米国「聖域都市」の謎な実態

テーマ:
・日本人が知らない米国「聖域都市」の謎な実態 「不法移民保護都市」をめぐる米国人の葛藤(東洋経済ONLINE 2017年3月12日)

※日本では、トランプ大統領の「移民入国制限」ばかりが話題になっているそうだが、米国国内では移民をめぐって1月25日署名されたもう1つの大統領令が、同様に大きな波紋を呼んでいる。その大統領令とは、「入国管理当局への協力を拒否する都市、つまりサンクチュアリシティ(聖域都市)には、連邦補助金の交付を停止する」という内容のものだ。

「聖域都市」とは聞き慣れない言葉かもしれないが、米国には不法移民を保護しているこうした自治体がなんと300以上もある。鳥獣保護や海洋保護を行う「保護区(サンクチュアリ)」というものは、誰でも聞いたことがあるだろうし、馴染みもあるだろう。しかし、違法な形で米国へ入ってきた人たちをかくまう聖域都市が、そんなにもあると知ったときには、脳みそがフリーズ状態になった。「は? 不法移民を保護する?」。正直意味がわからなかった。

しかし米国は、さまざまな矛盾がある国だ。大麻利用のように連邦法で違法とされることが州法では合法だったり、1つの事柄でも州ごとに真逆の解釈をされることがあったりと、常識で考えるとおかしいことが、たくさん存在している。そしてこの「よくわからない感じ」こそが、現在の米国そのものである。

「不法滞在者」の日本人も少なくない

聖域都市では、違法な形で滞在する外国人が、強制送還されることなく生活を送ることが可能だ。聖域都市とは、正しくは難民を含む移民の受け入れに寛大な政策を取る自治体を指しているのだが、今では何となく「聖域都市=不法滞在および不法移民保護区」と解釈されることのほうが多い。これらの都市では、不法移民を強制送還させようとする米政府の入国管理当局への協力、助力を拒否しているからだ。

トランプ大統領の発した「メキシコに壁をつくる」という言葉が一躍有名になってしまったため、米国に住む不法滞在者の多くが、あたかも国境を乗り越えて潜伏するイメージがあるかもしれない。しかし、実際には短期の観光や期限付きの商用ビザで訪米したにもかかわらず、滞在有効期限が切れた後にも居座ることで「不法滞在者」になる場合がほとんどだ。非合法のステータスしかないのに普通に米国で暮らし、働いてしまう外国人の中には、残念ながら日本人もいる。

私が暮らす街から遠くないワシントン州シアトルは、ニューヨークやロサンゼルスと並び、米国に約1100万人いるといわれている不法移民の12%が集まっているとされる、12の都市のひとつだ。こうした都市では、不法移民へのサービスがかなり手厚い。

都市によって不法滞在者たちが享受できる権利は異なるが、「不法滞在であっても基本的人権を侵してはならない」という名のもとに、米国民と同じ公共サービスを受けることが可能となっている。その中には低所得者向けの医療保険、フードスタンプ(食料費補助)、住宅補助、児童福祉、合法移民向けの教育補助、職業訓練などが含まれ、場合によっては運転免許証の交付までもが認められている。

不法移民を保護し生活を支えるための資金源は、もちろん市民から徴収される税金だ。不法移民の実態調査などを行う非営利団体アメリカン・トランスペアレンシーが今年2月に発表した調査によると、聖域都市に住む住民が、不法移民のために負担する税金は、1人当たり年間平均300ドルから500ドルに上る。4人家族で1200ドルから2000ドルの年間の税負担。これは決して少なくない額だ。

合法移民は、不法移民をどう思っているのか

米国の合法的なビザ取得には通常長い時間が必要で、なかには親や結婚相手を呼び寄せるために、何年もかかって大変な思いをしている人もいる。特に永住権申請は手続きも複雑で、一筋縄ではいかない。私自身も、自分の母の永住権保証人になったときに、驚くほど手続きが煩雑で、最終的には弁護士を雇わねばならなくなった。正直、あの経験を思い出すだけで、ため息が出そうになるほどだ。

そんな大変な経験をした合法移民たちにとって、聖域都市で手厚い「待遇」を受ける不法移民は複雑な存在だ。

「聖域都市の現状は、まじめに正しい方法で移民してきた普通の人たちを、あまりにバカにしている」と嘆くのは、サンフランシスコ在住で、ウクライナから移民したナターシャさん(仮称)だ。彼女は米国人の夫と結婚するためのビザの申請に、3年を要したという。

その間離れ離れで、夫と会えたのは彼がウクライナを訪問する年に1回だけ。政府へ申請した書類が不備で戻ってきたり、そこで言われたとおりの書類を提出したのにまた不備と言われたりと、スムーズにことは運ばなかった。ようやく永住権を取得し、米国に到着したときには、感動のあまり空港で大泣きしたそうだ。

ところが米国に移住してから1年後に、夫が勤めていたIT企業が大手企業に買収されたことで夫は失業してしまう。再就職先はすぐに見つかったものの、給与は下がった。ナターシャさんもそれを機に働きだしたが、2人の稼ぎを合わせても、生活はギリギリ。サンフランシスコは全米1家賃が高い。1LDKで日本円にして平均42万4000円(3530ドル)という、高額家賃を支払いながら生活していくのは大変なのだ。失業前には夫婦で週末ごとに外出し、デートを楽しんでいたが、今では月に1回映画を見ることもぜいたくという状態だという。

「私は3年も待ってようやく米国に来た。つつましく暮らして、なんとか生活をしている自分たちが、なぜ正しい手順を踏まずに米国へやってきた不法移民への施しのために、税金を負担しなければならないか、本当にナンセンス」と、ナターシャさんは不満をあらわにする。

不法移民の「引っ越し」を手伝う人権団体も

こうした中、トランプ大統領が冒頭の大統領令に署名したわけである。聖域都市の市長たちは、次々にこれに抗議し、「移民を守る」と宣誓。シアトル市長も、大統領令拒否への強硬な姿勢を示している。一方、フロリダ州マイアミのように、聖域政策を改める方向を模索しだした自治体もあるのだが、ただでさえ厳しくなりつつある不法移民の取り締まりを見込んで、聖域都市以外の都市に潜伏する不法移民が、聖域都市に逃げ込む動きも見られている。

私が以前暮らしていたサウスカロライナ州には、不法移民をかくまうサポートをしている非公式の任意人権団体がある。彼らは水面下で聖域都市以外の都市から、聖域都市に不法移民たちが引っ越しできるように支援を行っている。その中心人物の1人であるジョージさん(仮称)は、「自分がしていることは、違法行為に近い」という自覚は持っているという。それでも「すでに米国に生活がある人たち、やむを得ぬ理由で米国に来るしかなかった人たちを放置できない」と話す。

ジョージさんが最近、聖域都市への引っ越しを手助けした不法移民は、メキシコ出身の家族だった。彼らは以前、メキシコでトウモロコシ農家をしていたが、1993年に北米自由貿易協定(NAFTA)が締結され、米国から大量にトウモロコシが輸入されるようになったことで、失業してしまった。トウモロコシはメキシコでは主食であることもあり、多くのメキシコ農家がその栽培で生計を立てていた。米政府も当初は輸出規制を設けていたが、NAFTA締結から15年経って規制がなくなり、米国からのトウモロコシ輸出が拡大。メキシコの農家はどこも大打撃を食らったのだという。

「確かに彼らは法を犯して米国にやってきました。しかし、もとをたどれば、悪いのは私たち米国人なんです。彼らは米国の強欲な政策によって、傷つけられた農家です。危険を承知で国境を越え、米国でスタートした新たな人生を再び奪うことは、人として正しいことでしょうか」とジョージさんは語る。

