。

シンガポールは統制のとれた豊かな国です。ワクチン接種率は8割を超えています。インドとインドネシアは接種率が低く、1回しか接種していない人々もたくさんいます。
ところが、流行をみてみると以下のようになっています。

シンガポールの感染者数が他2国を追い抜いてしまっています。接種率が高いといっても発症数が抑えられるわけではないのです。どうやらこの遺伝子ワクチンは、天然痘を撲滅させた生ワクチンほど有効ではないようです。
インドもインドネシアも、日本同様に発症数や死亡者数が激減してきています。こういった国に共通することがあります。それは「自然感染の大きな波をいくつも経ている」ということです。

インドは大きな被害を出しながらも流行の波が去っていきました。インドネシアも似た波形になっています。イギリスや米国も同様に被害に苦しみながら、幾度もの波を越えて陽性者数や重症者数が減っています。

ワクチン接種率が高くても感染爆発したシンガポールは、先延ばししていた流行が終わろうとしているところです。他国に後れを取りましたが無事に波を乗り越えているようです。
「地の利があった」自然感染の波を何度も乗り越えた日本
日本の波形を見てみましょう。

理想的な形に見えませんか? 5波では「陽性者数と死亡者数のリンク切れ」が観測されました。日本はこのように幾度もの自然感染の波を無事に乗り越えています。次は6波目になります。もし2019年の波を加えれば次は7回目になるわけです。
地政学的な応援を受けて、私たちは軽微に波を何回も乗り越えることができたのです。コラムでもお伝えしてきたように、日本の清潔な都市設計や暮らし方、充実した医療システムも波を乗り越える大切なファクターでした。
新型コロナウイルスはどう乗り越えればよかったのか
それではどのように新型コロナウイルスを乗り越えれば良かったのでしょう?
地政学的なアドバンテージを理解しつつ、重症者に対応しながらユルユル対策するのが正解だったわけです(注8)。
ロックダウンもせず、緊急事態宣言を無視して営業を続ける飲食店に警察が踏み込むこともなく、私権制限をする法律をつくるでもなく、国民に自粛をお願いすることでなんとなくやり過ごした日本は大正解だったのです。
国民が過剰な危機意識をもつこともなく、オリンピックやパラリンピックを開催して正解だったのです(注9)。コロナ専門家やメディアが引き起こしている過剰な恐怖の欺瞞(ぎまん)を見抜いて懐疑的だった国民の慧眼も正解でした。
専門家が道具に使っていた陽性者数には、もう関わる必要はありません。封じ込めも可能だったごく初期以外は、捕捉できない人々が多数にのぼったPCRが治療の鑑別診断の目的以外には有害無益でした。今なら理解していただけることでしょう。
こうやって今後も無事に自然感染の波を何回も越えていけば良いわけです。感染が「天然の生ワクチン」接種になります。それが世界的に観察された事実です。コウモリからハクビシンを経たコロナウイルスが中国周辺のアジアの人々を、ラクダを経たコロナウイルスが中東の人々を新型コロナウイルスから守ってくれたのかもしれません。
日本のコロナウイルスの激減の理由は、「自粛の成果」や「若者に危機意識が浸透したから」ではないと思っています。専門家は最後まで行動変容を呼びかけてきましたが、目の前で起きている激減を説明できていません。以前の記事で「陽性者急減の理由も(専門家には)わかっていない」(注10)と書いたのはそのためです。
人間が有している検出系も知識も未熟です。そういう自覚をもって、生物や自然界に起きている物事を謙虚に観察して考察することが必要だと思っています。人類の蟷螂(とうろう)の斧でウイルスを封じ込めたり制圧することはできないのです。
ヒトはウイルスの中で生まれ生き延びてきた
こういった動物からヒトへ感染するウイルスは、時折パンデミックを起こして私たちに被害をもたらします。でも、それが未来の私たちを守る力にもなります。被害がないなら自然感染してしまえば良いので、子供たちへのワクチン接種は慎重にあるべきだと主張してきた理由もそこにあります。クラスター追跡も不要です。
