今日も今日とてバカタレ凛太郎です。生後7ヶ月、バカタレ盛りなのですね。とにかく言うことは聞かないし、自分勝手だし、数回前にも使いましたが、ご覧の通りの可愛い顔して憎たらしいことこの上ないです。五月に車で三回目の東京行の予定ですが、果たして凛太郎連れで無事行けるかどうか、不安です。
進学歳時記 ⑤ 親と子のこと
まだ夏休みの始まらない週末、私は石垣島のあるホテルの、プールサイドに居ました。早朝のやさしい海風の中で、ひとときの休息を満喫していたのです。営業前でホテルのスタッフがプールの清掃をしている、そんな穏やかな時間でした。
やがて、三十歳になるかならないほどの若い夫婦が、二、三歳の女の子を連れてやってきて、父親と女の子がプールに入って遊び始めました。母親はビーチパラソルの下で、プールの中の二人にカメラを向けたりしています。煙草を吸うか何かで、父親がプールから上がりました。プールの中では女の子がひとり、浮輪につかまって遊んでいます。夫婦は何やら楽しげな会話を交わしながら、女の子に手を振ったりしていました。
と、その時です。女の子が、何を思ったのか、浮輪から抜け出て、妙な具合の姿勢になったと思ったら、ぶくぶくと溺れるようにしてもがき出したのです。見ていた私が腰を浮かす間もなく、次の瞬間に、母親が脱兎のごとく走り出して、女の子めがけてプールに飛び込みました。父親が間髪をおかず続きます。それはまるで、テレビドラマか何かを観ているような、激しい感情に揺さぶられた時間でした。母親に抱かれた女の子は、恐怖ゆえに大声で泣き出します。それをなだめる両親の声を聞きながら、私は涙ぐんでいました。
沖縄戦のことを考えようと出た旅でした。教室でのみんなの生意気な顔が浮かんできて、その表情の向うにみんなのお父さんの顔が、お母さんの顔が見えたような気がしました。沖縄戦で死んだいたいけな子どもたちの記録写真の背後に、父親の、母親の、涙に濡れた顔が浮かんできました。それゆえの涙でした。やがて辺りはまた静かになります。ホテルのスタッフの青年はまだ、清掃を続けています。南の島の強烈な太陽が、徐々にその強さを増し始めて、再び穏やかな時間が流れていきます。
今なら、そう、凛太郎が逝く時の私たちの顔が、浮かんできそうですね。いえ、まだまだ先のことです。だって、あんなに腕白な凛太郎を見ていて、別れのときのことなんか考えられません。ほら、この傲慢そうな顔を見てください。