ジョージさんはこの一家を、ロサンゼルスに引っ越しさせたという。ロサンゼルスには不法移民が合法移民に混じり、建築現場や機械製品の修理工場などで働くことが多いそうだが、ジョージさんは住む場所を確保したうえで、建築業者に頼み込んで新しい職を提供し、一家を助けた。不法移民に職を与える企業は、人件費を抑えることを目的に、知っていながら雇い入れをするケースが多い。

ジョージさんは、ため息まじりに言った。「人権保護と言いながらも、不法移民をかくまう理由がある企業や地域があるのも、また事実です。世の中きれいごとではありませんから。安い人件費で働ける人手確保のために不法滞在の人たちが利用されている。本当に複雑な気持ちになります」。

不法移民問題に「正解」はない

貧富の差やリベラルと保守の間で深まる分断が進んだ米国にいると、「何が正しく、何が間違っているか」という問題にさまざまな場面で直面する。そしてそのほとんどに、「これが正解」という答えは存在しない。不法移民の問題もまた、何が正しいことなのかは判断しにくい。

前出のナターシャさんは「いかなる理由があっても、ルール違反はルール違反だ」とし、「中には麻薬販売など凶悪組織と関係するような不法移民もいるわけで、そんな人たちがこぞって聖域都市に来てもらっては危険極まりない」と語った。確かにそうした声はよく聞くし、不法移民保護そのものの考え方や、そのための増税に否定的な人も少なくない。

一方で、聖域都市肯定派の視点からすると、本当に行き場を失い、国境を越えるしか生活する道がなかったなど、やむを得ず不法移民となってしまった「弱者」とも言うべき人の人権を守ろうとする正義が正しいのだ。

「自分たちがたった数百ドル捻出し、善意の手を差し伸べることで、困った人たちを救うべきだろう。移民の国が移民を助けないという姿勢は間違っている」――。しかし、本当の「正義」とは何なのだろうか。何が本当の「公平」なのだろう。分断が進んだ米国の、バラバラの価値観。米国がどこに行こうとしているのかは、住んでいる人間であっても今のところ、まったく先が見えてこない。

著作権が「脅威」になる日

テーマ:





(上)共謀罪法案の対象犯罪には著作権侵害も含まれる


・著作権が「脅威」になる日 被害者の告訴なしに起訴、共謀罪も(朝日新聞 2007年5月26日)

※著作権をめぐる法改正の動きが激しい。海賊版摘発のため、現在は親告罪である著作権侵害を非親告罪にする検討が始まった。また、著作権の保護期間を現在の作者の死後50年から70年に延長するかどうかの議論も進んでいる。今後の文化や市民生活に影響を及ぼしかねないこうした問題を、2回に分けて報告する。

次のようなケースは、違法だろうか、合法だろうか。
 
【ケース1】テレビのバラエティー番組の撮影中、有名アニメのキャラクターを描いたTシャツを着た人が大きく映り込み、キャラクターの権利者の許諾なしに放映した。
 
【ケース2】引用の範囲を超えてニュース記事を転載しているブログや掲示板を読み、内容が面白かったので、自分のパソコンに保存した。
 
どちらも今はごく普通に行われていることだ。だが、知的財産権にくわしい金井重彦弁護士は「今の法改正や制定の展開次第では『危ないからやめろ』としか言えなくなるかも知れない」と話す。
 
著作権関連の法制定や改正で、市民生活や表現の場に影響を及ぼしそうなものは

(1)著作権侵害の非親告罪化
(2)ネット上の著作権侵害ファイルを利用者が保存することを違法化
(3)共謀罪の対象に著作権侵害を盛り込む

――の三つだ。
 
親告罪は被害者の告訴なしに起訴できないため、警察は著作権侵害があると、権利者の告訴後に捜査に着手する。これが非親告罪化されると告訴なしで捜査可能になる。
 
日本は「模倣品・海賊版拡散防止条約」の制定を提案しており、米国が「海賊版摘発を容易にするため、非親告罪化を盛り込んでほしい」と要望した。提唱国としては条約の条文と国内法を合わせる方が望ましく、文化庁文化審議会著作権分科会法制問題小委で3月から議論が始まった。
 
「非親告罪化されたら、漫画文化に大打撃になる」と心配するのは漫画原作者・編集者の竹熊健太郎さんだ。日本の漫画は、先行作品のイメージやキャラクターを取り込むことがよくあり、大家の名作でもそんな例は珍しくない。
 
「漫画家や出版社が互いに大目に見ることで、漫画が隆盛してきたことは否めない」と竹熊さん。だが判断の基準を警察に委ねることになれば、それは通用しなくなる。
 
竹熊さんは「同人誌も大きな影響を受ける」と話す。
 
同人誌は愛好者人口数十万人ともいわれ、日本のオタク文化の象徴の一つだ。有名キャラクターを借用した漫画を販売するなど、現行法上も問題がある一方、若手漫画家が数多く育つなど「新人のゆりかご」の側面も持つ。
 
「だから漫画家や出版社は、よほどのことがない限り告訴などしないが、非親告罪化されたら状況は激変する」
 
文化庁は夏ごろ報告書をまとめ、法案に反映する考え。5月11日に東京・霞が関で開かれた小委では「捜査実務として有効なのか」と議論されたが、同人誌や漫画の話題はまったく出なかった。

■「萎縮効果すさまじい」
 
(2)の問題は、iPodなど携帯音楽プレーヤーへの課金を検討する著作権分科会私的録音録画小委で浮上した。
 
現在、権利者の許諾なく、音楽や映画などをネット公開するのは違法だが、利用者がそれを自分のパソコンや携帯電話に保存することは違法ではない。そこで、違法なファイルとわかって保存することを禁止する案が出ている。
 
日本レコード協会は、ウィニーなどのファイル交換ソフトや違法着うた配信サイトなどからのダウンロードを年間約4億4千万ファイルと推計している。
 
「違法配信を支えているのはダウンロードして保存する人たち。これを違法とすることで抑止力を期待したい」と小委の委員も務める同協会の生野秀年専務理事はいう。
 
同小委は3月までにこの方向で合意しかかったが、4月16日の会議でIT・音楽ジャーナリストの津田大介委員が反対、結論は先送りされた。
 
「ネットで見つけた画像をパソコンの壁紙にするのも違法行為になりかねず、ユーザーに与える影響があまりに大きい」と津田さんはいう。
 
図右下に挙げたソフトは、常時接続普及以前は広く利用されていた。法が改正されると、同じ発想のソフトは開発困難になるかもしれない。
 
文化庁の審議と別に進んでいるのが、共謀罪の議論だ。
 
違法行為をしようと相談した段階で処罰される共謀罪について自民党は2月、600以上あった対象犯罪を百数十に絞った修正案をまとめた。3案のうち二つに著作権侵害が入っている。取りまとめた早川忠孝衆院議員は「犯罪組織が海賊版を資金源にすることを防ぐのが目的」と話す。
 
これに対し金井弁護士は「非親告罪化と共謀罪がセットになると言論統制も可能になる」と警戒する。「非親告罪化だけでも、捜査機関が特定の言論人を監視し、著作権侵害の疑われる事例があれば検挙できるし、別件逮捕も容易。共謀罪が加われば、関連した言論機関を一網打尽にすることも可能だ。言論や表現への萎縮効果はすさまじい」
 
早川議員は「法案には乱用抑制条項があり、心配はない」と主張する。
 
著作権法改正では、事前の想定を超えた影響が後から判明することが多い。04年、日本盤のある海外製CDの輸入をレコード会社の申請で停止できる「輸入権」が創設された。安い海外盤Jポップの逆輸入を防ぐ狙いだったが、欧米のレコード会社も同じ申請ができるため、「輸入盤が買えなくなる」と音楽ファンが猛反発した。
 
罰則についても05年に「3年以下の懲役」が「5年以下の懲役」に強化、今夏からは「10年以下の懲役」とわずか2年で3倍以上に延びる。主な改正理由は「被害額がおおむね増えている」だったが、被害額の具体的な統計は小委での審議には提出されなかった。早川議員は「著作権侵害の最高刑が10年と重いことも(共謀罪の)対象にした理由」と話す。想定外の連鎖反応が、ここでも起きている。

<ネットと著作権> 著作権法では、例えば著作権のあるキャラクターを個人のホームページに掲載した場合、手描きやシルエットでも複製とみなされ、引用などを除いて、権利者の許諾が必要になるケースが多い。ネットではこのレベルの侵害は珍しくなく、基準を厳格に適用すれば、相当数のホームページが違法となるとみられる。

■著作権をめぐる法改正、こんな問題が
 
(1)著作権侵害の非親告罪化
(2)違法コンテンツのダウンロード規制
(3)共謀罪への盛り込み

本来の目的は海賊版の追放、違法ダウンロードサイトの撲滅、しかし…

■テレビでは…
 
・テレビドラマやバラエティーで許諾を得ていない他人の著作物が大きく映り込んだ
   ↓
(1) 警察判断で検挙?