特に今回の遺伝子ワクチンは、ウイルスが持つ数々のタンパク質のうちスパイクタンパク質にしか免疫を作りません。作り出されたタンパク質も自然界に存在するウイルス表面に整列する立体構造をしていません。
人間は、自分の生きている時間で物事を考えがちです。数十億年前の太古の昔から存在したウイルスの中に、ずっと遅れてヒトが登場してきました。ウイルスの中で生き残るために、私たちがまだ理解していないメカニズムを獲得して人類は生き延びてきたと考えるべきでしょう。理解できていないことがたくさんあるはずです。
私たち日本人には、このような地政学的なアドバンテージに加え新たに幾度も新型コロナの波を乗り越えた免疫力があります。これからは、発生してくる重症者に対応していくだけで良いことがわかります。重症者に警戒しつつ、このまま人々の交流を保って経済活動を行っていけばよいわけです。
コロナ以外のカゼウイルスもたくさんあります。胃腸炎も流行り始めました。肺炎球菌や誤嚥性肺炎もあります。
バランスのいい食事を心がけ適切な運動をしてリスクを減らし、免疫力を高めましょう。清潔な衣食住に心を配って暮らしていきましょう。生活習慣によって免疫力を高めることができます。
私たちは新しいスタートに立ったばかりです。元気よくすごしていきましょう。
参考文献
1.Japan's Plummeting COVID-19 Cases Create Mysterious Success Story
2.19年夏にPCR機器を中国が大量発注 米英豪チームが解析 コロナ12月発生説を疑問視 日経新聞 2021年10月5日
3.WHO Coronavirus (COVID-19) Dashboard
4.季節性コロナウイルス感染症は冬に流行する 山形衛生研究所
5.
新型コロナの変異株、実はそれほど「凶暴化しない」といえる、意外すぎるワケ
ウイルス学研究者が教える
本間 真二郎 現代ビジネス 2021年10月15日
6.第5波収束は「デルタ株のゲノム変異蓄積」 修復追いつかず死滅か 毎日新聞 10月30日
7.Lessons of Past Coronavirus Pandemics. Population and Development Review, Volume46, Issue3 September 2020 Pages 633-637
8.現役医師が断言「緩い日本のコロナ対策はむしろ多くの命を救った」 日本のやり方こそが最適解だった
9.現役医師「ゼロコロナは永遠にやってこない。だからオリンピックを楽しもう」 コロナと共存する時代がやってくる
10.「冬に第6波が来ても、緊急事態宣言は必要ない」現役医師が空気を読まずそう断言する理由 陽性者急減の理由もわかっていない
---------- 大和田 潔(おおわだ・きよし) 医師 1965年東京葛飾区生まれ、福島県立医科大学を卒業後、東京医科歯科大学神経内科にすすむ。厚労省の日本の医療システム研究に参加し救急病院、在宅診療に勤務の後、東京医科歯科大学大学院にて基礎医学研究を修める。東京医科歯科大学臨床教授を経て、あきはばら駅クリニック院長(現職)。頭痛専門医、神経内科専門医、総合内科専門医、米国内科学会会員、医学博士。 ----------
・デルタ株が死滅!?第5波収束の一因か?(テレ朝NEWS 2021年11月6日)
※8月下旬のピークの前に、ほとんどのウイルスが増殖できないようなタイプに置き換わっていた可能性
第5波の感染拡大の大きな原因となったデルタ株。そのウイルスを、国立遺伝学研究所と、新潟大学が分析したところ、8月下旬のピークの前に、ほとんどのウイルスが増殖できないようなタイプに置き換わっていて、結果的にウイルスが死滅し、第5波収束の一因になった可能性があると発表しました。実は、このデルタ株が死滅した仕組みには、私たち”日本人”が体内に多く持つといわれるある物質が関係しているそうなんです。一体なぜ、デルタ株が死滅していったのか。
コピーミスを修正する物質
