大禅師文子の事件簿 第18話「美人菩薩の怪」 | 大禅師文子Official Blog Turn Me On~私を熱くさせて~

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 大禅師文子はマンションで旅ガイドの雑誌を読んでいた。

「美人観音菩薩」と書いたページに目が止まった。
大禅師文子は「私と同じ美人と言うのなら一目会っておかなければ!ほらハセクラ、行くわよ!」
と寝ているタクシー運転手のハセクラとブーミンを無理矢理起こして連れ出した。
「レッツゴー!」大禅師文子は張り切っている。
タクシー運転手のハセクラは「何処に向かうかも分からずに」
と思いながら仕方なく車を出した。

5時間もかけてやっと目的の愛宕神社に着いた。
空気が気持ちいい!思ったより早かったわね!」
タクシー運転手のハセクラは「ずっと寝ていたくせに」とは言えずに車から降りた。
愛宕神社には、2つの階段があった。
大禅師文子は「ねぇブーミン、あなたならどっちを選ぶ?こっちよね!」と言いながら狛犬のいる方の階段を登って行った。しばらく行くと、また2つの道に分かれていた。大禅師文子は「ねぇブーミン、あなたならどっちの道を…」と言いながら傾斜が緩いほうの山

道を登っていた。
歩いても歩いてもなかなか美人観音菩薩は見えてこない。ひと気もなければ道標も何もない。ブーミンとハセクラは「道に迷った」と思っていたが、大禅師文子は「これって遭難じゃないの?美人は死ぬまでに一度は遭難しなきゃいけないのかしら?」と前向きに考えていた。
大禅師文子は頭がフラフラしてきて、「ねぇ、私お腹がすいてもう歩けないわ。このキノコ美味しそうね」と自然に生えているキノコを採ろうとした。
「駄目!食べちゃ駄目!」ブーミンが必死に止めようとしたが大禅師文子は「きっとこの山を登る人たちは皆、キノコを食べて頂上までたどり着いたんだわ!きっとこれは試練よ!」
するとその時、タクシー運転手のハセクラが叫んだ。「大禅師さん、あれを見てください!」
タクシー運転手のハセクラが指差す先には、どうやら美人菩薩の冠と思われる蓮の花びらがわずかに見えていた
大禅師文子は「もうすぐ会えるわ!急ぎましょう!」さっきの重い足取りが嘘かのようにすたすたと歩き出した。

美人観音菩薩は天に向かって凛と立っていた。
大禅師文子は「美人と美人のご対面ね!ブーミン、私死んだらこれになりたいわ。誰に相談したらいいのかしら?神主さん?」といつもの妄想が始まった。
大禅師文子は「でもただ立ってるだけじゃ目立たないわよね?美しく見えるポーズを今から考えておかなくちゃ!」
ブーミンは、今日はなかなか帰れないと悟った。思った通り、大禅師文子のポーズを考えている時間は2時間もかかった。美人観音菩薩の向こう側には、綺麗な夕焼けの湖が広がっていた。
大禅師文子は「心中岬」と書いた岩を見つけ、「美人観音様はきっとここで愛する彼と心中したのね!」と突然サスペンスのクライマックスシーンを一人で演じ始めた。
「ハセクラ、あなた刑事役をやるのよ!ブーミンはBGMをお願い!カーット!!」大禅師文子が悲劇のヒロインを演じ始めたその時、大禅師文子は突然岩の上に倒れた。タクシー運転手のハセクラとブーミンは演技だと思って次の台詞を待っていた。しかし大禅師文子は動かなかった。ブーミンが駆け寄ると大禅師文子は、「く、苦しいわ…毒キノコで私を殺そうだなんて…美人薄命とはよく言ったものね…」とよくわからないことを言っていた。
ブーミンは「大丈夫、キノコは食べてないよ、触っただけだよ」と冷静だった。
大禅師文子は「それもそうね」と言って起き上がって、サッサと坂道を下り始めた。
ブーミンとタクシー運転手のハセクラは「やっと帰れる」と胸を撫で下ろして大禅師文子の後について行った。

来週に続く…