・事前に編集会議を開き「この程度ならOK」と助言した
   ↓
(1)(3) 警察判断で検挙?

■同人誌では…
 
・既存のキャラクターを利用した同人誌を販売目的で作製・所持
   ↓
(1) 警察判断で検挙?

・編集や出品の打ち合わせ
   ↓
(1)(3) 打ち合わせた時点で検挙

■パソコンでは…
 
・ネットで見つけたアイドルの写真をパソコンに保存
   ↓
(2) 「許諾得てないかも」と思ってやったら違法

・ネット巡回ソフトで指定したウェブページを保存し、後から閲覧
   ↓
(2) 違法?適法?
 

真・戦後日本史年表9.9999999999991 暫定版

テーマ:
・【北海道が危ない 第4部(下)】日本の領土を国交省が“斡旋”…外国人向けにマニュアル作成 中国資本の不動産買収に“お墨付き”(産経ニュース 2017年2月26日)

※国土交通省が、日本国内で外国人が不動産を購入したりアパートを借りたりするなど、不動産取引(売買、管理、賃貸)をする場合、手続きを円滑化する実務マニュアルを作成している。今年度内の実用化を目指しているという。

訪日外国人や外国人留学生の増加で、外国人による国内不動産の取引が増加していることを受け、さらに取引が順調に行われるようにと、マニュアルを作成して不動産インバウンドへの対応を底上げするのが狙いらしい。

マニュアルには、不動産取引の手続きや税制などでの日本と海外の違いの解説や本人確認の手法、物件の引き渡し方法、不動産管理-など外国人向けに不動産取引のポイントが盛り込まれている。また、不動産取引の手順や、外国人に説明する際に使える2カ国語のフローチャート、多言語パンフレットへのリンク集、不動産用語の英訳リスト一覧なども備えるという。

これまで(産経新聞は)、北海道の森林やゴルフ場、観光施設、土地などが、中国資本に大がかりに買収されている現実を紹介、わが国が今、“経済侵攻”する中国資本と対峙していることを報告してきた。国会でも、ようやく、外国資本の不動産買収に規制を設けようという議論が起きている。

そういう流れに逆行するように「どんどん買ってください」と言わんばかりにマニュアルを作成して、日本の“領土”である不動産を外国資本に斡旋するような国交省の姿勢には唖然とする。

国交省はマニュアル作成について、「現在、個人レベルの取引が増え、トラブルが起きているため、ルールを作ろうというのが狙い」と説明。「安全保障面での不動産売却は検討すべきで、情報の共有はしている。取引を促進しているものではない。まず立法が本筋だが、(売買が)許されている取引が円滑に進むようにするためで、国防とは別の次元の話」という。

だが、マニュアルには、日本が国際人権B規約や人種差別撤廃条約に批准・加入していることや、憲法のいう法の下の平等の趣旨は特段の事由がない限り外国人にも類推適用されるという最高裁判決をあげ、外国人であることを理由に取引や賃貸を拒絶することは、「人権に基づく区別や制約となることから人種差別となる」と明示している。条約や憲法は不動産取引という民間の権利関係を直接決めるものではないとしながらも、「外国人を理由に取引や賃貸を拒絶すると、不動産の所有者等が、損害賠償請求を提起される可能性がある」と“脅し”まがいの文言が躍っている。

マニュアルでは、外国人であることを理由に賃貸借契約を拒否され、損害賠償が認められたケースを数例あげているが、すべて賃貸借の場合だ。外国人による不動産売買について明確な法規制が整備されていないわが国にあって、国交省が外国資本に不動産売買を斡旋するようなマニュアルを作成することに、国を売ることにつながりかねないとの批判も出ている。

諸外国では、外国資本の不動産売却の法規制はどうなっているのか?

元東京財団上席研究員の平野秀樹氏によると、中国▽ベトナム▽タイ▽インドネシア▽フィリピン▽イスラエル▽イラン▽ナイジェリアは外国人の土地所有は基本的には「不可」だという。

インド▽韓国▽シンガポール▽マレーシア▽バングラデシュ▽パキスタン▽サウジアラビア▽トルコ▽ケニア▽コートジボワールは審査・許可・地区限定などの規制付きで可能としているという。国境・海岸部や離島に外国人規制を設けている国もある。

米国の場合、包括通商法のなかに「エクソン・フロリオ修正条項」が盛り込まれている。これは、政権内に航空、通信、海運、発電、銀行、保険、地下資源、国防、不動産など、安全保障上懸念のある国内資本の買収案件を審査する外国投資委員会(CFIUS)を置き、大統領に対して、米国の安全保障をそこなう恐れのある取引を停止、または禁止する権限を与えている。

また、平野氏によると、州法で各州が独自に外国資本の不動産買収を規制しているほか、連邦法の「農業外国投資開示法」は、外国人の土地の取得、移転の際は、90日以内に連邦政府に届けることを義務づけ、怠ったり、虚偽の届けをしたりすると、市場価格の最大25%の罰金を科すと定めている。そのため農務省は、全国から土地情報を収集し、買収した国別の所有面積、増減傾向、地図、州ごとの地目別所有面積などを公表しているという。

韓国にも「外国人土地法」があり、外国人や外国資本が文化財保護区域や生態系保護区域、軍事施設保護区域などを取得する際には、事前の許可が必要であると定めている。

一方、日本は外国人土地法の第1条で「その外国人・外国法人が属する国が制限している内容と同様の制限を政令によってかけることができる」と定められている。さらに4条では「国防上必要な地区においては、政令によって外国人・外国法人の土地に関する権利の取得を禁止、または条件もしくは制限を付けることができる」としているが、これまで規制する政令が制定されたことはない。

韓国資本が長崎県・対馬の土地買収などを展開した際、法的効力の有効性が確認されたにすぎず、その後、具体的な検討は行われていない。

わが国と比べて、諸外国は共通して不動産が買いあさられることの危険性を認識していることが分かる。外国資本による不動産買収に法の網をかぶせている諸外国と比べ、全く法規制をしいていないわが国では、国籍を問わず、だれでも、自由に土地を購入できる。そんな法体制でのマニュアル。「どんどん日本を買ってください」ということにつながるのは目に見えている。

北海道での外国資本による不動産買収を監視している小野寺秀前北海道議は、「今、世界は難民政策や外国人の受け入れと向き合っている。そういう時期に、外国資本を受け入れるマニュアルを作る意味が分からない。こうしたマニュアルができると、不動産買収にもっと拍車がかかる。外国資本への対応は、法整備の後になされるべきものなのに危険だ。整合性がとれなくなる」と国土交通省の意図を訝(いぶか)る。