そもそもウイルスは体内に入り、細胞に入り込むと自分を作る「設計図」を大量にコピーして、そこからウイルスがどんどん作り出されます。でも、時には設計図のコピーミスで、違った形のウイルスができることも。これが”変異株”で、デルタ株もこうしてできたと考えられています。ただ、ウイルスの中には コピーミスを修正しようという“物質”がいて間違った設計図を正しいものに書き直そうとするんです。
さらに作業を邪魔する酵素も
ところが、その作業を邪魔しようという酵素が、私たちの体の中にはいるんです。その酵素は、ウイルス自体も攻撃するんですが、今回の研究では、設計図の修正作業を邪魔する働きもあると推測しています。この酵素の働きが強いと、設計図は修正されないまま、ウイルスの変異がどんどんと進みます。
設計図が修正されないままコピーがすすむ
さらに、デルタ株は、感染力が強いので一気に広まっていきますが、それと同時に体内でコピーミスもどんどん起き、設計図は修正されないままグチャグチャに!そうなると「もうお手上げ!」原型をとどめていない設計図では、ウイルスを作れず、増やすこともできません。その結果、多くの人の体内で、デルタ株が死滅していったのではないかということです。
東アジアの人やオセアニアの人は”酵素”の働きが活発
これが第5波収束の一因になった可能性があると考えられています。また、分析を行った、国立遺伝学研究所の井ノ上先生によると、「日本人を含む東アジアの人や、オセアニアの人は、設計図の修正を邪魔する酵素の働きが活発」なんだそうです。
・新型コロナウイルス「死滅説」と「風邪化説」は朗報か? 国立遺伝学研究所とNY大が指摘(日刊ゲンダイDIGITAL 2021年11月3日)
※1日の東京の新型コロナウイルス感染者数は9人。1年5カ月ぶりの1桁に安堵感が広がった。だが海外では10月下旬から感染者数と死者数が増加に転じ、ロシアなどでは深刻な状況が続いている。10月28日、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は「パンデミック収束は程遠い」と警戒を呼びかけた。
そんな中、2つのニュースが注目されている。1つは国立遺伝学研究所などがまとめた研究結果。第5波が収束したのはウイルスの変異を修復する酵素「nsp14」が変化したためで、担当した研究者は「修復が追いつかず死滅したのではないか」と指摘している。
もう1つはニューヨーク大の見解で、ウイルスが変異を起こし過ぎると感染力と複製力が低下すると予想。ウイルスは今後も感染拡大を繰り返し、最終的に普通の風邪のような状態になると推測しているのだ。
ハーバード大学院卒で近著に「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)がある医学博士の左門新氏に解説してもらった。
まず「死滅説」について。
「ウイルスが変異するとき変異を修復して元に戻す酵素が存在しますが、この酵素はウイルス内の遺伝子によって作られる。この遺伝子が変化すると酵素も変異し、その結果、酵素が本来持っていた修復能力が働かなくなるとの理論です。その酵素がnsp14で、修復が阻害されたためウイルスが死滅したのではないかと研究者が推測しているのです」
ニューヨーク大の理論には2つの裏付けがある。①度重なる変異によってウイルスの毒性が強まると、感染した人などが死に、ウイルス自体も一緒に死滅する(自然淘汰)②毒性が強いと人間がワクチンなどの対策を強化するため、毒性の弱いウイルスのみが生き延び風邪の状態になる(適者生存)。こうした理由でウイルスの脅威が収まるというのだ。
「死滅」と「風邪化」――。どちらも朗報だが、信じていいのか。
「遺伝学研究所が言うように、第5波収束の原因は酵素の変化が多少関係しているとも考えられます。ただ、それが大きな原因とは言えず、死滅はあくまでも推測にすぎない。普通の風邪に変化するとの見方は以前から医師たちが指摘していること。断定はできませんが、新型コロナで同様の現象が起きるとも考えられます」(左門新氏)
第6波が深刻にならないよう祈りたい。
