「では、一杯だけ頂きます。」
そう言って、ヘルプ席に座るこうちゃん
「お願いします。」
そう言って、グラスを持ってこさせようとするが
「あ、ビールとか頼んでくださいよ。」
そー君がビールを進める
「いえいえ。自分はハウスボトルで充分ですから。」
「そう言わずに、お酒勧めたの僕なんで何か頼んでください。」
こうちゃんはまだしも、そー君は別人なのじゃないかと思うほどの変貌振り
「では、お言葉に甘えてビール頂きます。」
しばらくして、こうちゃんにビールが運ばれて来る。
二人は乾杯をして、お互いに一口飲む。
そして・・・微妙な間の後に、そー君が口を開いた
「どうです?ゆいの働きぶりは?ちゃんとやってます?」
「出勤率もいいですし、お客さんからも評判いいですし、とてもがんばってますよ。」
なんだろう・・・この中学生の三者面談のような会話は・・・
「確か、以前のキャバクラでの知り合いでしたよね。」
「そうなんですよ。偶然面接に来てくれたので、僕自身とても驚きました。それまで、一切連絡とってませんでしたし、都心に来てるなんて思いませんでしたよね。」
「地元があっちの方なんですか?」
あっちとは私の地元の事を指しているのだが・・・
「そうですね。実家がA市なんですよ。」
あ・・・(・∀・;)
「A市なんですか?僕もA市なんですよ!」
あーあ・・・(´・ω・`)
そう言えば、二人の地元は同じ市だったっけ・・・でも同じ市でも広いから・・・
接点はないよね・・・。
「偶然ですねぇ。」
「藤崎さんはおいくつなんですか?」
「今年で25になりますね。」
「僕の一個上なんですね。それなのに、店長とかすごいですね。」
「たまたま自分の上司だった人たちが早く独立したので、早く店長になれただけです。」
「それでも、今これだけの大きい箱を仕切ってるってのは充分すごいですよ。」
いつまで続くのかわからぬ社交辞令合戦
早く終わって欲しくて気が気ではなかった
だって、二人ともいつもと違う雰囲気でなんか怖いんだもん・・・。
できれば、会話にまざってもう少し軽い雰囲気にしてしまいたいが・・・
こういう男同士の会話の時に、女は口を挟んじゃいけないのだ
とりあえず、そー君は嫌がるので黙って時が流れるのを待つしかなかった
こうちゃんのビールが無くなり、話が一段落した所で
「では、そろそろ自分は仕事に戻ります。どうも、ご馳走様でした。」
「こちらこそ、お仕事中に我侭言ってすみませんでした。」
「ごゆっくりして行ってください。」
席を離れるこうちゃん。
ふー・・・思わずため息を出す私。
特に何も起こらなくて良かった・・・。
そー君は満足そうに頷いている
「満足ですか・・・?」
「おう。満足だ。」
「なら、良かったです。」
「俺とは違ったタイプだな。でも、仕事はできそうだ。」
ええ、正反対のタイプですよ。
それだけ言うと、こうちゃんの事にはそこから一切触れなかった
私としては・・・なんでこうちゃんと話したがったのかとか教えて欲しかったけど
もちろん、自分から聞く勇気なんてなかった