日帰り旅行その2と続く不運と | 役者・吉田ケツのツケ帳

役者・吉田ケツのツケ帳

ついにアラカンの範疇に達してしまった舞台役者、吉田潔の、仕事でのアレコレ、日常感じたアレコレ……あと、公演情報なども……

ラーメンを食ったフラワーガーデンを出て、
正面入口、つまり発券所がある場所に戻る途中、
施設の外の景色が目に飛び込んで来た。
手前に写る柵の外は観光とは無縁の世界。
敷地一杯に棚が組まれ、大根が干してある。
実にのどかな田園風景というヤツだ。
この施設が出来る前は、この辺りは全て
こんな景色が広がる土地だったのだろう。
どんなキッカケで、この結構な規模の
観光施設が建設されるに至ったかは
知らないが、深く考えると微妙な気持ちに
なりそうなので、止めておこう。

発券所周辺にはもう一つ飲食施設がある。
それがこちら、森のキッチン。
ぶっちゃけ入るかどうかは、どちらでもいい
と言う程度の気持ちだった。
次の目的地に向かうバスの時間まで、
まだかなり余裕があったので、じゃあ
入るか、と入った程度だった。
このバスの時間辺りから、今回の旅行の
雲行きが、微妙に怪しくなって来るとは、
この時はまだ知る由もなかったのだが、
ともあれ、時間があるので入る事にした。
何故かカレーメニューがやたらと豊富だ。
そして、今にしてみると、何故何の迷いもなく
これを選んだのか不思議でならないのだが、
みしまコロッケカレーを注文する。
恐らくウェブ上の何かで読んでいたんだろう。
今、改めてこうしてメニュー看板を見ていると
普段の私ならマグマカレーに走っていても
おかしくないし、肉系も全然アリだと思える。
まぁ、ステーキ系はちと高いとしても、
箱根山麓豚カレーは普通に美味そうだ。
後悔はさておき、カレーそのものは在り来たり
なジャパニーズカレーだったが、コロッケは
確かに美味かった。普通のポテトコロッケと
クリームコロッケの中間のような、滑らかな
テクスチャをしていて、幸せな気分になれる。
食い物にテクスチャという言葉を使う日が
来るとは、思っていなかったが……w

さて、お腹も十二分に満たされたので、
次の目的地、ドラゴンキャッスルを目指す。
帰りしなに撮った写真なので、すっかり夕景
なのは、気にしないで頂きたい。
ご覧の通りのフィールドアスレチック施設だ。
スカイウォークからはバス停三つ程の場所。
とは言え、田舎なので歩くと数十分は掛かる。
時刻は14:25。時刻表を見ると、
次の下りのバスは14:51。歩いても到着時刻は
大差無さそうだ。ならばアスレチック前に
無駄に疲れたくはない。バスを待つ事にした。
だが、そのバスが来ない。
待てど暮らせど来ない。
やっと来たのが、15:09。18分遅れ。
最終受付が15:20なので、この遅れは
かなり焦った。
滑り込みで現地に到着して、受付へ行くが
誰もいない。カウンター上のベルを鳴らしても、
バックヤードに続くと思われるドアを叩いても、
大声で「済みませ~ん!」と呼んでみても、
誰も出て来ない。焦りが募る。
施設の方に直接行ってみると、兄ちゃんが
一人居た。やっとスタッフが捕まった。
受け付けをお願いして、誓約書にサインする。
転落防止のハーネスを装着して、
使用方法のレクチャーを受ける。
所謂ダブルハーネスで、二つ同時には
決して外れない構造になっている。
こういうの考える人って、凄いよね。

さて、閉場までちょうど一時間程。
実はリアル大山詣りに行く少し前から、右手の
指先を怪我していたのだが、事ここに来て
そんな事は言っていられない。
まだ幾らか残る痛みは我慢して、遊びまくろう。
しかも、施設に入場し、歩き始めてすぐに
気が付いた。💩がしたい!
でも、ここで一時中断はしたくない。
施設閉鎖までも時間がないので、勿体ない。
よし。ここは我慢だ!
先の写真を見て頂けると分かるが、
この施設は全部で四階層から成る。
一番上は見晴らし台の回廊なので、今回は割愛。

こちらはまだ一階部分。
この蜘蛛の巣を伝って反対側まで渡る訳だ。
黒・白・赤のロープに青い部品が付いたのが、
転落防止のハーネス。
このハーネスを掛けるワイヤーには触れない
ように言われている。

二階部分には、写真は撮れなかったが、
一本橋を自転車で渡るようなのもあった。
勿論、補助輪が橋を抱き込むように付いてる
ので、自転車ごと転落する事はないのだが、
実際には一本橋の上で子供用の小さな自転車を
漕ぐのはかなりの恐怖だった。
ペダルではおいそれと進めない。
自転車に跨がった姿勢で橋を足で蹴って
進むのが精一杯だった。

三階の高さになると、恐怖感もかなり強まる。
これは、ブランコ同士が縦材で繋がって
いるからまだいいが、ブランコだけのとか、
ロープだけのとかもある。
もう、その緊張感だけで💩ちびりそうである。
その繋がりブランコをこれから渡るよ
………という写真。