・「激減した理由すら説明できないのはおかしい」現役医師が痛感した“コロナ専門家”の無責任ぶり(PRESIDENT ONLINE 2021年11月10日)
大和田 潔
なぜ新型コロナの新規感染者数は激減したのか。医師の大和田潔氏は「専門家はワクチン接種や自粛の成果を強調するが、説明になっていない。もし次の波が来たとしても、重症者が増えないようなら普段通りの生活を続けたほうがいい」という――。
※なぜ新規感染者数は激減したのか
日本の新規陽性者数の激減が世界中で注目されています。たとえばアメリカのニュース雑誌『TIME』のオンライン版では「Japan's Plummeting COVID-19 Cases Create Mysterious Success Story」(日本の急減した新型コロナ陽性者が示すミステリアスなサクセスストーリー)として紹介されています(注1)。
なぜ陽性者が激減したのか。私は、臨床医としてその理由をずっと考えてきましたが、ひとまずの結論としては、今後も日本では大流行は起きないのではないかと予想しています。そして、コロナの激減は日本の「地の利」ではないかと思っています。
幻の第1波と、各国で異なるコロナ被害
2019年夏ごろ、中国でPCR機器が大量に発注されコロナウイルス肺炎(COVID-19)が流行したことが推察されています(注2)。そのころ、中国の人々は大量にインバウンドで来日されていました。2020年1月や2月には、日本のマスクを大量買いする中国旅行者の姿も報道されています。
2019年末に日本国内に入り込み始めていたとすると、日本に「新型」コロナウイルスが上陸して既に2年が経過することになります。2019年末の上陸時はPCRが行われていなかったため認識されていませんが、私は「幻の第1波」があったのではないかと思っています。
このコラムでも時折触れてきましたが、日本のコロナウイルスの被害は世界的にみると軽微でした。そして、高齢者と持病リスクの高い人々に集中する特徴をもっていました。老若男女の感染した人々がバタバタと倒れる病(やまい)ではありませんでした。
世界では、特に西洋諸国では被害が大きく日本とは異なる様相を呈していました。2020年夏ごろにはそれが明白になっていました。その後もその傾向は変わることなく続きました。

世界保健機関の「WHO Coronavirus(COVID-19)Dashboard」を見ると、国や地域で大きく偏りがあることがわかります(注3)。
中国を中心としたアジア・オセアニアの周辺国や中東、アフリカでは被害が少なく、南北アメリカ大陸、欧州諸国で被害が大きいことがわかります。アフリカ大陸では南アフリカの被害が目立ちます。
もし、コロナウイルスがエボラ出血熱のようなどの人類も経験したことのない致死的ウイルスだったとしたら、世界中の老若男女が死亡したためこのような偏りは出なかったでしょう。これが観察された事実です。
なぜコロナ被害が国・地域で偏るのか
流行当初から私はこの偏りに注目してきました。アジアの一つである日本で被害が少ない理由は、守ってくれている“何か”があるからに違いありません。私は2つ要因を考えています。ウイルス側の要因と、ホストのわたしたち側の要因です。
まずはウイルス側の要因を見ていきましょう。
私たち日本の町医者には「コロナウイルス」は冬季に流行する弱毒ウイルスとしてなじみ深いものです。そのため、季節性コロナウイルスは注目されることなく、特別検査することも他のウイルスと鑑別診断することもなく「冬のカゼ」として対症療法薬の処方で治療してきました。
季節性コロナウイルスは4種類が知られていて、その流行パターンは地道に研究される対象でした(注4)。
私たち日本人のほとんどは、子供の頃から季節性コロナウイルスに暴露されてきました。もともとコロナウイルスは変異しにくく、インフルエンザの10分の1程度であることをウイルス学研究者で医師の本間真二郎先生が示されています(注5)。
