私はまだ、あの男のことも、
ケンの事もすこしも許す事ができないんだと実感した。
最近のケンとの関係は最悪だ。

私は今でもあの男を殺したいほど憎んでいる。
その活力がいま私を生かしているんだ。
忘れようとした。覚えている価値もないことだと思った。
だけどどうしても私の心には傷が残っていて
ことあるごとにあのときの事を思いだして、つらくなる。

どうしたら私はあのときの呪縛から
抜け出す事ができるんだろう。

いまでも私はあいつを殺したいほど憎んでいる。

ケンの事もまだ許しきれてはないんだ。

だから、ケンはケンなりに苦しんだ。
だけど、私は未だにあのときの事を
ケンにぶつけたくなる事がある。

ケンはそんな私を無視するようになった。

私は今ケン以外の人に安らぎを求めている。



私の将来にはたくさんの人が見えるようになった。

今まではケン一人が私を支えてくれる人だった。
無償の愛なんて存在しないと思っていたのに、
それが違う事を教えてくれたのはケンだ。

ケンの肩に私の人生も乗せていた。
ケンにとってそれがどんなに重かっただろう。
今でもこれからさき何十年後を思ったとき、
隣にいて一緒に生活しているのはケンだ。

でも私の人生プランの中での目標を達成したいと思ったとき、
私の側にいるのはケンだけではなくて、二人も一緒だ。

家ではケンに支えられ、ケンがいないところでは二人に支えられ、
私は人とのかかわり方に関する考え方が
少しずつ少しずつ変わっている自分と戦い始めた。

二人のような人にはもう出逢えないと思う。
でも損得だけで人と付き合ってきた私は、
それが間違っているのかも知れないという自分と戦っている。

無償の愛を注いでくれる人は限られている。

今までの人生でこんなに自分が幸せだと感じたことはあっただろうか。

私は今までの人生の中で一番幸せだと思っている。
今日感じたこの気持ちを私は一生忘れることはないだろう。


毎日がただただ楽しくて新しい発見ばかりだ。
二人は相変わらず側にいて私を見守ってくれる。
私は二人をどこまで人間として受け入れるか戦っていた。
また前みたいになるのはごめんだ。

私にとっての二人はそれでも支えであることは間違いなくて
仕事で苦しいときもちゃんと話を聞いてくれた。
二人の意見がぶつかる事もあるくらいに、
ちゃんと私の事を考えてくれていた。

毎日毎日三人で過ごした。
私は自分の仮面が二人の前で
だんだん透明になっていくのを感じていた。

私の中で二人の前で仮面を付けている事が
だんだん辛くなってきた。

本当の自分を知ってもらいたい。

今まで私は私から人が離れていったとき
また捨てられた、裏切られたと思っていた。
だからそうならないように、初めから信じないようにしたんだ。
それは女でも男でも一緒だった。

でも二人がたとえ離れていくことがあっても
私はもう裏切られたなんて思わない。
そう思えるようになっていたから。

もしきっと二人が私から離れるときがきても、
私はきっとその悲しみや絶望より、
二人に出逢って、三人で過ごした時間で得たものの
充実感で満たされているはずだ。そう思う事ができた。

だから、私は二人の前で仮面をはずした。
ある日よぉちゃんに言われた。
「お前人に対して壁作りすぎ。何をそんなに守ってんの?」
よぉちゃんもタクも全部見透かしていた。
私が壁を作っていることを。

私は全部を話した。

オーバードーズしたこともリストカットしたことも。
二人の反応は今までの人たちとは全然違っていた。

そんな私でも関係なく受け入れてくれた。
それが絶対にいけない事だとも言わなかったし、
私を責めたりはしなかった。

それでももう辞めて欲しいといった。ただ違ったのは、
二人が私の精神安定剤になってやるといってくれた事だ。
私は二人に出逢えた事が自分にとってすごく重要な出来事になった。

私は自分は最高に幸せだと思った。