木製のベンチ&テーブルで一休み。
ただ、このベンチ&テーブルは三階の高さに
ロープで吊られているだけなので、
ロープを伝ってそこまで行き、座ろうとすると
激しく揺れて、来訪者を拒む。
いざ座った所で、足元はご覧の高さで
宙ぶらりん。少しも気など休まらない。
しかも、ケツの穴は意識して
キツく締めたままである。体も休まらない。

恐らく、これがこのドラゴンキャッスルで
一番有名な仕掛け。
富士山に向かって真っ直ぐ伸びる、
金属製角パイプの一本橋と、その先端に
設置された幸せの(?)鈴。
ただ、実際にやってみると、これは
度胸さえ決めてしまえば、さ程難しくはない。
一応、念の為ハーネスロープを掴んではいたが、
ほぼバランスだけで先端まで行ける。
鈴に手を伸ばす瞬間だけが、ちょっと怖い。
鈴を鳴らすと、施設スタッフが一斉に
祝福の雄叫びを上げてくれる。
尤もこの日は兄ちゃん一人しか居なかったが。

専用のウエストポーチに入れて、
スマホだけは施設内に持ち込めるのだが、
時間にも追われてるし、自撮りでは
実際にロープやブランコを渡ってる最中を
撮るのは至難の技だ。結局、一人旅では
写真はなかなか撮れない施設である事が
判明する結果となった。
しかも、ポーチが引っ掛かったりして、
意外と邪魔になる。家族で来てたりすると、
この面倒で大変な役回りは父親の担当に
なるのだろうな。逆ジェンダーバイアスだな。

かなり駆け足にはなったが、それなりに
楽しめた。取り敢えず受付棟に戻って、
出す物を出してから💩、夕暮れに浮かび上がる
竜の城を後にして、落ち着いて上りバスを待つ。
さっき程ではないが、また遅れての到着。
都心部とは違って、もう仕方ないみたいだ。

バスの外は既に真っ暗と言っていい闇の濃さ。
まだ5時を回ったばかりなのに、暗くなるのが
早くなった物だ。晩飯は、少し足を伸ばして、
前から一度は行ってみたかった店を目指す
予定なのだが、その前にもう一ヶ所
行きたい所がある。まだやっているだろうか?
何せ、この暗さだ。目的地は、このバスに
乗っていれば通り掛かる。
その場所とは三島大社。
やはり真っ暗なようだ。一応降りて見るか?
迷っていると、誰かが降車ボタンを押した。
社内に「ピンポン!次、停まります」の声。
このタイミングは巡り合わせだ。やはり
降りるだけ降りてみよう!そう思い、下車した。
俺、一人だけが。
……………え?どういう事?じゃ、ボタンは誰が?
怖い、怖い!
未だに謎のままだ。
そして、やはり三島大社は真っ暗。
門も閉じられていて、中に入る事すら叶わない。
仕方ない。三島駅のバス停までは後わずか。
歩いて行く事にする。
この判断が、また不運を呼び込む。
駅に近付くという事は、他のバス路線も
どんどん合流して来るという事。
歩き始めて間も無く、駅行きのバスが脇を
追い越して行った。これに乗っていれば!
駅ロータリーに徒歩で到着するのと、ほぼ
同時に「沼津駅行き」17:20発が出て行った。
次の沼津駅行きは17:50発。
電車の時間も見てみるが、どうもパッとしない。
仕方ないので、17:50のバスに乗ろう。
駅前のコンビニで、今再びの便意を解消させて
もらい、ついでに地域限定のビールを入手。
グビグビと飲みつつ、沼津駅を目指す。

前の記事で書いた、みしまる切符。
沼津付近は、その準指定区間に当たる。
つまり、三島駅から沼津駅、或いは
沼津港までなら100円で行ける。
残念ながら、この日の三島駅~沼津港の直通の
バスは、もう無くなってしまっている。
目的の店の最寄りまで行くには、沼津駅で
乗り換えて、沼津港バス停まで行くしかない。
それでも200円で済むのだから、ありがたい。

ここで更に不運に見舞われる。
例によってバスはやや遅れ気味。
それでも沼津駅~沼津港の最終バスには、
ギリ間に合うかな?という感じでヤキモキ
しながら乗っていると、とあるバス停で
停車した際に、制服を着た男性が乗車口から、
運転手に話し掛けて来た。
「済みません。前のバスで車内事故が
起きちゃって、対応しなければならないので、
他の乗客をこちらに乗車替えさせてもらって
いいですか?」
その状況で嫌だとは言えないよね。
「ああ、いいですよ」と運転手。
はい。終わった。
しかもその乗車替えする乗客がなかなか来ない。
確実に終わった。
沼津駅のロータリーに侵入するのと、ほぼ同時に
「沼津港行き」と書かれたバスがロータリーを
出て行った。まさか一日でこんな景色を二度も
見る事になろうとは、誰が思おうか?

