あまりにもトントン拍子の成り行きが、慶順にも靖清にもこわいような気がした。二人は、靖清の狭いアパートの部屋で、汗みどろになって絡み合っていた。
ー慶って呼んでもいいかい?
耳元で靖清が囁いた。慶順は含羞んだようにこっくり頷くと、靖清の裸の胸に顔を埋めた。既に二人は、新鮮なお互いの肉を、思うさま貪り合った後だった。が、慶順は十六歳、靖清は二十一歳。さして間をおかずとも、やがてすぐ甦るであろう、若々しい肉の昂まりを待ちながら、裸の股間を晒しているのだった。
慶順には肉親がなかった。焼肉屋を経営する叔父の家から、高校に通っているという。だらしない性格の叔父だから、少しぐらい遅くなっても構わないと慶順は云った。意気投合した二人は、駅前の自動販売機に凭れて酒宴を開いた。靖清が缶ビールを三つ開け、靖清が日本酒を二合も呑んだ。もちろん法律違反は承知の上である。したたかに酔い痴れた靖清に比して、未成年の慶順はケロッとした顔をしている。
ーあー、酔った。酔ったぞ、くそっ。なっ、俺ん部屋まで送れ!
ーうん、いいですよ。助けてもらったお礼ですもんね。
揶揄うように云って、慶順は靖清の肩を支えた。笑みを泛べた瞳が美しい。キラキラと街の灯りに光っている。
実のところ、靖清の意識は醒めていた。慶順の横顔を見るともなしに見つめていると、愛おしい思いがこみ上げてくる。美しい少年だ。彼を、あんな馬鹿右翼に辱められてなるものか。駅前の喧騒の中で、靖清は堅く唇を噛んだ。
靖清は、蹌踉とした歩き様を演技した。アパートは近かった。
ー中野坂上まで歩こう。酔いざましだ!
叫ぶように靖清は云った。もつれるようにして二人は歩いた。若い学生らが、他愛ない享楽にはしゃいでいるように見えた。
部屋へ入ると、靖清は、どうとばかりに畳の上に倒れ伏した。
ーだめですよ。風邪ひきますよ…
介抱しようと背後から抱き起こす慶順の体を、靖清は荒々しく抱きしめた。
ー守ってやりたい。君だけを!
殺し文句のつもりで、半ば叫ぶように言い放って、靖清は力をこめた。その熱い思いが伝わったのか、慶順は抗わなかった。紺サージの制服のズボンのチャックを引き下ろされる時も、大人しくしていた。愛おしさがいや増しにつのるばかりだった。靖清は、慶順のブリーフの前へ、狂おしく鼻先を埋めた。昂奮に、全身がぶるぶるとふるえた。そのふるえを、慶順は、靖清の熱い真剣さとして受け容れたようだった。同じことを靖清にしようと、身を逆しまにした。部屋には、すぐに、雄の匂いが充満した。
ー慶って呼んでもいいかい?
耳元で靖清が囁いた。慶順は含羞んだようにこっくり頷くと、靖清の裸の胸に顔を埋めた。既に二人は、新鮮なお互いの肉を、思うさま貪り合った後だった。が、慶順は十六歳、靖清は二十一歳。さして間をおかずとも、やがてすぐ甦るであろう、若々しい肉の昂まりを待ちながら、裸の股間を晒しているのだった。
慶順には肉親がなかった。焼肉屋を経営する叔父の家から、高校に通っているという。だらしない性格の叔父だから、少しぐらい遅くなっても構わないと慶順は云った。意気投合した二人は、駅前の自動販売機に凭れて酒宴を開いた。靖清が缶ビールを三つ開け、靖清が日本酒を二合も呑んだ。もちろん法律違反は承知の上である。したたかに酔い痴れた靖清に比して、未成年の慶順はケロッとした顔をしている。
ーあー、酔った。酔ったぞ、くそっ。なっ、俺ん部屋まで送れ!
ーうん、いいですよ。助けてもらったお礼ですもんね。
揶揄うように云って、慶順は靖清の肩を支えた。笑みを泛べた瞳が美しい。キラキラと街の灯りに光っている。
実のところ、靖清の意識は醒めていた。慶順の横顔を見るともなしに見つめていると、愛おしい思いがこみ上げてくる。美しい少年だ。彼を、あんな馬鹿右翼に辱められてなるものか。駅前の喧騒の中で、靖清は堅く唇を噛んだ。
靖清は、蹌踉とした歩き様を演技した。アパートは近かった。
ー中野坂上まで歩こう。酔いざましだ!
叫ぶように靖清は云った。もつれるようにして二人は歩いた。若い学生らが、他愛ない享楽にはしゃいでいるように見えた。
部屋へ入ると、靖清は、どうとばかりに畳の上に倒れ伏した。
ーだめですよ。風邪ひきますよ…
介抱しようと背後から抱き起こす慶順の体を、靖清は荒々しく抱きしめた。
ー守ってやりたい。君だけを!
殺し文句のつもりで、半ば叫ぶように言い放って、靖清は力をこめた。その熱い思いが伝わったのか、慶順は抗わなかった。紺サージの制服のズボンのチャックを引き下ろされる時も、大人しくしていた。愛おしさがいや増しにつのるばかりだった。靖清は、慶順のブリーフの前へ、狂おしく鼻先を埋めた。昂奮に、全身がぶるぶるとふるえた。そのふるえを、慶順は、靖清の熱い真剣さとして受け容れたようだった。同じことを靖清にしようと、身を逆しまにした。部屋には、すぐに、雄の匂いが充満した。