在日のチャイナウオッチャーは「中国は、領土拡大のために数百年かけて静かな侵略を行ってきた。中国人は一度住み着くと、排他的なチャイナタウンをつくる。気がつくと、山も水も電力も中国のものになっているかもしれない」と警告する。

国家の安全保障は、軍事面だけでなく、食糧面、エネルギー面、流通面、医療面、金融面、対自然災害…と多岐にわたる。中国はその全ての面で日本に攻勢をかけている-ともいえるが、国交省のマニュアルはそうした戦略にお墨付きを与えることになりはしないか。

・AI学会倫理指針「AI自身も遵守を」(朝日新聞DIGITAL 2017年3月1日)

※人工知能(AI)自身にも倫理性を――。大学や企業の研究者で作る人工知能学会が28日、人工知能の研究開発の倫理指針をまとめた。研究者が備えるべき倫理性を、人工知能自身にも求めたのが特徴だ。技術が進歩し、「人工知能が人工知能を作り出す」時代の到来を見越した。

指針は学会の倫理委員会が2年かけてまとめログイン前の続き、理事会が承認した。最終の第9条で「人工知能が社会の構成員またはそれに準じるものとなるためには、(中略)学会員と同等に倫理指針を遵守(じゅんしゅ)できなければならない」とした。学会員向けには1~8条で開発と利用の際の安全確保、利用者への情報提供や注意喚起、差別の禁止、プライバシーの尊重、悪用防止、社会との対話などを挙げた。

会社の経営判断や医師の治療行為を補助する人工知能が登場し、いずれ自ら考えて行動し、人工知能を作る人工知能が登場すると予測される。時期は十数年後とも半世紀以上先ともいわれ、予測はまちまちだが、欧米では、技術の後追いになって社会が混乱しないよう、例えば法人格のような法律上の責任主体としての「人格」を人工知能に与えるなどの提案が出ており、倫理委も参考にした。

・「共謀罪」法案、自公了承へ 条文に「テロ」表記なし(朝日新聞DIGITAL 2017年3月1日)



(上)「共謀罪」法案、処罰される場合は

米犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案について、自民、公明両党は28日、政府案を了承する方針を固めた。政府は早ければ3月10日に閣議決定する。対象は91の法律で規定した277種類の罪。当初の政府案より対象を削減したため、公明も容認した。政府は呼称として「テロ等準備罪」を使っているが、条文にテロの表記はない。

自民、公明は28日、それぞれ会合を開き、法案の事前審査を始めた。政府の説明に注文は出たものの、法案に対する異論はなく、早ければ来週中にも党内手続きを終える。政府は両党の了承を経て閣議決定し、今国会に提出。会期末は6月18日で、直後に東京都議選が告示されるため、政府・与党は会期の延長はせず、会期内での成立を図る方針だ。

ただ、実際の法案審議は2017年度予算案成立後の4月以降になる。天皇陛下の退位をめぐる法整備を優先した場合は、さらに審議入りが遅れることも予想される。また、世論にも慎重意見があるうえ、国会での金田勝年法相の答弁が二転三転するなど批判を浴びており、法案審議が政府与党の描くように進むかどうかは不透明な要素もある。

法案にある正式な罪名は「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画」の罪。政府は、テロ対策の強化を法整備の目的に掲げ、「テロ等準備罪」と呼んできたが、法案にはテロリズムの定義も文字もない。このため世論対策に過ぎなかったとの批判を招きそうだ。

適用対象となる「組織的犯罪集団」は「結合関係の基礎としての共同の目的が別表の罪を実行することにあるもの」と定義。過去の法案では「共謀」としてきた犯罪の合意は「計画」と言い換え、グループの誰かが「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」という「準備行為」を行うことを要件に加えた。

当初案では法定刑が4年以上の懲役・禁錮の罪で676種類に上っていた対象犯罪は、組織的犯罪集団の関与が現実的に想定されるものに限定し、法案の「別表」で定めた。刑法、組織的犯罪処罰法のほか、競馬法、自転車競技法、文化財保護法、自衛隊法、水道法、商標法、道路交通法、所得税法、貸金業法、消費税法、会社法も含まれる。

公明の漆原良夫・中央幹事会長は28日の会合で「要件は非常に厳格化されている」と評価。自民の会合では「277残したものが必要か自信を持って言えるよう準備してほしい」と法務省への注文が出た。一方、民進党は現時点で反対の姿勢を打ち出している。

・「共謀罪」法案、対象となる法律と罪名(朝日新聞DIGITAL 2017年3月1日)

※犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案の全容が判明した。対象は91の法律で規定した277の罪。政府の分類では、「テロの実行」に関するものはこのうち110罪にとどまる。277の罪名は次の通り。

     ◇

 【刑法】内乱等幇助(ほうじょ)▽加重逃走▽被拘禁者奪取▽逃走援助▽騒乱▽現住建造物等放火▽非現住建造物等放火▽建造物等以外放火▽激発物破裂▽現住建造物等浸害▽非現住建造物等浸害▽往来危険▽汽車転覆等▽あへん煙輸入等▽あへん煙吸食器具輸入等▽あへん煙吸食のための場所提供▽水道汚染▽水道毒物等混入▽水道損壊及び閉塞(へいそく)▽通貨偽造及び行使等▽外国通貨偽造及び行使等▽有印公文書偽造等▽有印虚偽公文書作成等▽公正証書原本不実記載等▽偽造公文書行使等▽有印私文書偽造等▽偽造私文書等行使▽私電磁的記録不正作出及び供用▽公電磁的記録不正作出及び供用▽有価証券偽造等▽偽造有価証券行使等▽支払用カード電磁的記録不正作出等▽不正電磁的記録カード所持▽公印偽造及び不正使用等▽偽証▽強制わいせつ▽強姦(ごうかん)▽準強制わいせつ▽準強姦▽墳墓発掘死体損壊等▽収賄▽事前収賄▽第三者供賄▽加重収賄▽事後収賄▽あっせん収賄▽傷害▽未成年者略取及び誘拐▽営利目的等略取及び誘拐▽所在国外移送目的略取及び誘拐▽人身売買▽被略取者等所在国外移送▽営利拐取等幇助目的被拐取者収受▽営利被拐取者収受▽身の代金被拐取者収受等▽電子計算機損壊等業務妨害▽窃盗▽不動産侵奪▽強盗▽事後強盗▽昏酔(こんすい)強盗▽電子計算機使用詐欺▽背任▽準詐欺▽横領▽盗品有償譲受け等

 【組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律】組織的な封印等破棄▽組織的な強制執行妨害目的財産損壊等▽組織的な強制執行行為妨害等▽組織的な強制執行関係売却妨害▽組織的な常習賭博▽組織的な賭博場開張等図利▽組織的な殺人▽組織的な逮捕監禁▽組織的な強要▽組織的な身の代金目的略取等▽組織的な信用毀損(きそん)・業務妨害▽組織的な威力業務妨害▽組織的な詐欺▽組織的な恐喝▽組織的な建造物等損壊▽組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等▽不法収益等による法人等の事業経営の支配を目的とする行為▽犯罪収益等隠匿

ログイン前の続き 【爆発物取締罰則】製造・輸入・所持・注文▽幇助のための製造・輸入等▽製造・輸入・所持・注文(第1条の犯罪の目的でないことが証明できないとき)▽爆発物の使用、製造等の犯人の蔵匿等

 【外国ニ於テ流通スル貨幣紙幣銀行券証券偽造変造及模造ニ関スル法律】偽造等▽偽造外国流通貨幣等の輸入▽偽造外国流通貨幣等の行使等

 【印紙犯罪処罰法】偽造等▽偽造印紙等の使用等

 【海底電信線保護万国連合条約罰則】海底電信線の損壊

 【労働基準法】強制労働

 【職業安定法】暴行等による職業紹介等

 【児童福祉法】児童淫行

 【郵便法】切手類の偽造等

 【金融商品取引法】虚偽有価証券届出書等の提出等▽内部者取引等

 【大麻取締法】大麻の栽培等▽大麻の所持等▽大麻の使用等

 【船員職業安定法】暴行等による船員職業紹介等

 【競馬法】無資格競馬等

 【自転車競技法】無資格自転車競走等

 【外国為替及び外国貿易法】国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなる無許可取引等▽特定技術提供目的の無許可取引等

