「いらっしゃいませ~」
こうちゃんと腕を組んで、機嫌よく店に入る私
なんだかんだ、こうちゃんはカッコイイし、一緒に歩いてて悪い気分はしない
そー君とはできない普通のデート
それを、こうちゃんがしてくれた
自分が色恋することで、満たされる事があるなんて想像もしてなかった
更衣室で着替えてると、ユリエが飛び込んできた
「いーじゃん♪ばっちりやってんじゃん♪」
「たまたまだよ。2人ともヒマで遊んでたらスロで勝ったから、そのお金で飲みに来てくれただけだよ」
「それでも、いーじゃん♪たまたまとか、偶然って物ほど運命感じる事なんてないんだから♪」
「運命ね・・・」
運命なんて自分で決めるものさ
着替え終わり、ヘアメイクを済ませてキャバ嬢の私が完成する
こうちゃんの元へ行くと
「お、やっぱ違うね。普段着だとかわいらしい感じなのにね。ドレスになると途端に美人になるよね。」
「なにそれー。そんな褒められてもね。なんもでないよ?ってか、何をたくらんでるの?」
「なにも、たくらんでないよ。こんな、美人目の前にして何かたくらむ余裕なんてないよ。」
「本当、口だけはうまいこと、うまいこと♪かっこいいから女の扱い慣れてるのね♪」
「ゆいちゃんには負けるけどね!」
「そりゃ、これでもギリギリキャバ嬢ですから!うまい言い回しはするよ。でも、思ってる事しか言わないよ。嘘つけないタイプだからね。」
「あー!確かに嘘つけなさそうだよねー。でも、それってキャバ嬢には致命的なんじゃないのー?」
・・・まぁ・・・ね・・・
「でも、嘘だけが全てじゃないでしょー。奇麗事かもしれないけどさ、嘘つかずに楽しませる事ができるなら、お互い気持ちいいんじゃないかな?ってね。嘘で塗り固めて接客してもさ、後でばれたらお互い気分悪いじゃん。それは、嫌だな~ってね。」
本当にそう思ってたんだ
せっかく楽しく過ごせても、後で全てが楽しくない思い出にはなって欲しくない
時間をお金で売るってのはそう言う事だと思う
後で、嫌な思い出になるような物は売りたくないよね
「ふーん。なるほどねー。ゆいちゃんは都心のキャバとか行こうとか思わないの?」
「んー・・・行って見たい気持ちはあるけどねー・・・。きっと、機会があれば行くんだろうけど・・・まだ自分からは行かないんじゃないかな。」
「そっかそっか~。行った方がいいよー。ゆいちゃんなら絶対稼げるって~」
「そんなわけないじゃんwでも、行くからにはがんばるだろうけどね。」
都心かぁ・・・
そー君はいつ頃行くのかな・・・
私もそろそろ、連れて行ける客とか考えておいた方がいいかな・・・
たぶん、ほとんど連れて行けないだろうけど・・・
「まぁ、もしも都心に行くことになったらちゃんと教えてよね。」
「ほぇ?」
「俺、来月くらいから都心に行くからさ。そしたら会えなくなるじゃん。だから、都心来てくれたらまた会えるようになるかなって」
「え!?都心行くの??来月」とか、あと1ヶ月もないじゃん~~~。まぁ、会おうと思えば会えない距離じゃないかぁ・・・同じ都内だしねぇ。」
「あ、それは会えなくなるのが寂しいって解釈していいのかな?」
自然にでた言葉だったけど・・・寂しいって思ったんだと思う
「あ・・・うん・・・」
なんか、実感なく出てしまった言葉に照れながら頷く
色恋って怖いな・・・
「会いたいって思ってもらえるなら、会えるよ。俺だって会いたいって思うだろうし。まぁ、まだ1ヶ月あるんだ。それまでに、ゆいちゃんの中で会いたいって思ってもらえるようにがんばるよ。」
「本当・・・どこのホストだよ」
「ちげーし!」
こうちゃんがホストしても売れそうだよな~・・・
顔もいいし、扱い方も上手いし・・・・
何より、話してて楽しいしね
そー君と最近、どんな楽しい会話したっけ・・・・
仕事の話ばっかで、普通の会話した覚えがないや・・・
それでも、好きって思えるのってどうなんだろう・・・
私は、彼を好きになって幸せなんだろうけど
こうちゃんと会話してると、普通のカップルに憧れる気持ちも出てくる
普通にデートがしたいよ
成功するまでがむしゃらに私は走り続けられるのだろうか・・・
そー君と普通にデートできたら、きっとすごい幸せなんだろうな
そんな事を想像するのが、今の私のがんばれる源だった
いつか、そー君と幸せになれる日が来るよね
それを思えば、今の辛さなんてたいした事じゃないんだよね・・・