10/7 eggman公演内容の小説世界。
結構時間かかってしまった(汗)
今日のストーリーテラーの内容にちなんで、今日(昨日)のライブの物語を創ってみました。
曲順に沿った物語。
またこんなテイストのライブをやりたいと考えてます☆
たった一つの言葉。
それが今の彼女には必要だった。
~Repert~
また朝がやってきた。
私は朝が嫌いだ。
時計のアラーム音がまどろんだ意識を現実に引き戻す。
「はやく仕度しなくっちゃ」
暖かいベッドの誘惑を振り切るように開け放ったカーテンの向こうに色の無い街が見えた。
繰り返しの毎日。
この街は何か大きな歯車で動く機械の様だ。
人も・・・草木も・・・。
縁取りだけの味気ない風景。
大きな川が決壊したかの様に流れる人の波、足早に歩くスーツ姿。
でも、アナタが居てくれたから今の私は幸せだった。
退屈な毎日の景色に色を添えてくれた。
なのに・・・
ベッドの上にアナタの姿は無い。
私が目覚めるより前に仕事に出かけたのだろう。
最近のアナタの行動に、私は少なからず不信感を抱いていた。
疑うわけじゃない・・・只・・・只私は・・・
「いけない、早く出かけなくちゃ」
時計の針にせかされながら、私は玄関の扉を開けた。
~ショコラ~
背の高いヒールを履きこなし、気弱な自分を奮い立たせる。
会社での私の印象は「気の強い女」で間違いはないだろう。
弱い自分は嫌い。
マスカラ、アイライン、そしてこのヒールの鎧でその弱さを包み隠すのだ。
しかし時々思うのだ、弱い自分をさらけ出せたらどれだけ楽なんだろうと・・・。
“コンプレックスは魅力的な個性なのだ”
ふと気が付くと、そんなような歌が街に流れていた。
~Say“love you”~
・・・・・・・・・・。
仕事が終わり家に帰った。
なんだかいつもより疲れている。
この部屋で暮らし始めてからどれくらい経つのだろう。
二人でこの部屋を決めた時、間違いなく僕らは笑顔だった。
なのに最近の僕らはすれ違いばかりだ。
些細な事でケンカを繰り返し、忙しい毎日の中で仲直りをする暇なんて無い。
少しずつ広がっていく二人の溝。
でも大丈夫だ。
一ヵ月後の彼女の誕生日。きっと彼女は喜んでくれるだろう。
僕はとっておきのサプライズを用意してるんだ。
その為に今はいつも以上に働かなければいけない。
彼女が目覚める前に仕事に出向き、そして彼女が眠る頃家に帰る。
話せなくたって仕方がない。
今は我慢の時だ。
安らかな寝顔を眺めながら僕は静かに眠りについた。
彼女の本当に“欲しいモノ”に気付きもしないで・・・。
~また明日~
最近は本当に会話が減ってしまった気がする。
・・・というより怒ってるのか?
彼女は頑なに口を閉ざしてるようにも見える。
彼女の誕生日は一週間後。
大丈夫。まだ日はある。
「また明日・・・また明日話せばいいさ」
気が付くとその日は数日後に迫っていました。
「また明日・・・また明日だ・・・」
そして誕生日の当日。
彼の手の平に小さな指輪。
世間で言われるところの“給料3ヶ月分”の値打ちを持った“永遠の愛の証”
しかし彼が見た部屋は妙に片付き、そしていつもあるはずの安らかな寝顔は・・・
無かった。
~Love song~
好きな人はいますか?大事な人はいますか?
自分の想いを言葉にして伝えてますか?
彼は大事な人を失ってしまいました。たった一つの想いを声に出さなかった為に・・・。
いつも隣にいた彼女の姿に漠然と安心していたが為に。
あれからしばらくの時が経ちました。
いくら時が彼の傷を癒そうとも、人込みの中探してしまうのは彼女の面影。
そんなある日、
夕暮れ時の街の中、少しずつ降り始めた雨。
どこかで見たことのある人影。
そこには確かに彼女がいました。
あの日手の平から滑り落ちてしまった大切な人が、今すぐ目の前にいる。
“今なら伝えられるだろうか?”
気が付くと彼は走り出していました、大切な人の下へ。
君を困らせてしまうようなワガママだけど聞いてほしいんだ。
本当は弱くて傷つきやすい君の心に、ほんの少しでもまだ“僕”が残っているのなら・・・
僕は・・・僕は君を・・・
僕は今でも君を愛しています!
街中に聞こえるかのような愛の叫び。
そこがまるで世界の中心かのように。
きつく抱きしめられた彼女の身体を雨がゆっくりと濡らしていきました。
同じく頬を濡らすものは、雨か・・・それとも・・・
このあとの二人が一体どうなったのか?
それはまた別の話。
また別の機会にお話しするとしましょう。
世界は愛であふれている。。。