 【電波法】電気通信業務等の用に供する無線局の無線設備の損壊等

 【小型自動車競走法】無資格小型自動車競走等

 【文化財保護法】重要文化財の無許可輸出▽重要文化財の損壊等▽史跡名勝天然記念物の滅失等

 【地方税法】軽油等の不正製造▽軽油引取税に係る脱税

 【商品先物取引法】商品市場における取引等に関する風説の流布等

 【道路運送法】自動車道における自動車往来危険▽事業用自動車の転覆等

 【投資信託及び投資法人に関する法律】投資主の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

 【モーターボート競走法】無資格モーターボート競走等

 【森林法】保安林の区域内における森林窃盗▽森林窃盗の贓物(ぞうぶつ)の運搬等▽他人の森林への放火

 【覚せい剤取締法】覚醒剤の輸入等▽覚醒剤の所持等▽営利目的の覚醒剤の所持等▽覚醒剤の使用等▽営利目的の覚醒剤の使用等▽管理外覚醒剤の施用等

 【出入国管理及び難民認定法】在留カード偽造等▽偽造在留カード等所持▽集団密航者を不法入国させる行為等▽営利目的の集団密航者の輸送▽集団密航者の収受等▽営利目的の難民旅行証明書等の不正受交付等▽営利目的の不法入国者等の蔵匿等

 【旅券法】旅券等の不正受交付等

 【日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法】偽証▽軍用物の損壊等

 【麻薬及び向精神薬取締法】ジアセチルモルヒネ等の輸入等▽ジアセチルモルヒネ等の製剤等▽営利目的のジアセチルモルヒネ等の製剤等▽ジアセチルモルヒネ等の施用等▽営利目的のジアセチルモルヒネ等の施用等▽ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の輸入等▽営利目的のジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の輸入等▽ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の製剤等▽麻薬の施用等▽向精神薬の輸入等▽営利目的の向精神薬の譲渡等

 【有線電気通信法】有線電気通信設備の損壊等

 【武器等製造法】銃砲の無許可製造▽銃砲弾の無許可製造▽猟銃等の無許可製造

 【ガス事業法】ガス工作物の損壊等

 【関税法】輸出してはならない貨物の輸出▽輸入してはならない貨物の輸入▽輸入してはならない貨物の保税地域への蔵置等▽偽りにより関税を免れる行為等▽無許可輸出等▽輸出してはならない貨物の運搬等

 【あへん法】けしの栽培等▽営利目的のけしの栽培等▽あへんの譲渡し等

 【自衛隊法】自衛隊の所有する武器等の損壊等

 【出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律】高金利の契約等▽業として行う高金利の契約等▽高保証料▽保証料がある場合の高金利等▽業として行う著しい高金利の脱法行為等

 【補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律】不正の手段による補助金等の受交付等

 【売春防止法】対償の収受等▽業として行う場所の提供▽売春をさせる業▽資金等の提供

 【高速自動車国道法】高速自動車国道の損壊等

 【水道法】水道施設の損壊等

 【銃砲刀剣類所持等取締法】拳銃等の発射▽拳銃等の輸入▽拳銃等の所持等▽拳銃等の譲渡し等▽営利目的の拳銃等の譲渡し等▽偽りの方法による許可▽拳銃実包の輸入▽拳銃実包の所持▽拳銃実包の譲渡し等▽猟銃の所持等▽拳銃等の輸入に係る資金等の提供

 【下水道法】公共下水道の施設の損壊等

 【特許法】特許権等の侵害

 【実用新案法】実用新案権等の侵害

 【意匠法】意匠権等の侵害

 【商標法】商標権等の侵害

 【道路交通法】不正な信号機の操作等

 【医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律】業として行う指定薬物の製造等

 【新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法】自動列車制御設備の損壊等

 【電気事業法】電気工作物の損壊等

 【所得税法】偽りその他不正の行為による所得税の免脱等▽偽りその他不正の行為による所得税の免脱▽所得税の不納付

 【法人税法】偽りにより法人税を免れる行為等

 【公海に関する条約の実施に伴う海底電線等の損壊行為の処罰に関する法律】海底電線の損壊▽海底パイプライン等の損壊

 【著作権法】著作権等の侵害等

 【航空機の強取等の処罰に関する法律】航空機の強取等▽航空機の運航阻害

 【廃棄物の処理及び清掃に関する法律】無許可廃棄物処理業等

 【火炎びんの使用等の処罰に関する法律】火炎びんの使用

 【熱供給事業法】熱供給施設の損壊等

 【航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律】航空危険▽航行中の航空機を墜落させる行為等▽業務中の航空機の破壊等▽業務中の航空機内への爆発物等の持込み

 【人質による強要行為等の処罰に関する法律】人質による強要等▽加重人質強要

 【細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律】生物兵器等の使用▽生物剤等の発散▽生物兵器等の製造▽生物兵器等の所持等

 【貸金業法】無登録営業等

 【労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律】有害業務目的の労働者派遣

 【流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法】流通食品への毒物の混入等

 【消費税法】偽りにより消費税を免れる行為等

 【日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法】特別永住者証明書の偽造等▽偽造特別永住者証明書等の所持

 【国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律】薬物犯罪収益等隠匿

 【絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律】国内希少野生動植物種の捕獲等

 【不正競争防止法】営業秘密侵害等▽不正競争等

 【化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律】化学兵器の使用▽毒性物質等の発散▽化学兵器の製造▽化学兵器の所持等▽毒性物質等の製造等

 【サリン等による人身被害の防止に関する法律】サリン等の発散▽サリン等の製造等

 【保険業法】株主等の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

 【臓器の移植に関する法律】臓器売買等

 【スポーツ振興投票の実施等に関する法律】無資格スポーツ振興投票

 【種苗法】育成者権等の侵害

 【資産の流動化に関する法律】社員等の権利等の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

 【感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律】一種病原体等の発散▽一種病原体等の輸入▽一種病原体等の所持等▽二種病原体等の輸入

 【対人地雷の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律】対人地雷の製造▽対人地雷の所持

 【児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律】児童買春周旋▽児童買春勧誘▽児童ポルノ等の不特定又は多数の者に対する提供等

 【民事再生法】詐欺再生▽特定の債権者に対する担保の供与等

 【公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律】公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者による資金等を提供させる行為▽公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者以外の者による資金等の提供等

 【電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律】不実の署名用電子証明書等を発行させる行為

 【会社更生法】詐欺更生▽特定の債権者等に対する担保の供与等

 【破産法】詐欺破産▽特定の債権者に対する担保の供与等

 【会社法】会社財産を危うくする行為▽虚偽文書行使等▽預合い▽株式の超過発行▽株主等の権利の行使に関する贈収賄▽株主等の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

 【国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律】組織的な犯罪に係る証拠隠滅等▽偽証

 【放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律】放射線の発散等▽原子核分裂等装置の製造▽原子核分裂等装置の所持等▽特定核燃料物質の輸出入▽放射性物質等の使用の告知による脅迫▽特定核燃料物質の窃取等の告知による強要

 【海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律】海賊行為

 【クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律】クラスター弾等の製造▽クラスター弾等の所持

 【平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法】汚染廃棄物等の投棄等


・第2の森友か 首相親友の学校法人に36億円の土地無償譲渡(日刊ゲンダイDIGITAL 2017年3月4日)

