土曜日は一日自由に過ごせる日です。但し、凛ちゃんがいなければ、もっと自由なんですが。今は、ケージに閉じ込めています。いい天気なのに可哀相ですね。ちょっと待っててね、凛ちゃん。
澤田君は、その年の終わりの模擬テストで、三教科学年第一位でした。それまで苦手だった国語が、思いがけないほど高得点で、先生のおかげですと謙虚に作文に書いてくれました。いかにも、出会ってからの澤田君は、次々と図書室で小説を借りて読み、毎週のように感想文を書いて提出してくれました。国語の「こころ」の方から近づいてくれたのです。自分の方からアプローチしてくれたのです。先生の力ではなく、澤田君自身の素直な姿勢の成果だったのです。
そのことの証明を、澤田君自身がまた、成し遂げてくれました。彼はその模擬テストで、理科・社会のふるわなかったことを深く反省していました。そして、進級してからは必ず改善したいと決意を述べてくれていました。それから三か月、今年度初めの模擬テストで澤田君は、社会第二位、理科第一位、堂々の総合学年第一位に輝いたのです。「嬉しい」というよりも、感動しました。澤田君は笑顔のやさしい、おとなしく素直な少年です。クラスの誰もが、クラスの希望の星だと認める彼ですが、決して親分ではなく、傲慢にみんなを仕切ったりもしません。いつだってみんなと対等に肩を並べて、ニコニコしている彼なのです。そんな彼が、わずか三か月で決意を、宣言を現実にしたのです。眼鏡の奥の静かな瞳、痩せっぽっちの華奢な身体つきからは想像できないほどの熱い実行力に、先生は感動したのです。
小学生の人も中学生も、そして高校生も、毎月の作文に何を書きますか。どんなことを決意し、どのように目標を語るでしょうか。そして、いかに自分を描くでしょうか。作文に書くことと実際の自分は一致していますか。口先だけになっていないでしょうか。澤田君のすばらしさは、成績の良いことだけではありません。その実行力なのです。決意を成果にしていく、学ぶことで自分を変えていく、大人になっても必ず何よりも大切な、精神の力なのです。もう一度澤田君を見てください。彼はいつもニコニコして仲間とじゃれ合ってる、素直で謙虚な少年なのです。「自律」ということの「鍵」はそんなところにあるのだと、澤田君は教えてくれているようです。
大人になっても大切な「精神力」。そして、老人になっても大切な「精神」の力。つくづく、そう思います。凛太郎を育てていけるのも、私のまだ微かに残っているパワーのお陰なのですね。逆に私がパワーを貰うときがあります、凛太郎から。叱ったり、怒ったり、喚いたりしていけるのも、互いの相乗効果みたいなものなのですね。ふんふん、ありがとう凛ちゃん。