コロナウイルスは、nsp14というウイルス自身の遺伝子修復を行う部位を持っていてあまり変化しないのです(注6)。新型コロナウイルスは、たまたま世界に拡散できるように変異したため世界流行したと考えられます。
ウイルスには、変異する部位と変異しない部位があります。季節性コロナウイルスの感染でも、ある程度の免疫を発揮したのではないかと私は推測しています。
コロナウイルスにエラーを起こすAPOBEC酵素
もう一つは、ホスト側の私たちの要因についてです。
人間は、一度入り込んだ外敵を排除する免疫システムを持っています。ワクチンはそれを利用したものです。
これまであまり知られていませんでしたが、免疫系だけでないウイルスに対抗する手段も持っています。それが、APOBEC(アポベック;apolipoprotein B mRNA editing enzyme, catalytic polypeptide-like)というヒトの細胞内にある酵素です。ウイルスが侵入すると細胞は危険信号のサイトカインを発します。サイトカインで誘導される酵素の一つです。
ウイルスの遺伝子に変異を起こして、エラーを起こさせウイルスを自滅させる働きを持ちます。国立遺伝学研究所と新潟大のチームから、日本人をはじめとしたアジア・オセアニアに酵素活性が強い人が多いことが報告されました(注6)。アルコール分解酵素と同じように細胞内の酵素なので先天的に親から遺伝してくる生まれつきのものです。
コロナウイルスの遺伝子にエラーを起こして、コロナが遺伝子を修復できないようにしていたようなのです。ウイルスはほぼ最小限の遺伝子とカプセルでできているので、その遺伝子にエラーが生じて修復できないことはウイルスにとって致命的になります。
それでは、なぜアジア・オセアニアにAPOBECの活性が強い人々が多いのでしょう? そこがまさに面白いところです。
中国のジャコウネコ、中東のラクダ
コロナウイルスは、動物由来の感染症の側面を持ちます。「過去のコロナウイルスの教訓」という面白い論文があります(注7)。コロナウイルスは、豚やコウモリ、ラクダから人間に伝染してきた歴史を記した論文です。豚からの胃腸炎も報告されています。
感冒ウイルスを鑑別することができなかった時代にも、地域的コロナウイルスの大流行が過去にも世界的に繰り返されてきたはずです。
通常コロナウイルスが自然界で住処(すみか)にしているのはコウモリです。呼吸器感染症のSARSがジャコウネコ(ハクビシン)を経由し中国発祥、MERSではラクダ経由の中東発祥であることが有名です。これらは、人類がウイルスの遺伝子を分析できるようになったのちのものです。アフリカのエボラ出血熱もフルーツコウモリが起源です。
森を切り開き家畜や食糧の元になる野生動物と共に暮らすようになった有史以来、数々の獣を経てコロナ感染症に人間はさらされてきたことでしょう。そして、ヒト―ヒト感染するコロナウイルスだった場合に時折パンデミックとなったのかもしれません。
このように中国周辺国や中東などの地域では、昔から動物由来のコロナウイルス感染にさらされてきたわけです。コロナウイルスのエラーを引き起こすAPOBEC酵素活性が強く病気に強い人が淘汰されてきたと考えると自然です。
逆にウイルスが淘汰される循環
そしてコロナウイルス側も、いたずらに細胞を刺激してサイトカインによるAPOBEC誘導が起きないように弱毒変化していったのかもしれません。季節性コロナウイルスは、動物由来感染症を離れて目立たないようにヒト―ヒト感染することで生き延びるようになったコロナウイルスだと考えています。
私は、このような地政学的な理由から、季節性コロナウイルスによる免疫やAPOBEC活性によって日本の流行被害は小さくなったのではと考えています。
ウイルスの毒性が強くなってヒトの細胞が刺激されAPOBEC活性が強まるとウイルス遺伝子にエラーが起きて不利になります。ウイルス側としてはヒトの細胞をあまり刺激しない無毒化したものが生き延びて淘汰されていくことでしょう。