※国会では連日、安倍首相の昭恵夫人が名誉校長に就任していた小学校の新設予定地として、評価額9億5600万円の国有地が大阪市の学校法人「森友学園」にタダ同然で払い下げられた問題が追及されているが、こちらはケタが違う。愛媛県今治市が、安倍首相と昵懇の学校法人に16.8ヘクタール、36億円相当の土地を無償譲渡することが分かった。

譲渡されるのは、今治新都市第2地区の高等教育施設用地。市はこの無償譲渡を盛り込んだ2016年度補正予算関連議案を3日開会の3月定例議会に上程、本会議で可決すれば正式決定となる。

この土地に新設予定なのが、学校法人「加計学園」が運営する岡山理科大の獣医学部だ。学園の加計孝太郎理事長は、安倍首相の米国留学時代からの親友。頻繁に食事やゴルフを楽しむ仲だ。第2次安倍政権になって以降、首相動静に12回も名前が登場する。昭恵夫人も交えて会うこともある。

14年には、加計学園が運営する千葉科学大の10周年式典に安倍首相が来賓として出席。「どんな時も心の奥でつながっている友人、私と加計さんもまさに腹心の友だ」と祝辞を送った。首相が防衛大学校以外の大学の式典に出席するのは異例のこと。森友学園の籠池理事長より、はるかに懇意なのは間違いない。

「安倍首相に近い学校法人が今治市の土地をタダで手に入れ、しかも校舎の建設費や整備費まで市が負担するという。その額はなんと243.5億円と計上されています。規制の厳しい獣医学部が国内で新設されるのは52年ぶりですが、16年1月に今治市が国家戦略特区に3次指定されたことで可能になった。今治市を獣医学部の新設が認められない構造特区から国家戦略特区に変え、加計学園が参入できるようにしたのです」(今治市選出の福田つよし愛媛県議)

今年1月、内閣府と文科省が獣医学部を新設する認可申請を受ける特例措置を告示、手を挙げたのは加計学園だけだったという。

昭恵夫人は、加計グル―プの学校法人「英数学館」に「安倍内閣総理大臣夫人」の肩書で、下村文科相(当時)夫人とともにメッセージを寄せたこともある。

驚くことに、森友学園が新設する小学校の名誉校長に就任していた昭恵夫人は、“ゴル友学園”が運営する保育施設の名誉園長にもなっていた。産経新聞(15年9月20日付)に、こう書かれている。

〈安倍晋三首相の昭恵夫人は19日、神戸市東灘区の認可外保育施設「御影インターナショナルこども園」を訪問し、集まった保護者ら約60人を前に、「日本の英語教育」などをテーマに講演を行った。同園によると、安倍首相は、同園を運営する学校法人加計学園の加計孝太郎理事長と古くからの友人で、同学園のグローバル教育に携わってきた昭恵夫人の名誉園長就任を受け、講演が実現した〉

加計学園の事務局に事実関係を問い合わせたところ、「昭恵夫人に名誉園長に就任していただいたことは間違いない。現在も名誉園長のままです。今治市の獣医学部は来年4月に開校予定ですが、土地の無償提供に関しては、私では分かりかねます」とのことだった。

加計学園には、国からも税金が投入されている。文科省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」の対象校になっているのだ。14年度は予算総額34億円の事業で、申請があった237件から25件が選ばれた。その中に加計学園が運営する「千葉科学大学」と「倉敷芸術科学大学」の2件が入っている。

安倍首相の周辺では、昭恵夫人を名誉校長にすると、漏れなく土地がタダ同然で手に入り、補助金までもらえる特別なシステムがあるのだろうか。

・豊洲市場の地下水 最終調査は“都の指示で過去と違う手順”(NHK NEWS web 2017年3月4日)

※豊洲市場の「地下水モニタリング調査」をめぐり、環境基準の79倍となるベンゼンなどが検出された、9回目の調査を担当した業者が都の指示により、過去8回とは違う手順で調査していたことを4日の都議会の委員会で明らかにしました。都は業者に対し、過去とは違う手順で行うよう伝えたことを認めました。

豊洲市場の問題を審議する都議会の特別委員会は、平成26年から2年間にわたって、合わせて9回行われた「地下水モニタリング調査」を担当した業者を参考人として呼んで、質疑を行いました。

この調査では、検出された有害物質が7回目までは環境基準を下回ったのに対して、8回目はわずかに上回り、さらに9回目では環境基準の79倍となるベンゼンなどが検出されました。

このため、4日の参考人の質疑は、一連の調査が適正だったかを焦点に進められ、9回目の調査については、担当した業者の統括部長が出席しました。

モニタリング調査では、まず井戸にたまっていた地下水を取り除く、「パージ」と呼ばれる作業を行ったあと、新たに井戸にたまった地下水を採って分析することになっていますが、統括部長は都の指示により、パージで取り除いた地下水そのものを分析に回していたことを明らかにしました。

また、過去8回の調査を担当した業者が、パージした翌日に採った地下水を分析していたのに対し、統括部長はパージした当日に採った地下水を分析するよう指示されたと証言しました。

議員からは「採水やパージを含めて、1回から8回目と9回目では違いがあることははっきりしている」などと指摘が出され、統括部長は都の「新市場整備部」の担当者から指示を受けていたことを明らかにしました。

これを受け、都の市場担当局は4日夜、記者団に対し、当時の対応について説明し、業者からの質問に答える形で、当日に採水するよう伝えたことを認めました。そのうえで、パージで取り除いた地下水そのものを分析するよう伝えたのは、調査対象の201か所の井戸のうち1か所だと説明しました。


地下水モニタリング調査

地下水モニタリング調査は、土壌汚染が表面化した豊洲市場の敷地で「盛り土」などの対策工事が完了したあと、東京都が安全性を確認するために行いました。

平成26年11月から去年までの2年間に合わせて9回の調査が行われ、豊洲市場の201か所に設けられた井戸から地下水を採取して分析。ベンゼン・シアン・ヒ素・鉛・水銀の5種類の有害物質を調査対象としました。

7回目までの調査では、いずれも有害物質が基準値を下回っていましたが、去年8月から行われた8回目の調査で、市場の青果棟の3か所から、環境基準をわずかに上回るベンゼンとヒ素が検出されました。

そして、去年11月から行われた9回目の最終調査では、およそ70か所から最大で環境基準の79倍となるベンゼンのほか、検出されないことが環境基準となるシアンなどが検出されました。

過去8回に比べ、市場のより広い範囲で、さらに、突出して高濃度の有害物質が検出された最終調査の結果に対し、関係者に衝撃が広がりました。

特に、この最終調査は、築地市場の当初の移転予定日よりもあとに行われることになっていたため、小池知事が「安全性の確認が十分でない」として、移転の延期を決めた経緯があります。

都議会の会派からは、「小池知事の就任以降の調査とそれ以前の結果が違うのは不自然だ」などと指摘が出されたほか、小池知事自身も「急に数値が跳ね上がるのは非常に不可解に思う」と話すなど、地下水モニタリング調査に対し、疑問が出されました。このため、都議会の特別委員会で採水や分析に当たった業者を参考人招致して、調査が適正だったかを検証することになりました。

地下水の調査設備は201か所の井戸に

豊洲市場の敷地には、地下水モニタリング調査の設備として、201か所の井戸が設けられ、そこから地下水を採って、含まれる有害物質の濃度を調べてきました。井戸は、直径5センチのパイプ状のもので、地上からの深さは、場所によって異なり、数メートルから十数メートルに設置されています。井戸の内部には無数の小さな穴が開いていて、土壌からにじみ出る地下水を井戸の中にためていく仕組みになっています。

