昨夜から今日にかけて、ずっと雨です。凛ちゃんの散歩が思うようにならないので、困っています。屋外大作戦もダメ、雨降りはイヤですね。


凛冽の汗
進学歳時記 やさしさが足んねえ


「ああっち! ねええっ! さん!」

 一瞬、夜の底に焼きつけられた都電の姿を、僕は一生忘れない。

 二台のストロボと同時に、都電のパンタグラフから稲妻のような青い火花が爆ぜた。真昼のような一瞬の閃光で、電車はそのまま止まってしまったように見えた。

 しかし、都電は警笛を鳴らし続けながら、全速力で僕らの前を通過していったのだった。豆電球に飾られた運転台に、順ちゃんが無愛想な顔でつっ立っていた。

 母が、ほうっと息を抜いた。

「あっち、ねえ、さん、だって。久しぶりで聞いたわ」

「あっちねえさん。おかしいね」

 僕と母は芯の折れたように屈みこんで、大笑いに笑った。

      中略

 僕が高校を卒業する年の冬、祖父はスタジオの籐椅子の上で、ゴブラン織りの絵柄のようになって死んでいた。

 駆けつけた父は、祖父の膝からライカを取り上げると、胸に抱きしめて、わあわあと泣いた。検死の医者や警察官が来ても、近所の人がおくやみに来ても、そのままどうかなっちまうんじゃないかとまわりが気を揉むほど、スタジオに立ちつくして泣き続けていた。

                                                   浅田次郎「青い火花」より


 花電車の写真撮影を中心に、「おまえはやさしさが足んねえ」と父を叱って逝った祖父の生きざまを通して、「やさしさ」を読み取らせようとする出題者の意図がわかるだろうか。世代を賭けた願うような問いかけに、先輩たちは胸をつまらせながら鉛筆を走らせたと聞いた。

 今年もまた、すべての教科で、すべての場面で感動とともに走り抜けた先輩たちと同じように、君たちも新たなスタートを開始した。


 今日の写真を見ていて、つくずく思いました。私もまた「やさしさ」が足りないと。この凛太郎を見てください。こんなにちっちゃかったのです。これが、ほんとうの凛ちゃんなのです。ブリーダーの注意を聞かず、今のように「悪い子」にしてしまったのは私たちなのです。これからでも遅くはない、と先日も言われました。ちゃんとケージに入れて決まった食事や習慣に努めようと思います。でないと、凛ちゃんが可哀相です。