今日は一日いい子でいたのに、夜になってまた問題発生。畳をぐぎぐぎ噛んだのです。十センチ四方ほど派手にやって、ケージに逃げこみました。「こらー、出て来い」の怒声と共に、またぞろ虐待が始まります。シゲが止めに入って凛太郎を救い出しました。私は怒りがおさまらず、ブリブリです。が、当の本人は10分ほど経つとまた私の傍にやってきて尻尾を振ります。こんなのを繰り返しています。……あーあーっ。
田中謙◯君、実はクレンソゥ星人様にひざまづいてお願いしなければなるまい。どうか地球を、人間の存在をお許しくださいと。自分のことしか考えないエゴイズムを改めます、これからは常に大きな目で、地球全体が自分の家、自分の部屋なのだという発想で地球を大切にしていきますからと。そのために、まずこの塾の日常から正していこう。先生や職員は常に校舎内外の清掃・美化に務める。君たちはその背中を見つめてほしい。そして、一緒に身の回りから清潔にしていこう。ガムも菓子も精神的に幼稚な者の好むものだと考えたらいい。机や壁に落書きをする者は、人の見ていないところでしか愚行のできない卑怯者だと思うべきだ。手当たり次第に器物を壊す者は、親の躾のいい加減な者、親の恥を代弁しているということになる。学校の校則のように、禁止事項を膨大に羅列することよりも、自分の心の在り方がそのまま行為として出てくることさえ弁えていれば、折角の植え込みのツツジにバックで駐車する講師なんかよりずっと君たちの方が大人になっていける。自身を深く省みる習慣が、人を繊細にしていく。幼さの中にあるなくしてはいけないものを、いつまでも持ち続けていける人にしていく。そして、名声や報酬のためでなく、いつも自分を持ち出してどんなことにも懸命になれる純粋さを保ち続けていける。
さあ、君が地球を救うリーダーだ。どこででも君がいちばん大事な人。君がゴミを一つ拾えば、君が人間を一人大事にしたことになる。君がもっと自分自身をみつめ、自分自身が誰なのかを知っていけば、クレンソゥ星人に消されずに済むはずなんだ。クラスも社会も地球も宇宙も、すべて君ひとりから始まっていることが、もう君たちにはわかるはずなんだ。どうか、君が宇宙連盟への派遣大使になってほしいと、クレンソゥ星人(田中健〇君)から先ほどテレパシーで依頼があったよ。
ほら、この憎めない面構えを見てください。これでいつも騙されるんですよ。……そんなものなのですかね。人間なら未だ十歳足らずですものね。こいつ、もしかしたら、クレンソゥ星人の飼犬かも……。