地下水調査の採水手順は

豊洲市場で行われた地下水のモニタリング調査は環境省のガイドラインに基づき、以下の手順で採水が行われてきました。

(1)「パージ」。まず、井戸にたまっている水をほぼすべてくみ上げて取り除く作業を3回から5回程度を目安に繰り返します。これは、泥や雨水が混じり込んでいる井戸のたまり水を捨てて、純粋な地下水をサンプルにするために行われる「パージ」と呼ばれる作業です。
ただ、東京都によりますと「パージ」のあとどれぐらいの時間がたてば採水が可能になるかは豊洲市場では井戸のある場所によって異なるとしていて、早いところでは数十分、遅いところでは数時間かかるということです。

(2)「採水」と「試料の保管」。「パージ」のあと、井戸の中に新たにたまった地下水をポンプでくみ上げて採水します。これが分析のサンプルとなり、ガラスの容器などに入れて保冷できる箱などで保管し、分析事業者に渡されてきたということです。

小池知事「確認したうえで答える」

東京都の小池知事は、豊洲市場の問題を審議する都議会の特別委員会で参考人として呼ばれた地下水のモニタリング調査を行った業者に対する質疑の内容について「まだ何も聞いてないので、確認したうえで答えたい」と述べました。

・米共和党、オバマケア廃止法案を発表(ロイター 2017年3月7日)

※米下院の共和党議員らは6日、低所得者向け医療費補助制度の拡張などを含む医療保険制度改革法(オバマケア)を廃止する法案を発表した。

トランプ米大統領や共和党議員らはオバマケアの撤廃と代替案との入れ替えについて繰り返し言及してきた。同法案が連邦議会を通過するのに十分な支持を得ているかどうかは現時点で不明。次は上下院の委員会で検討される。

同法案によると、オバマケアで拡張した医療費補助制度への登録を2020年1月1日に凍結する。同制度拡張を実施した州では、19年末まで保険購入者の登録を認め、政府からの補助金を受け取ることができるが、法案通過後は補助金が制限される見通し。

オバマケアでは補助金に所得制限があったが、同法案では代わりに年齢に応じた税還付制度を導入する予定。高所得者層には上限を設けるという。

同法案ではオバマケアが課した税金のほとんどを18年1月に廃止するほか、保険購入を強いられている個人や事業者に対するペナルティを即時撤廃する見通し。ただ事業主が支払う健康保険における税控除については上限を設けないとしている。

米下院歳入委員会のケビン・ブレイディ委員長は声明で「同法案は米国民が米政府から活力を取り戻すきっかけになる」との見方を示した。

米民主党はオバマケアの撤廃により米国の医療保険制度全体が大混乱に陥るリスクを警告。オバマケアは約2000万人の無保険者を医療保険に加入させた。

・「オバマケア」が機能不全に陥っている理由 これは理想的な国民皆保険ではない(東洋経済ONLINE 2017年3月5日)

※日本では当たり前なことだと思っていたが、離れてみると「これぞ日本の誇り」と言いたくなるすばらしい制度、それが「国民皆保険」だ。保険証さえあれば、一定の窓口負担だけでいつでも、どこでも医療が受けられる日本の医療制度は、高い医療費のために破産するようなことが日常茶飯事で起こる米国では、考えられない夢のようなシステムだ。

トランプ政権が廃止を推し進めたことで、日本でもニュースで取り上げられ続けている医療保険制度改革法Affordable Care Act、通称「オバマケア」。日本の国民皆保険を基準に考えてしまうと、なぜすべての人を救う保険が、これほどまでに否定されるのかわかりにくいと思う。

米国内でも、反対派の気持ちに共感できないオバマケアを支持する人にとっては、この「国民皆保険」を潰そうとするトランプ大統領は、ともすれば冷徹な悪魔扱いだ。しかし、ニュースで数行にまとめられてしまう「オバマケア廃止」の文字だけでは、オバマケアに翻弄されて傷つき、苦しんでしまった米国民の姿は見えてこない。誰かを助ければ、誰かが苦しむ――「平等」とは何を基準に決められるべきなのだろうか。取材した3人の米国人たちは、オバマケアの生んだ「異なる」現実の中で、それぞれの今を生きている。

保険料が高すぎて病院に行けない

話を進める前に、オバマケアについて少し整理しておきたい。オバマケアは国民皆保険などと言っているが、日本のそれとはまったく異なり、民間の保険会社が提供する保険商品を個人がそれぞれ買うシステムだ。国が決めた方針なので、保険会社は既往疾患歴があろうとも、現在病気の人であっても、申し込み希望者に対しては保険加入を認めねばならなくなった。

しかし、世の中はそう甘くはない。保険会社は福祉団体ではないのだから、利益確保やリスクヘッジも当然行う。そのため、当初オバマ大統領が目指した「入手可能な価格で質の高い健康保険にすべての国民を加入させる」ことが実現不可能となり、保険料高騰が止まらなくなってしまった。しかも、基本的に保険が下りるまでの治療費は自己負担での立て替えが原則で免責額が高く(診療治療費が各保険の定める1年間の高額な免責額に到達するまでは、何とその保険からは1ドルも出ない)、保険料を払っているのに「病気になっても病院にも行けない」ということも起こってしまっている。言うまでもないだろうが保険料金は、「掛け捨て」だ。

保険料高騰の理由はほかにもある。オバマ前大統領の公約では、すでに加入済みの保険に満足している人は、オバマケア導入後に保険を変える必要がないことが明言されていた。また導入後、米国民の保険料は、平均年間で2500ドル下がるとも言われていた。しかし、オバマケアには「満たさねばならない条件」が10項目あり、出産・産後ケアや薬物中毒者らへのメンタルカウンセリング、小児医療など人によっては不必要なものが含まれる。

それによって保険の値段は一律に上昇。「加入済みの保険を変える必要はない」としていたはずなのに、結局条件に満たない保険は次々にプラン廃止がなされてしまい、結果的に以前よりずっと高い保険(しかもほぼ使わない不要な医療カバー付き)に入らざるをえなくなってしまったという人が大勢いるのだ。保険会社にしても支払いが膨大になり、「オバマケア事業からは撤退する」という会社も後を絶たない。

当事者になって気付いたオバマケアの致命的欠陥

こうした欠陥を抱えるオバマケアによって、人生の希望を打ち壊されたのが、ニューヨークに住む50代半ばの黒人男性のAさんだ。妻と子どもが1人いて、幸せに暮らしていた中産階級であり、熱心なオバマおよび民主党支持者だった。

当然、オバマケアについても「国民保険がなかった国にそれをもたらすことは、平等で非常にすばらしい」と支持していたが、昨年大病をしてしまったことで人生が大きく変わってしまった。今は病気も回復し仕事にも復帰したが、病気になったことが引き金となり、家を手放し、車を手放し、長年連れ添った妻とは離婚してしまったという。それらはすべて高額な医療費のせいだ。

「命は残ったけれど、何もなくなってしまった」と彼は言う。「オバマケアを支持していたけれど、この制度の致命的な欠陥には自分が病気になり、“当事者”になるまでは気づくことができなかった。医療費を先払いするために、家も車も売ったが、それでもおカネが足りなかった。しかも手続きをして請求した治療費の一部は、保険適応外と言われた。自分が支持した大統領や政党に、裏切られた気持ちだ」

それとは反対に、オバマケアによって救われた人もいる。ワシントン州シアトル郊外で2人の娘を育てるBさんは、シングルマザーだ。低所得者用のアパートに住み、徒歩圏内で通えるスーパーマーケットで働き生計を立てている。生活は苦しく、低所得者向けの食料費補助制度「フードスタンプ」も受給している。そんな状況なので、今まで無保険だったが、オバマケアのおかげで保険に入ることができた。彼女は今、そのオバマケア廃止に向かう現状に絶望している。「私たちの権利を奪わないでほしい」と嘆く。

「娘が先日、ケガをしたの。足が大きく腫れてしまい骨折かと思ったわ。幸い捻挫だったけれど、その時には保険があったから、すぐに病院に飛んでいけた。本当にオバマ前大統領には感謝している。でも、その保険が奪われようとしている。私には2人の子どもがいるけれど、頼れる親族は1人もいない。これ以上努力しろと言われても、とても無理。どうしていいのかわからない」

働ける人がオバマケア享受は、アリか?

