そもそも、少し考えればわかる事だったじゃないか。
支配人は歓迎会と銘打って飲みたいのだから、
前半参加して仕事に戻る=酒が飲めない
前半仕事して後半参加=酒が飲める
こういう事だよね。
そんなわけで、重い足取りながらも現場に到着した私。
主任の言っていた特等席もとい罰ゲーム席は避けなければならない。
合流した瞬間にどこに腰を落とすか考えなければならないのだ。
悩んでしまったら、罰ゲーム席に行かされる可能性はあがる。
自然に速やかに主任のそばの席を確保するしかない。
支配人は気に入ってる人間をそばに座らせたがる。
今日はサクラが居ないし、若パパも居ない。お気に入り筆頭が不参加である。
正面と両サイドの席に誰が座ってるか・・・ユイさんのために空いてる可能性が微レ存
タツヤ君が居るのは間違いないが、後が思い浮かばない。(ちょー怖い)
「お疲れ様ですー」
ご挨拶しながら飲み会の席に入った。
支配人は中央に陣取っている。
その両サイドは微妙に空いてるのか空いてないのかわからないレベルの距離感でフロント主任とメイク主任がいた。そして、正面に座る若パパ。
あれ・・・?若パパ?来ないって言い張ってたじゃん?
そして姿の見えないタツヤ君。あれ・・・?裏切り行為か?
そんな事よりまずは席の確保だ。ボケっとしてる間に支配人の隣に座らせられたらたまらん。
みんなの挨拶を受けながらフロント主任の支配人側じゃない空きスペースに滑り込んだ。
もうここから動かない。絶対にだ。
席に着いて飲み物を注文した所で、若パパからの視線を感じる。
そちらを見やれば、「助けて」と目が訴えていた。
「ムリ」と苦笑いを返すしかできない私。
「若パパ来ないって言ってたのにどーしたんでしょ?」
と、お隣の主任に聞けば
「支配人から鬼電話来て大変だったみたいよ。断っても聞き入れてもらえなくて。家族でお食事の予定だったらしいんだけど、家族は今近くの別の店で食事してて、家族が食事終わったら一緒に帰るんだって。かわいそうに」
「家族の外食ぶち壊すとかありえないんですが・・・」
「ね・・・お仕事掛け持ちしてて、滅多に子供と居れないって言ってたのにねー。かわいそう」
「せっかくの外食計画だったんだろうけどねー・・・」
そりゃ、「助けて」だわな。
「そして、タツヤ君はどーしたんでしょ?裏切りっすか。反逆行為っすかぁ?」
「タツヤ君も掛け持ちのバイトが急遽入ったらしいよ。今夜、うちの夜勤も入ってるのに大変だよね」
「あーそりゃ、大変だ。」
当日になっての裏切り行為かと思って焦ったじゃねーか!
「掛け持ちのバイト終わった後に、ここ顔出して食事してから夜勤出るらしいから後で来るよ」
「・・・かわいそうに。掛け持ちだけでも大変だろうに・・・」
「支配人が飯だけでも食ってけってゴリ押したみたい」
飲み会ってもう少し楽しいものじゃなかったでしたっけ・・・?
なんでこんな微妙な空気なんでしょうね。本当に。
支配人はすでに良い気分で酔っぱらってるので、微妙な空気には気が付きもしない。
いや、酔ってなくても気が付かないのが支配人クォリティなんですが。
「タツヤ君来るなら、それまで待っててあげないと可愛そうだよね」
「そーねぇ・・・」
しかし、フロント主任はすでに帰りたそうだ。
基本的にメイクさん達は子持ちの奥様が多いので、いつも飲み会はそんなに遅くまでいない。
メイクさんたちが帰ったら、それこそ残り少ないメンツでの飲み会になってしまう。
できるなら、私もさっさか帰りたいけど・・・後から来るタツヤ君を思えば帰るわけにもいかぬ。
なんだか、すごく嫌な予感がします。