シゲが故郷のお父さんお母さんのために、家族旅行へ行ってます。また、凛ちゃんと二人っきりです。明日まで楽しい、苦しい、猛獣と一緒の日々が続きます。これから長い散歩へ行く予定です。その前に、凛太郎通信のその2を書いておきます。


凛冽の汗
進学歳時記 シリーズ13 主人公は君たちだ


 授業にはさまざまな工夫をこらしている。一段高い教壇にふんぞり返って、教えてやるぞとえらそうな姿勢はとりたくない。欧米の授業スタイルでは、教師も生徒も同じ地平にあって、「ともにある」ことで成果をあげている。私もそうあろうとつとめてきた。

 ところが、そういう授業では入試に不安があると一部の方から申し出があり、私は即座にすべてを放棄した。それから二週間。

 「……その人の言い分を、ぼくは決して快くは思わない。でも先生にも疑問がある。なぜ、そんなにすんなりと、簡単にやめてしまったのですか。先生の怒りやかなしみは分かります。ぼくが同じ立場だとしても怒っていたにちがいない。でも、そんなにすんなりやめられるほど、先生が授業でしてきたことは軽くはなかったと思う。こんなことはただの生徒であるぼくが言ってはいけないとは分かっている。でも、ぼくたちは、ここにいない人の言い分ではなく、生徒であるぼくたちの意見をこそ聞いてほしかった。誰が何と言おうとやめてほしくはなかった。ぼくは今までの先生の授業こそ『塾の国語』だったと思う。それが分かってもらいたかった。」

 私の手に、直接手渡してくれた中三生の作文である。多くを語りたくはない。ただ、「ありがとう」と彼に言いたい。こみ上げてくるものを堪えながら、ただ「ありがとう」と言いたい。そして、その彼と、そんな彼らとともに、間もなく始める夏の陣。私もまた二度とない夏の気概で、全力で臨もう。


 どうやら、私のやり方は十年か二十年早かったようです。ぶつぶつ言われながらも、自ら考える授業を、仲間と教え合い、支え合う授業をそれからも続けましたが、周囲の評判は良くなかったようです。周囲というのは全て大人たちのことです。が、今、その大人たちが私の真似を始めましたから、おかしくて、アハハと笑ってしまいます。

ともあれ、凛ちゃんが待っています。それではお散歩に行ってきまーす。