一方Cさんは、Bさん同様、オバマケアの恩恵にあずかっていた34歳の自称アーティストだ。歌手になる夢を捨てきれず、アルバイトをいくつか掛け持ちしながら食いつないでいる彼は、カントリーミュージックの都、テネシー州ナッシュビル近郊に住んでいる。彼はオバマケア廃止が「自分にチャンスを運んだ」と言って、笑う。

「僕の実家は典型的な中産階級のいちばん底辺だ。親が必死に努力してきている姿をずっと見てきたし、貧困の一歩手前だからいつだって生活は苦しかった。けれど僕は、身勝手な夢を優先して、いつでも親のスネをかじり続けた。そして気づけば独立した後もオバマケアやフードスタンプの恩恵にのうのうとつかって、両親のように苦しんでいる中産階級の底辺からまでも、平気でむしり取って生活していたんだ。こんなことが長く続くわけがない。夢を追いかけるのもほどほどにして、この機会にちゃんと働こうと思うよ」

3人の例を見て問題だと感じるのは、オバマケアが「誰を救済すべきか」という点において極めてアンフェアであることだ。たとえば、Bさんの場合はまだしも、Cさんのような若くて健康な人が、オバマケアの恩恵を享受することに対しては、米国では反感をもつ人が大半だ。世帯収入に応じて補助金を受け取れる現状の制度では、働こうと思えば働けるのに働いていない人の負担までも、必死で働く人が肩代わりすることになってしまう。

事実、共和党がオバマケアに反対した理由の1つには、「施しは人間の自立を奪う」という主張があった。貧困層への最大の救済は雇用であるという共和党の考え方には、個人的には賛成だ。特にCさんのような人は誰かに保障してもらうのではなく、自ら働くべきだろう。

また、「どのように救済するか」についても、Aさんの例を見れば、オバマケアの仕組み自体に問題が山積みなのは明らかだ。オバマケアは、その成立の過程で、最初にオバマ前大統領が語った理想とは、大きくかけ離れてしまったのである。だから、「反対し続けた共和党によって、貧困層救済というオバマ前大統領の崇高な思いは打ち砕かれた」と考えるリベラルはたくさんいる。

中間層に広がるオバマケアへの不信感

しかし、オバマケアを構築する際にアドバイザーを務めたマサチューセッツ工科大学(MIT)のジョナサン・グルーバー教授が、「オバマケアは増税政策だった」という発言をしていること(2014年11月にCBSニュースが報道)や、それを裏付けるかのように、この政策に盛り込まれた21項目の新しい税制度により、結果的に向こう10年間で、5兆ドルの増税が可能になるという事実は見逃せない。こうしたカラクリが明らかになればなるほど、中間層を中心にオバマケアへの反対は加速していったのだ。

オバマケアに悲鳴をあげた中間層は、これ以上の増税は耐えられない。おそらく保障がしっかりとしている大手グローバル企業や、政府で働いているような人は、中間層であっても切羽詰まった感覚はないのかもしれない。だが、中間層の大多数であろう中小企業で働く人や、個人事業主にとっては、増税は死活問題だ。「明日は自分も貧困層に転落するかもしれない」という不安を抱えながら、毎日必死という人も大勢いる。また、貧困になってしまえば、政府が助けてくれるという誘惑に負けてしまっては、一生そこからはい上がれないと、自らを鼓舞して努力を続けている人も。

中間層は、米国の屋台骨だ。そこが崩れては、国家は成り立たなくなるだろう。オバマケアの欠陥にメスを入れようとしているトランプ大統領。批判が絶えないトランプ政権だが、オバマケアにはじまり、機能不全を起こしているさまざまな社会の仕組みに対し、新しい政権に期待を寄せる国民の声は、実は「小さくない」のである。

・規制緩和で家事代行サービス フィリピン女性が来日(NHK NEWS web 2017年3月9日)

※政府が、外国人労働者による家事代行サービスの規制を緩和したことを受けて、来月から神奈川県内の家庭で働くことになったフィリピン人の女性25人が、9日に来日しました。

9日は、大手人材派遣会社に採用された20代から40代のフィリピン人女性25人が成田空港に到着しました。

外国人労働者による家事代行サービスは、おととし成立した改正国家戦略特区法に盛り込まれ、その後、東京都と神奈川県、それに大阪市の3か所が認められるようになりました。

外国人労働者は、各自治体が認可した事業者と契約して、最長で3年間働くことができ、労働者を保護する観点から、事業者には、家庭に住み込みで働かせることを禁じているほか、日本人と同じ給与水準を確保することが義務づけられています。

今回来日した25人の女性たちは、フィリピンにある研修施設で、2か月余りにわたって、日本語や日本の習慣を学んだということで、来月から神奈川県内の家庭で、掃除や料理などの代行サービスを始める予定です。

今回来日した37歳の女性は「早く仕事がしたいです。とてもわくわくしています」と日本語で話していました。

家事代行のサービスは、共働き世帯の増加に伴って利用が増えていますが、担い手が不足している事業者が多いということで、政府は今回の取り組みを通じて、外国人労働者の受け入れ拡大の是非を検討することにしています。

・南スーダン派遣の陸自施設部隊 撤収へ(NHK NEWS web 2017年3月10日)

※政府は、南スーダンでの国連のPKO活動に派遣している陸上自衛隊の施設部隊について、今の部隊の派遣期間が終了するのにあわせて活動を終え、5月末をめどに撤収させる方針を固めました。これによって、安全保障関連法に基づいて、初めて「駆け付け警護」の任務が付与された自衛隊員およそ350人は撤収することになります。

政府は、国連の要請を受けて平成23年11月に、アフリカの南スーダンでの国連のPKO活動に、陸上自衛隊の施設部隊を派遣することを決定し、以来、350人余りが活動している現在の11次隊に至るまで、首都ジュバとその周辺で、道路や橋などの整備にあたってきました。

また、政府は、去年11月、11次隊に対し、安全保障関連法に基づいて、国連の関係者などが襲われた場合、救援に向かう「駆け付け警護」などの任務を付与することを決めました。

ただ、南スーダンでは、去年7月に、首都ジュバで大規模な武力衝突が発生したことなどから、政府が現地の情勢の把握に努める一方、国会では、野党側から「PKO参加5原則」が満たされていないのではないかという指摘も出ていました。

こうした中、政府は、ことし1月で施設部隊の派遣開始から5年が経過し、施設部隊の派遣期間も過去最長となったこともふまえ、今後の対応を検討した結果、現在の11次隊で首都ジュバでの施設整備は一定の区切りをつけることができると判断しました。

そして、今の部隊の派遣期間が今月終了するのにあわせて活動を終え、5月末をめどに、施設部隊350人余りを撤収させる方針を固めました。

一方、政府は、現地の司令部への要員派遣は継続することにしています。

・米政府、NAFTA再交渉協議を向こう3カ月に開始へ=商務長官’ロイター 2017年3月11日)

※ロス米商務長官は10日、北米自由貿易協定(NAFTA)について締結国であるメキシコ、およびカナダと再交渉に向けた正式協議を向こう3カ月に開始するとの意向を示した。

ロス長官はメキシコのグアハルド経済相との共同記者会見で、トランプ政権がNAFTAの再交渉に向けた協議を向こう90日以内に開始したいとの旨の書簡を数週間以内に議会に送付したいと述べた。

ロス長官が示した予定通りになれば、再交渉をめぐる協議は6月下旬から7月初旬に始まる見通し。