つゆのひぬま、ですね。凛太郎は元気、元気です。何度も脱走して近所の方々に迷惑をかけつつも、がんばって前庭に居ます。あと一か月で一歳になります。


凛冽の汗
進学歳時記 順送りの誠実な生き方を


 六十七歳になる母の、幼い頃からの同年の友人にKさんという人がいる。壮年になって離婚し、嫁がせた娘の家で暮らしている。娘夫婦には二男一女があって、長男は今年、大学生になったばかりである。Kさんは数年前に、長年勤めた郵便局を辞め、余生を楽しんでいたかに見えた。けれど、実は最近、見るに見かねた近所の人の世話で、スーパーマーケットの清掃係として働いている。娘が一銭の小遣いもくれないからである。Kさんにさんざんお守させた三人の子どものためには湯水のように金を使い、教育熱心この上ない娘だが、老いた母には、他人のように冷たい。

 月に一、二度、私の母と買い物をしたり散策したりして遊ぶことを楽しみにしていて、家に来るときには気を遣って恐らくはなけなしのお金で土産を買ってきたりする。Kさんの帰った後、母の話す彼女の境遇を聞いて、私は激しい義憤に駆られる。Kさんの娘の在り方は、たぶんKさんの来し方から来るものであろう。それにしても、その娘もまた、息子や娘たちが大きくなって家を持ったとき、Kさんと同じ目にあって、Kさんと同じように「死にたい」などと口走らねばなるまいと、半ばは溜飲を下げる思いで、また一方では人の世の哀感のようなものを感じながら、母の話を聞いている。子どもにばかり手と金をかけ、老いて孤独な親をないがしろにしている人たちを、一体誰が叱るのであろうか。


 十五年くらい前の進学歳時記ですから、その母もKさんも既に鬼籍の人ですが、今も身につまされるような話ではないですか。

 凛ちゃんの写真は、東京行シリーズで、池袋のウィークリーマンションでの凛太郎です。もう一枚添付しておきましょうね。


凛冽の汗