仕方ない。店の営業時間や、帰りの電車の
時間もある。ここで無駄な時間は取れないので、
タクシーで行くしか選択肢はない。
タクシー運転手に目的地を告げる。
「済みません。魚河岸丸天のみなと店まで」
「はい」と淀みのない返事。
タクシーは快調に走り出した。
景色もいかにも漁港っぽくなって来た。
もうすぐだ。あ!見えた!あれだな?
タクシー通過…………え?
実はこの辺りには丸天の店舗が二つある。
目指すみなと店と、現在改装の為休業中の
魚河岸店だ。
「あ、じゃアレは魚河岸店だったのかな?
明るかったけどな……」
考えている最中にメーターがカシャッと上がる。
「はい、お客様到着です。魚がし鮨。」
ちっがぁ~~~う!!!
出発前のあの自信満々な感じは何だったんだ。
もう争うのも面倒臭いので、黙って降りた。
丸天の前を通過する時はメーターはまだ
1110円を示していた。払ったのは1200円。
そして無駄に50m程歩かされた。
でももういい。今回、移動では色々あり過ぎて
こんな所にツッコむ気力もない。

兎に角、目的地の丸天に到着。
有名店ですよね?
この頭悪そうな、食い物のシルエットには
見えないかき揚げ丼で有名な、あの丸天ですよ。
だからタクシーにも、安心して乗ってたのに……
チクショー!
でも、念願叶っての、このかき揚げ丼ですよ。
こんな巨大なのに、中までサクサク。
どうやらリング状にしたかき揚げネタの中央に、
揚げ玉を詰め込んでいるようだ。
それを何層も重ねて揚げて行く。
凄いビジュアルだが、食い方には困る。
取り敢えず倒して、縦半分に割ろう。
そう考えて倒した瞬間、テーブル全体に、
中に詰まっている揚げ玉をぶちまけた。
かき集めるのに苦労した。
でも、味には満足。うんまい!
かき揚げって、具材が細かいから、結構
風味が飛んじゃってるのってありませんか?
簡単に言っちゃえばあんまり味がしないヤツ。
ここのはそんな事なくて、海鮮具材が
タップリ入ってるから、サクサクなのに、
ちゃんと海鮮の旨味タップリでした。
せっかくの漁港飯。腹に余裕があれば、
生の海鮮の丼も、と思っていたのですが、
昼飯が遅めだった事もあり、流石に無理。
丼は諦めてちょこっとでいいから、何か
刺身でも……と思い、探していると、
鮪血合い刺しなるメニューが。
これは素晴らしい!旨味は強いが、
すぐに生臭くなってしまう、取り扱いの
難しい食材、血合いを刺身で出すとは。
鮮度に自信が無ければ出来ない芸当だ。
味は、まるで鯨。食感は鮪で味は鯨。
遠くにほんのり「ボク、獣じゃないよ。魚だよ」
という主張が顔を覗かせる。面白い。美味い。
うむ!満足!
三島から大変な思いをして、足を伸ばした
甲斐があったと言う物だ。

帰りの電車までは、まだ十分な時間がある。
タクシーに無駄な金をくれてやった事もあるし、
腹ごなしも兼ねて、駅までは歩いて戻ろう。

電車を待つ間、駅売店で御殿場高原ビールを
仕入れる。腹はまだパンパンなので、
これら全てを帰りの電車の中で飲む気はない。
一本だけ飲んで、後は後日のお楽しみに
取っておこう。
えーっと………確か、帰りに飲んだのは
一番軽そうなピルスだったと記憶している。
それでもなかなかのボディ感があった。
後日談になるが、他の二本も
めっちゃ美味かった。

さて、沼津からJRで小田原まで。
ここでまたエリア跨ぎが発生する訳で、
小田原駅では学習を踏まえて直で有人改札へ。
「済みません、沼津からなんですが……」
「あ、はい。ではこちらで精算致しますね。
この(カードリーダーの)上にPASMOを
お願いします。はい。これで精算が出来ました
ので。ありがとうございます。」
至極ていねいである。
やはり大名商売をしている東海の接客がクソ
なんだ、という事が改めて浮き彫りになった。

実は、ここで私、ちょいとやらかしまして。
ついついPASMOで小田急線の改札を通って
しまった。トイレに行って、出て来た瞬間
そのやらかしに、気付きまして……
改めて改札へ。
株主優待切符を見せて
「済みません。こっちで入るつもりだったのが、
間違えてPASMOで入っちゃって……」
「あ、はい。じゃ入場取り消しますね」
と、ここでもすんなり、丁寧に対応してくれた。
しかし、このわずかなタイムロスが、
この日最後の不運を呼び込む。
このロスで一本乗り遅れた。それは大した事
ではない。次の電車が到着し、乗り込んで
待っていると、
「途中駅で人身事故が発生致しました。
その為この電車、発車を見合せます。」
な………何ですと?!
まあ、結果的にはそこまで大きな遅延は
無かったのだが、それでも帰宅が予定の
11時頃を大幅に回ってテッペン近くなったと
記憶している。
全く公共交通との巡り合わせの悪さには、
とことん泣かされる結果となった旅だった。
それも含めて旅の醍醐味なんですけどね。

あ、でも良く考えれば、一本前の電車に
乗れたとて、事故には巻き込まれていた
公算が強いよね。