凛太郎が我が家にやって来て、間もなく半年になります。この勇姿をご覧ください。勇姿というより、あの可愛さはもう微塵もない、おっさんになったというべきでしょうか。ああ、哀れ凛太郎。



凛冽の汗
君たちの作文から シリーズ10 ①

   おまえへ  五条校中三 竹内 ◯◯

 自分の過去を探検するけど、そこは知らないところじゃない。

 分かれた道があったらどれかに決めて辿ってきたけど、自分は一人しかいない。

 もったいなくなんかない。いま以外にはもういらない。

 何も考えたくないけど、やっぱり何か残ってて……

 それはみんな。やっぱりみんなが好き。こわいなぁ。好きって。

 

 現実の狭間の夜。傘をさして、一人ペダルを漕ぎました。

 町は寒くて、とても静かです。

 叶えてほしい夢があるのに、どこまで行けるのでしょう。

 -----------コンビニに入った。

 レジは女将さん風の若いお姉さんで、綺麗だ。

 ドキドキして買い物をしていた。ふと見ると、飲料水が並ぶ棚のドアの前で、おじさんが小さい子を腕に抱いていた。何やらぎこちない。ドアを開けてやった。おじさんは愛想のいい「ありがとう」を言って、レジに向かった。そそくさと出て行った。俺も出た。中年男が小さな娘を抱いてコンビニ。家庭の事情か。大変やなあ。あの不細工な面構えは、心のきれいなことを示してた訳や。あっ、ビデオ屋に入る。

 何が悲しいってそんなんないけど、妙に冷たい風を恨んだら、涙が出てきてしもた。男は辛いぞ。女性諸君。-------------

優しさなんてもうたくさんなのに、ぎこちなさを救ってくれる。そんな勇気があればいいのに。


 おまえへ。レクイエムを聞いてくれ、おまえが大好き。きっとずっと一緒だね。


 俺がここから抜け出したいと思うのは、誰もが俺のことを知っていたから。日が経って、友達の心の中から自分の姿の薄れていくのが、本当はどうしようもなく淋しいけど、でもそんなふうだから、俺もおまえもそれでいいのかも知れない。


 素直な奴は嫌い。でも、自分も嫌い。いつの間にかこんなにおとなしくなって、人が嫌いになった。飢えているのは涙じゃない。愛情だよ。


 おまえへ。

 おまえよ、がんばれ。

 負けるな。勝て。

 おまえのそんな心、つまらなくても決してふざけたりはしない。

 大事なおまえを、孤独に見捨てたりは決してしない。

 おまえを好きになることに精一杯な俺を、もっと信じてほしい。


 只でさえ自分の思いを外に出せないおまえ。今やっと自分がばかだったって分かったよ。でもおまえが言ったように、俺もおまえも世界一の親友だ。ただそれだけで、心があったまってくるさ。我慢するのは世間じゃないよ。俺たちみたいな雑巾さ。そうだろ。


 夏が終わった。みんなの夏も、俺たちの夏も。淋しいなぁ、おまえ。


 ダルいけど絶対捨てられないものもある。それを守るために俺もおまえも生まれた。弱音だけは吐きたくない。流されても、心の奥で、何かを願ってる、俺とおまえ。

 俺とおまえはきっとずっと一緒だろう。


 何度目かの彼のレクイエム。いま、時期が時期だけに、胸締めつけられるような哀しさを覚える。私には何もしてやれない。ただ、こうして、その心根をじっとみつめるだけだ。授業にもっと力を入れて、心をこめて、苦しそうな彼を励ましたい。先生はいつも一緒だよ。此処に居て、君を全力で応援してるよって、思いが届くだろうか。必ず志望校に合格してほしい。それだけは偽りのない赤心である。

 十年余、三年生と向き合ってきて、今年もまた凍てつく季節が来る。いま、二つの佳作がある。


 それはまた、次回に紹介しましょう。今はただ、祈るのみです。今年もまた、同じように凍てつく季節が来ますから。そう思うと、荒野に立ち尽くすおっさんのような凛太郎の姿も、頼もしく見えてきます。