今日はまた、シャンプーでした。乾かすとき、口輪の隙間から思いっきり噛まれました。薬指に穴が開くほどでしたが、叱ることなく作業を続けました。仕方ないですよね。怪獣凛太郎、健在なり。
この塾に勤めるよらうになって、もう十年を越えた。初めのころは、かなり強権的に生徒を従わせ、自分の考えを無理にでも浸透させる、そんな調子だった。いま思えば、慙愧の念に堪えない。世間というものの哀感のようなものを周五郎に教わり、子どもたちというより人と共にあることを灰谷さんに、そして仕事の上でかかわった多くの人に教えられた。自分が、そんなふうに少しずつ変貌すると、生徒たちに対する見方も変わってくる。「共に在る」ことの大切さを痛感し、日常的に具現化に努めようと思うようになった。特進ばかり十クラスの受け持ちだが、そのすべてにグループをつくってもらい、理屈だけの博愛を説くのでなく、実践にも努め始めた。
おかげで、受け持ちクラスの生徒たちはみな、同窓会でのフォローも功を奏したのかもしれないけれど、こうして時々、冷厳な現実に直面した生徒が、哀しそうに疑問を投げかけることがある。その都度、熱い言葉で慰め、彼ら自身の純粋を示唆するのだが、今度の中三生の清水君の問いかけは、そのまま中一の生徒に手渡してみることにした。清水君の作文をプリントし、それを熟読して「先輩への手紙」という形で中一生に書いてもらった。
「もし、大人になって困ったとき、学歴が助けてくれない場合でも、友達は助けてくれるかもしれない。」(草津校 伊庭〇○〇)
「自分だけが勉強して合格し、社会に出られたとしても、心の貧しい人間になってしまうだろう。逆に、友を大切にできる人は、いろんな面で貧しくても心は豊かで、人から信頼され、本当の幸せな人生を送れるだろう。」(草津校 城山〇○)
「自分勝手で高慢な人間にならないでください。他人から信頼され、自分が嫌にならない人間になってください。落ちた人をあざ笑うような人間にならないために、心の鏡に映った自分の醜い姿を見て気づいてください。」(草津校 中畠〇子)
続きは次回にしましょう。子犬のような真っ黒な瞳に出会えた私が、今はその子犬の真っ黒な瞳に振り回されています。ああ、凛太郎よ、早く大きくなって、物事の分かる犬になるか、或いは三か月ほど逆戻りして、可愛い凛ちゃんになってください……。
