今日は、シゲと凛太郎と私と、みんな一緒に奈良方面へドライブに行きました。いつもそうですが、窓を開けろとうるさいのです。全身を乗り出して、風をパクパク食べるのがお気に入りです。
少年の心がいかに誠実か、少女の瞳がどんなに澄みきっているか、何度も何度も思い知らされながら、私たちは凡夫である自分に気づいてはまた鞭打って、それだから彼らと一緒に歩きたいと思う。三年生の卒園のとき、その歓喜の合格のときまで。
作文集で常連になった大沢◯子さん(五条校中三)が、いま先生が君たちに見てほしいことを、こんなに巧みにまとめてくれている。中学三年間、その充実のとき、こうして成長していくんだという確かな証しを示すように。
「その日、確かに私はいやいや机を拭いていました。委員会が終わって教室に帰ってくると、机も黒板もとっても汚れていました。私はその日の掃除の班長でしたから『はぁー』と大きなため息をついて、ついつい乱暴に、適当に机を拭いていました。
視線を感じてさっと振り向くと、担任の先生がにやっと笑ってこう言われました。『大沢、ご苦労さん。でもなぁ、そんな嫌そうな顔してやらんでもいいやんか……』『だって……』と言おうとした私に、『大変やっていう気持も分かるけど、同じやるんやったら、一つひとつ心こめて机拭いた方がええと思わへん?』と言われました。今度は『だって……』が出てきませんでした。
先生が出て行かれた後、(ああ、机さん、今日も一日ありがとう)という気持ちで一生懸命机を拭きました。すると、やっぱり違うんです。霧が晴れるように心が落ちついてくるし、ちょっと楽しくなってくるのです。そういえば、人を悪く言っているときには、もう何もかも嫌になるけど、人に親切にできたときは、もっともっと人に優しくしたい、好きになりたいと思うし、何よりもそう思っている自分自身を応援したくなるのです。いつもいつも悔やんでばかりの自分を。
机を拭いてやってるとか、拭かされてるとかいう考えから、少し心の在り方を変えるだけで、自分も周りもガラっと変わるんですよね。
何をするにも前を向いて進んでいくのは、しんどいし、とっても怖いんです。だけど、それはきっと楽しいし、良い方向に向かっているとも思うんです。
だから、私は逃げたくないんです。
還暦を過ぎた私に、少女の言葉は心地良く、しかし辛辣に突き刺さってきます。いかにも、今私が心しなければならないことなのです。昨日も今日も、町で見かける同年輩の人たちを、苦々しい思いで見ている私なのです。そして、凛太郎とのあれこれにも、腹を立てたり、反省したりして……ほんとに、大人げない私です。ありがとう、大沢さん。あなたの言葉を心に刻みます。あなたの心をしっかりと受け止めていきます。