新型コロナウイルスが流行してエラーを起こして廃れて、変異型がやってきてまた流行する。でも、そのたびに毒性が減っていった周期的な流行の繰り返しもそれで説明ができるかもしれません。5波では、はっきりした「陽性者数と被害のリンク切れ」が観察されました。もちろん、それまでの流行波による獲得免疫も追加され被害を減らしたことでしょう。
これからも新型コロナウイルス(SARS-COV2)がヒト―ヒト感染で生き延びるとするなら、無毒の5番目の季節性コロナウイルスにならざるをないと私が考える理由です。2019年末にコラムでお伝えしたとおりです(注9)。
ワクチン接種率を高めても新規感染者数の発生は抑えられない
ワクチンの影響はどうでしょうか。残念ながらワクチン接種率を高めてもブレークスルーによる感染爆発が複数の国で観察されています。
地域性がありますので、同じアジアの中で比較してみましょう。インド、インドネシア、シンガポールです。

シンガポールは統制のとれた豊かな国です。ワクチン接種率は8割を超えています。インドとインドネシアは接種率が低く、1回しか接種していない人々もたくさんいます。
ところが、流行をみてみると以下のようになっています。

シンガポールの感染者数が他2国を追い抜いてしまっています。接種率が高いといっても発症数が抑えられるわけではないのです。どうやらこの遺伝子ワクチンは、天然痘を撲滅させた生ワクチンほど有効ではないようです。
インドもインドネシアも、日本同様に発症数や死亡者数が激減してきています。こういった国に共通することがあります。それは「自然感染の大きな波をいくつも経ている」ということです。

インドは大きな被害を出しながらも流行の波が去っていきました。インドネシアも似た波形になっています。イギリスや米国も同様に被害に苦しみながら、幾度もの波を越えて陽性者数や重症者数が減っています。

ワクチン接種率が高くても感染爆発したシンガポールは、先延ばししていた流行が終わろうとしているところです。他国に後れを取りましたが無事に波を乗り越えているようです。
「地の利があった」自然感染の波を何度も乗り越えた日本
日本の波形を見てみましょう。

理想的な形に見えませんか? 5波では「陽性者数と死亡者数のリンク切れ」が観測されました。日本はこのように幾度もの自然感染の波を無事に乗り越えています。次は6波目になります。もし2019年の波を加えれば次は7回目になるわけです。
地政学的な応援を受けて、私たちは軽微に波を何回も乗り越えることができたのです。コラムでもお伝えしてきたように、日本の清潔な都市設計や暮らし方、充実した医療システムも波を乗り越える大切なファクターでした。
新型コロナウイルスはどう乗り越えればよかったのか
それではどのように新型コロナウイルスを乗り越えれば良かったのでしょう?
地政学的なアドバンテージを理解しつつ、重症者に対応しながらユルユル対策するのが正解だったわけです(注8)。
ロックダウンもせず、緊急事態宣言を無視して営業を続ける飲食店に警察が踏み込むこともなく、私権制限をする法律をつくるでもなく、国民に自粛をお願いすることでなんとなくやり過ごした日本は大正解だったのです。
国民が過剰な危機意識をもつこともなく、オリンピックやパラリンピックを開催して正解だったのです(注9)。コロナ専門家やメディアが引き起こしている過剰な恐怖の欺瞞(ぎまん)を見抜いて懐疑的だった国民の慧眼も正解でした。
専門家が道具に使っていた陽性者数には、もう関わる必要はありません。封じ込めも可能だったごく初期以外は、捕捉できない人々が多数にのぼったPCRが治療の鑑別診断の目的以外には有害無益でした。今なら理解していただけることでしょう。
こうやって今後も無事に自然感染の波を何回も越えていけば良いわけです。感染が「天然の生ワクチン」接種になります。それが世界的に観察された事実です。コウモリからハクビシンを経たコロナウイルスが中国周辺のアジアの人々を、ラクダを経たコロナウイルスが中東の人々を新型コロナウイルスから守ってくれたのかもしれません。
日本のコロナウイルスの激減の理由は、「自粛の成果」や「若者に危機意識が浸透したから」ではないと思っています。専門家は最後まで行動変容を呼びかけてきましたが、目の前で起きている激減を説明できていません。以前の記事で「陽性者急減の理由も(専門家には)わかっていない」(注10)と書いたのはそのためです。
