店内に戻り、こうちゃんの姿を探す

ホールには見当たらない・・・



「ねね、こうちゃんは?」



片付けをしているニノキチに聞いてみる



「店長室にいないなら、奥の個室のどこかにいるんじゃないですかね」



一つ一つ個室を確認して周る


こうちゃんは、一番奥の個室でタバコを吸っていた




「入っていい?」



「いいよ」



こうちゃんの顔に笑顔はなかった



少し緊張しながら、個室に入る

個室にソファーは一つしかないので、とりあえず隣に腰掛ける

おかしな距離だ・・・



しばらく無言が続く



何か話したい事があったわけではないので、何て話しかければいいのかわからなかった




「怒ってる?」



こうちゃんが私に聞いた



「え?怒ってないよ?こうちゃんこそ、怒ってるでしょ?」



「怒ってないよ。」



顔を見合わせて、2人とも失笑する



「アスカさんクビにするって言ったから、怒って文句言いに来たのかと思った。」



「ううん。こうちゃんが怒るの初めて見たから、なんか、心配になっただけ。」



「そっか・・・。俺もゆいちゃんが怒るの初めて見た。」







『怒らすと怖いんだね・・・。』



声を揃えて言う



(゚ω゚)!



「あたし怖くないよ!こうちゃんのが怖いってば。」



「いやいや、ゆいちゃんも相当怖いよ。」



そう言って二人で笑いあった




「アスカさんには少し申し訳ないなって思ってるんだけどね。でも、指名も取れてないし、後々クビにはなってたかもしれないしね・・・。いい訳だけどさ・・・。」



「んー・・・まぁ、文句を言うつもりはないよ。店長はこうちゃんなんだし、雇ってもらってるのは私達なんだからさ・・・。アヤカみたく働いてあげてるのよ的な態度の子なんてクビにしちゃって当然さ(〃'∀')o_彡☆」


アスカの事は完璧納得してるわけではないけれど・・・



「アヤカさん、本部長に電話するんだろうなぁ・・・。本部長から電話来るんだろうなぁ・・・。あ~・・・。本部長が連れてきた子をクビとか、文句言われても仕方ないもんなぁ・・・」



そう言いながら頭を抱える

店では一番偉いと言っても、上司がいるんだから間挟みで辛いんだな・・・

現場の女の子の事くらい、全部こうちゃんに任せちゃえばいいのに。

現場で一番偉いのはこうちゃんなんだから・・・



「これで、アヤカさんはクビにできないでアスカさんだけ辞めてもらう事になったら、それこそ恨まれるんだろうな・・・。」



なんとも、声のかけにくい・・・

だって、そうなったら本当に恨まれるだろうし・・・レイナちゃん達だって怒るだろうし・・・

あたしだって、納得いかない・・・w




「もう、店長なんて嫌だなぁ~・・・。」



ぽろっと弱音を吐く

こうちゃんが弱音を吐いたのも初めて見た



そんなに弱ってるのか・・・



「なんて、弱音吐いても仕方ないか・・・逃げ出しても、結局こうやって戻ってきてるわけだしね・・・。」



「逃げ出したの・・・?」



「そうだよ。パチコン屋で働いてた時は逃げ出してたの。でも、結局・・・アルバイトの給料じゃやってられないしね。俺にできる仕事ってこれしかないんだよな・・・w」



「あたしも、きっともうこの仕事しかできないよw ってか、この店じゃないと働けないと思う。」



「うちの店稼げるもんね。」



「それもあるけど、この店が好き。こうちゃんが店長のこの店が好き。あたしを、絶対辞めさせないって言ったよね。だから、こうちゃんも絶対辞めちゃダメw」



「そっか・・・w 人を辞めさせないとか言っておきながら、俺が辞めたいとか言っちゃダメだよなww」



少しこうちゃんに笑顔が戻った





「失礼します。藤崎さん本部長からお電話です。」


ニノキチが電話の子機を持ってやってきた。



(゚ω゚)!

アヤカの事かな・・・・(´・ω・`)


がんばれこうちゃん・・・。



「お疲れ様です、藤崎です。」



居ない方がいいだろうと思って席を立とうとしたが、こうちゃんに手を掴まれてもう一度座らされる。

目で居てくれと・・・私は黙って隣にいる。


繋いだままの手からこうちゃんの緊張が伝わって来た・・・