あたしはハンドバックからガムを取り出して口に放り込んだ。スカートを尻タブのすぐ上までずり下げた。青年にしばかれて、この上なく不貞腐れていた。良くよく考えると、先週の金曜日に相談に来た時の、女番長を気取っている。
「そんなに好きなら、やってみせたらどうなの、あの子と!」
云ってやった。云おう云おうと思って今まで我慢してたのだ。男の黒白ショーなんて、乙女がそうやたらと見られるもんじゃない。
「今、ここで?」
怪訝そうに青年が訊いた。が、その眸は血走っている。こないだ見たヤクザ映画の高倉健の眸だ。
「よし、やってやる。破れかぶれだっ!」
案にたがわず、青年はズボンを脱ぎ出した。が、かっこつけて脱いだものの、その下に穿いている下着を見てあたしはぞっとした。女物のフリルのついたピンクのパンティーだった。が、青年は意に介さず、と云った風に、
「おいで坊や!」
と佐智を呼んだ。チリンチリンと腰の金の鈴を鳴らして佐智が走り寄る。たちまち阿鼻叫喚の修羅場が展開された。あたしの予想に反して、そのつるりとした滑らかな尻をむき出しにしたのは青年の方だった。佐智は、と見ると、擦り下ろしたズボンの下には、何と、真白い、いや少々ずず黒くなった褌をつけている。解かずに前袋の横から、胡瓜のように反り返った逸物を取り出すと、青年の尻に押しつけた。ただしその胡瓜という形容は、抑制栽培のハウス胡瓜と訂正しましょう。いずれにせよ、その抑制胡瓜が、すっぽりと青年の背後におさまる。
「ああ、いいわ、いいわ、ちょうどいいのよ。おっきくなくていいのよ……」
青年のごつごつした体が、ふにゃりふにゃりとのたくる。佐智が、ズボンからベルトを抜いて、青年の背に振り下ろした。
「ああーっ!」
辺り一帯をびんびんと震わせる程の青年の悲鳴が上がる。あたしは、と云えば、涎を垂らし、目を血走らせ、髪掻き毟って悶え狂っている。今まさに、積もり積もった蜘蛛の巣をふり払って、あたしの指先が可憐な花弁を弄ろうとしている。その時だった。佐智の鞭が鳴り、青年の悲鳴が上がり、同時にキン・コンー・カン・コンと、乙にすましたウェストミンスター寺院の鐘ふうのチャイムが鳴った。そしてまたまた同時に、嵐のような拍手と、やんやの喝采が渦巻いた。首を捻り上げたあたしの目に、今までは気付かなかった、建設現場を見下ろす西大路小学校の校舎が見えた。そしてその窓に鈴なりになった、洟垂れ小僧や、雀斑娘の味噌っ歯まで。
「やれー、もっとやれー」「ええぞおー、ほらもっと腰つかわんかー」「あたしも入れてー」
好きなことを口々に叫んでいる。ブリキ囲いの外の四条通りに人垣が出来始めている。車道へはみ出した買い物かご下げたおばさん達で、交通が渋滞しつつあるらしい。ブーブーとやたらクラクションが騒々しい。これは夏の真昼間の夢なのか。
凛太郎九州行写真、第六弾です。

「そんなに好きなら、やってみせたらどうなの、あの子と!」
云ってやった。云おう云おうと思って今まで我慢してたのだ。男の黒白ショーなんて、乙女がそうやたらと見られるもんじゃない。
「今、ここで?」
怪訝そうに青年が訊いた。が、その眸は血走っている。こないだ見たヤクザ映画の高倉健の眸だ。
「よし、やってやる。破れかぶれだっ!」
案にたがわず、青年はズボンを脱ぎ出した。が、かっこつけて脱いだものの、その下に穿いている下着を見てあたしはぞっとした。女物のフリルのついたピンクのパンティーだった。が、青年は意に介さず、と云った風に、
「おいで坊や!」
と佐智を呼んだ。チリンチリンと腰の金の鈴を鳴らして佐智が走り寄る。たちまち阿鼻叫喚の修羅場が展開された。あたしの予想に反して、そのつるりとした滑らかな尻をむき出しにしたのは青年の方だった。佐智は、と見ると、擦り下ろしたズボンの下には、何と、真白い、いや少々ずず黒くなった褌をつけている。解かずに前袋の横から、胡瓜のように反り返った逸物を取り出すと、青年の尻に押しつけた。ただしその胡瓜という形容は、抑制栽培のハウス胡瓜と訂正しましょう。いずれにせよ、その抑制胡瓜が、すっぽりと青年の背後におさまる。
「ああ、いいわ、いいわ、ちょうどいいのよ。おっきくなくていいのよ……」
青年のごつごつした体が、ふにゃりふにゃりとのたくる。佐智が、ズボンからベルトを抜いて、青年の背に振り下ろした。
「ああーっ!」
辺り一帯をびんびんと震わせる程の青年の悲鳴が上がる。あたしは、と云えば、涎を垂らし、目を血走らせ、髪掻き毟って悶え狂っている。今まさに、積もり積もった蜘蛛の巣をふり払って、あたしの指先が可憐な花弁を弄ろうとしている。その時だった。佐智の鞭が鳴り、青年の悲鳴が上がり、同時にキン・コンー・カン・コンと、乙にすましたウェストミンスター寺院の鐘ふうのチャイムが鳴った。そしてまたまた同時に、嵐のような拍手と、やんやの喝采が渦巻いた。首を捻り上げたあたしの目に、今までは気付かなかった、建設現場を見下ろす西大路小学校の校舎が見えた。そしてその窓に鈴なりになった、洟垂れ小僧や、雀斑娘の味噌っ歯まで。
「やれー、もっとやれー」「ええぞおー、ほらもっと腰つかわんかー」「あたしも入れてー」
好きなことを口々に叫んでいる。ブリキ囲いの外の四条通りに人垣が出来始めている。車道へはみ出した買い物かご下げたおばさん達で、交通が渋滞しつつあるらしい。ブーブーとやたらクラクションが騒々しい。これは夏の真昼間の夢なのか。
凛太郎九州行写真、第六弾です。
