大禅師文子の事件簿 第56話「船上のミステリー」 | 大禅師文子Official Blog Turn Me On~私を熱くさせて~

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大波警報が解除され、大禅師文子と七人のヨットマンは湘南のヨットハーバーに向かった。


大禅師文子は、

「ところでヨットって何で動くの?乾電池?ガソリン?太陽電池?」

「??!」

七人のヨットマンは一斉に固まった。

「ダイゼンジさん、風の力ですよ。」
ハセクラがコソっと教えると、

「なるほどねー!風力発電でモーターを回すの!とってもエコじゃない、あなた達見直したわ!さぁ、風を探しに行きましょう!」

と言ってヨットを選びに行ってしまった。

「…。」

ブーミンとハセクラとチーちゃんは顔を見合わせ、呆れていた。

ハーバーに停泊中のヨットマンが大禅師文子を見つけて、

「フミコ、コッチ二乗リナサ~イ♪」

「フミココッチヨ。カモン!」

「フミコ、オレノ船二ノラナイカ?」

「オレトイッショニ、イクンダ!」

「カゼハキモチイイヨ。」

「フミコサン、ボク…」一番無口なボビーが言った。

七人のヨットマンは声をかけて誘って来たが、大禅師文子は誰の話も聞いていなかったた。七人のヨットを見て、

「そうね、あなたのヨットがパッションカラーで一番お洒落だわ。さぁ出して頂戴。」

とボビーのヨットに乗り込んだ。ボビーは無言でヨットを出した。

大禅師に断られたヨットマンは嫌がるハセクラの腕を引き、無理矢理横に乗せていた。

ブーミンとチーちゃんは、ブライアンの胸毛に見とれていると、抱きかかえられてそのまま連れ込まれた。

「レッツゴー!光進丸!!」

大禅師文子を乗せたボビーのヨットを先頭に、他のヨットもスタートした。

「気持ちいいー!最高!やるじゃない、ボビー丸!」

シャイなボビーは何も喋ることなく、ただ黙々とレースに集中していた。

レースはいよいよ本格的になり、ヨットマンたちの表情は険しくなってきた。そして、スピードと駆け引きの要する緊張の瞬間のことだった。
突然、大禅師文子がヨットの上でフラダンスをし始めたのだ。

「!!!」

ヨットは揺れ出し、ボビーは一体何が起こったのかわからなかった。

「ついに夢が叶ったわ、湘南の海でフラを踊りたかったの!aloha~。mahalo~。」

ボビーは自分の操作ミスでヨットが揺れているのかと思いパニックになっていたが、大禅師文子は気にせず踊り続けた。

「大丈夫よボビー丸、落ち着いて。心を笑顔にするのよ。」

「hahaha…」

ボビーは必死で汗をかいていた。


一方、ブーミンとチーちゃんは船酔いでぐったりしていた。ハセクラはニコラスの求愛に疲れうんざりしていた。

そして、全員がボビーのヨットの異様な揺れに気づいた時はもう、遅かった。

大禅師文子は海に投げ出され、助けを求めていた。
「誰か!たすけて!私、泳げないの!でも、ハンサムな人しかだめよ!」

「ダイゼンジさん、大丈夫ですかー!」

「フミコ、イマカラソッチにイクヨ!」

ニコラスのヨットはもがいている大禅師文子の方へと向かったが、

「アブナイー!!!!」

ブーミンとチーちゃんを乗せたブライアンのヨットとぶつかってしまった。

「あー…。」

二つのヨットは転覆してしまった。ハセクラとブーミンとチーちゃんも海に投げ出された。

するとそこへ、救助隊のボートが接近して来た。
大禅師文子が気がついたのは、ハーバーで人口呼吸が終わった後だった。

「私、今夢を見てたの。私が人魚のマーメードになって泳いでいると、素敵な王子様がプロポーズをしてくれたの。だけど、私の胸を触ろうとしたから引っぱたいてやったの!」

大禅師文子の横に、赤いホッペの救助員がいる事も知らずに。

湘南の海は赤い夕日に染まって、暮れて行くのであった。



来週に続く…