ユリエのこうちゃんの席での言動は気になったものの

とりあえず、様子を見ることにした


ちょっとした軽い会話だったかもしれないし・・・


それに、2人で接客してる時は全く何も問題ない

下手な事言ってギクシャクするのだけは避けたかった





いつもと同じように仕事が終わり、アヤとホストに行く準備をしてると

ユリエがやってきた



「あれ、今日も2人でホストー?」



「そうだよー。ユリエも来る?」


アヤがユリエを誘う



あ、アヤにまだユリエと仲良くするなって言われたこと話してなかったんだった・・・

これで、またユリエと一緒に行ったら、そー君は嫌がるだろうなぁ・・・




「私はいーや。それより、ゆいは本当に色恋されてないよね?されちゃダメだよ?あの人奥さんいるんだからさ。」




え・・・・?





「え!?奥さんいるの??」



アヤが食いつく




「いるよ。結構前にあの人結婚してるよ。」





え・・・?





「なにそれ!なんで、ユリエがそんな事知ってるの?」





「んー。友達がね蒼希君指名してたんだけど。色恋っぽいのされててね。それで、その子の友達も蒼希君指名してたらしくてさー。どっちも、私はつきあってる!みたいな事になって揉めたことがあったんだよね。」





客同士のケンカかぁ・・・

色恋するってやっぱ怖い事なんだなぁ・・・




「それで、その時にその子の友達の方が・・・もうすぐ結婚するんだって言ってね。その子は、蒼希君に問い詰めたたらしいんだ。そしたら・・・」





そしたら・・・・?




ユリエはしばらく黙る








「結婚するって。今まで騙してて悪かったって。そう言って謝ったらしいよ・・・。ホストがこんな事ばらすのもいけないけど、お前は本当いい奴で騙し続けるのも罪悪感あるから・・・本当ごめんって・・・。」




・・・・・なにそれ・・・・





「電話でちょろっと聞いただけだから、あんま詳しくは知らないけど、そう言われたって言ってたんだ。その後その子は行方不明になってしまったから・・・それ以上何も聞けてないけど・・・たぶん、真実なんじゃないのかな・・・。嘘つくような子じゃなかったし・・・そのまま姿を消しちゃったってのも、相当ショックだったからだろうしね」






・・・これは本当にそー君の話なの・・・?





本当に、結婚してるの・・・?






「まじで!?うわーホストって怖いなぁ。ゆい、色恋されてなくてよかったね!」




アヤの言葉に我にかえる



そうだ、動揺しちゃダメだよね・・・

とりあえず、考えるのは後にしないと・・・




「本当だね。でも、それならもう色恋してないんじゃないの?私だってされてないしさ。それを機会に色恋やめたんじゃ?」




平然を装ってはいたけど、頭の中はグチャグチャだった。



そー君・・・これが、ユリエの言うことは信じるなって事なの??

これを信じないにはどうすればいいのかな・・・

完全に否定できる物が・・・

否定できる要素が・・・私とそー君の間にはないよ・・・



「色恋は未だにしてると思うよ。前の店の子でも、どっぷりはまってる子いたし、ゆいがされてないのが不思議なくらいだよ。」




「お金にならないって思ったのかな。それとも、単純に好みじゃなかったのかな。どっちにしても、彼の色恋には気を付けようっと。」




早く、この場から逃げ出したかった。


自分の感情を抑えるのに必死だった。




「ま、今のところされてないんだし、うちらは楽しく飲めればそれでいいもんね。んじゃぁ、飲みに行って来るね~」



アヤがそう言って話を切り上げてくれた




ユリエもまた明日ねと、普通に見送ってくれた。




店の外に出て、しばらく歩いたところでアヤが立ち止まった



「ゆい、大丈夫?」



「・・・うん。ありがとう。助かったよ・・・。」



あの時、アヤがいなければ私は取り乱してたかもしれない。

自分が色恋されてると、泣き叫んでたかもしれない。

不安に押しつぶされて、自分の立場を忘れてたかもしれない。

そんな事したら、そー君に迷惑がかかったかもしれない

ちょっとした噂がすぐに広がる・・・それがホストの世界だから・・・




「とりあえず、落ち着こうか。どっかで、お茶でも飲もう。」



そう言って、ファミレスに2人で入る





「うん・・・びっくりした・・・」




素直な一言だった。


本当にびっくりした・・・




「私もだよ・・・」



アヤもそれだけ言って黙る




「どう思う?なんか、信憑性はかなり高い気がするんだけど・・・」




私の言葉にアヤは少しとまどいながらも・・・



「うん・・・私もそう思う・・・」




「ユリエの言ってたことは事実かもしれないね。今の私には、あれを否定する物持ち合わせてないよ・・・」




「でも、否定する物もないけど、肯定する物もないでしょ!?完全にあの話を信じるのは早すぎるよ。」



アヤが慌ててフォローする



「それもそうだね・・・。」




それも、そうなんだけど・・・

でも、衝撃がでかすぎて・・・冷静な判断なんてできそうにない・・・

聞かなかったことになんてできそうもない・・・



きっと、この話はこれからもずっと私の頭に染み付いて

そー君の事考えるたびに出てくるんだろうな・・・







この話しはきっと、私にもそー君にもかなり手痛い話しだと

そー君がユリエと仲良くするなと言ったわけはこれだったんだろう・・・



だから、尚更・・・ユリエの話が真実であるような気がしてならなかった・・・



信じるなって・・・

ムリだよ・・・

信じなくても・・・絶対に疑っちゃうよ・・・



こんな疑心、持ちたくなかった・・・



色恋されてるかもってだけならまだしも・・・・

結婚してるんじゃ・・・先なんて見えないじゃない・・・