人間が有している検出系も知識も未熟です。そういう自覚をもって、生物や自然界に起きている物事を謙虚に観察して考察することが必要だと思っています。人類の蟷螂(とうろう)の斧でウイルスを封じ込めたり制圧することはできないのです。
ヒトはウイルスの中で生まれ生き延びてきた
こういった動物からヒトへ感染するウイルスは、時折パンデミックを起こして私たちに被害をもたらします。でも、それが未来の私たちを守る力にもなります。被害がないなら自然感染してしまえば良いので、子供たちへのワクチン接種は慎重にあるべきだと主張してきた理由もそこにあります。クラスター追跡も不要です。
特に今回の遺伝子ワクチンは、ウイルスが持つ数々のタンパク質のうちスパイクタンパク質にしか免疫を作りません。作り出されたタンパク質も自然界に存在するウイルス表面に整列する立体構造をしていません。
人間は、自分の生きている時間で物事を考えがちです。数十億年前の太古の昔から存在したウイルスの中に、ずっと遅れてヒトが登場してきました。ウイルスの中で生き残るために、私たちがまだ理解していないメカニズムを獲得して人類は生き延びてきたと考えるべきでしょう。理解できていないことがたくさんあるはずです。
私たち日本人には、このような地政学的なアドバンテージに加え新たに幾度も新型コロナの波を乗り越えた免疫力があります。これからは、発生してくる重症者に対応していくだけで良いことがわかります。重症者に警戒しつつ、このまま人々の交流を保って経済活動を行っていけばよいわけです。
コロナ以外のカゼウイルスもたくさんあります。胃腸炎も流行り始めました。肺炎球菌や誤嚥性肺炎もあります。
バランスのいい食事を心がけ適切な運動をしてリスクを減らし、免疫力を高めましょう。清潔な衣食住に心を配って暮らしていきましょう。生活習慣によって免疫力を高めることができます。
私たちは新しいスタートに立ったばかりです。元気よくすごしていきましょう。
参考文献
1.Japan's Plummeting COVID-19 Cases Create Mysterious Success Story
2.19年夏にPCR機器を中国が大量発注 米英豪チームが解析 コロナ12月発生説を疑問視 日経新聞 2021年10月5日
3.WHO Coronavirus (COVID-19) Dashboard
4.季節性コロナウイルス感染症は冬に流行する 山形衛生研究所
5.
新型コロナの変異株、実はそれほど「凶暴化しない」といえる、意外すぎるワケ
ウイルス学研究者が教える
本間 真二郎 現代ビジネス 2021年10月15日
6.第5波収束は「デルタ株のゲノム変異蓄積」 修復追いつかず死滅か 毎日新聞 10月30日
7.Lessons of Past Coronavirus Pandemics. Population and Development Review, Volume46, Issue3 September 2020 Pages 633-637
8.現役医師が断言「緩い日本のコロナ対策はむしろ多くの命を救った」 日本のやり方こそが最適解だった
9.現役医師「ゼロコロナは永遠にやってこない。だからオリンピックを楽しもう」 コロナと共存する時代がやってくる
10.「冬に第6波が来ても、緊急事態宣言は必要ない」現役医師が空気を読まずそう断言する理由 陽性者急減の理由もわかっていない
---------- 大和田 潔(おおわだ・きよし) 医師 1965年東京葛飾区生まれ、福島県立医科大学を卒業後、東京医科歯科大学神経内科にすすむ。厚労省の日本の医療システム研究に参加し救急病院、在宅診療に勤務の後、東京医科歯科大学大学院にて基礎医学研究を修める。東京医科歯科大学臨床教授を経て、あきはばら駅クリニック院長(現職)。頭痛専門医、神経内科専門医、総合内科専門医、米国内科学会会員、医学博士。 ----------