東芝Dynabook Satellite L70-C AZ47/VG のキーボード交換をしたので
記録を残します。
色んなノートパソコンを扱いましたがこれほど修理に手こずったノートパソコンは初めて。
究極のメンテナンス性の悪さを体現したパソコンと言える。
キーボードは壊れないという前提で開発したとしか思えない。
保守可用性(MAINTENANCEABILITY)の悪さは天下一品かと
こんなパソコンを作ったので東芝はおかしくなったのでは・・・・・
不具合の状況
親類所有のノートパソコンのログイン画面で連続的に( i )の文字が勝手に入力される。
「愛( i )はどォこからやってくるのでしょう
」
などと歌っている場合じゃない
キーを強く押したり、逆さにしたり、斜めにしててショックを与えたりすると一時的に止まるが
少し時間が経過すると同じ現象がブラウザーでもオフィスソフトを使っていても再発する。
よくあるトラブルのパターン
解析
トラブルの一般的な傾向としてキートップ内部にゴミが入っている場合が一番多いのだが
キートップを外して綿棒でクリーニングしたが 再発
スプレーでごみを吹き飛ばしてみたが 再発
しょうがないのでラバードームを取り外してクリーニングしても 再発
キートップ部の障害ではなく本体側のキーボード基板かな~
キートップ側が悪いにしてもキーボード基板側の相当奥の方にゴミが侵入している・・・・・・
まあどっちにしてもキーボード全部を交換すれば治ると判断した
ここからが地獄の始まり
#1 不具合品の現物
これは既にキートップとラバードームを取り去った後の写真で
パンタグラフという部品は付いたまま
この状態にしても連続インプットはとまらない。
パンタグラフは何らの影響も与えていないので
障害の原因は中央の円のさらに下に起因する。
#2 パンタグラフキーボードとは
キートップの中央部分ではなくAの部分を押してもキーが斜めに
押し下げられることも無くBを支点にCの部分も押し下げられ
キーがスムースに押せるという優れもの。
Bの真下にはシリコン製のラバードームというゴムがありこのゴムの
さらに下方にセンサースイッチがある
東芝に限らずこの構造のキートップがパソコンキーボードの主流
ちなみのテレビのリモコンはこのパンタグラフのないラバードームだけ
がついているパターンですね。
#3 カバー内部の機構
キーボードを取り外すには銀色のベースを外す必要がある。
ところがこのベースの上に機能部品がすべて乗っかっている、つまり部品をすべて
外す必要アリ
この時点で心が折れそうになる。
#4 プラスチックピン溶接
ベースはネジでは無くプラスチックのピンの頭を溶かして溶接で固定している
外すのに手間がかかるし、元に戻す時の固定はどうするのか不安になる。
これはありえない仕様だ
とは言えしょうがないのでピンの頭を折って外す事にした。
50~60か所ぐらいありそう・・・数えるのも嫌になる。
#6 プラスチックピン溶接外の外し方
小型ペンチで挟み切ったりしていたが効率が悪いので
こんな感じでエレクトロドライバーでこじってピンの頭を折る荒業を
使う。
これが比較的効率が良かった。
但し一気にやるのではなく一つ折れたら
さらに大きめのドライバーを突っ込んでさらにベースを持ち上げて
また一個といった感じで少しづつ少しづつピンの頭をへし折っていく
めんどくさがりのだいちゃんに一番向かない作業。
#7 黒い押さえが折れたコネクター
ところがというかやっぱりというかやらかした。
マウスのクリックパッドのケーブルコネクターの押さえピン
を折ってしまう。
心は折れそうだったが実際には部品を折ってしまう。
#8 正しい押さえがついているコネクター
黒い部分が押さえですが#7は折れて無い
折れたピンはマウス用のコネクターなので
代替策としてUSBの外付けマウスが使えるはず
最悪の事態は免れると思う・・・・
というか、もしもの事を考えて一番影響の少ない場所から作業したのだが・・・
#9 全部外した
この銀色のベース(鉄板)の下にキーボードはある。
残ったプラスチック溶接をさらに折りすすめる。
#10 取り外した部品
全部で13点とネジ沢山
右下の五本指はだいちゃん
部品とネジの位置の図はちゃんと記録しておかないとえらい事になるよ~
#11 キーボードにアクセスできた
既にキーボードは外したあとの写真。
キーボードを新品に交換してあとは逆順で組み立てるのだが
例のプラスチック溶接がある
#12 キーボードの固定について
茶色の四角い部分の裏側にキーボードがある。
黄色の部分でわかるがそれぞれのプラスチック溶接の頭にボンドをつけて固定しようとした
ちなみに黄色の部分にはDVDが装着されるのでキーボードの沈み込みは少ないと判断した。
赤い円の部分はCPU基板があり、押さえるものがプラスチック溶接以外何もない・・・・
そこでキーボードの固定がうまくいかなくてもキーを押したときに沈みこまないように
パッドを追加した。
あとは部品を逆順で組み立てて修理完了
使ったツールと部材
普通のドライバー
エレクトロドライバーセット
プラスチック用ボンド
シリコングリス
虫眼鏡
綿棒
AZ47/VG用キーボード(ヤフオクで購入\2,800-)
考察
壊れても良いとの事だったので修理してみた。
プラスチック溶接部の再固定をボンドでやったが、ボンドが乾くまで待つ必要がありとにかく
時間がかかった。
プラスチック溶接がうまくいかない部分にはパッドを入れて補強したが、キーボードがわずかに沈んだ形になってしまった。
ネットではプロの修理屋が断ったという例もあり、確かにプラスチック溶接部分の固定は非常にむづかしいのではないかと思う。
個々のコネクターも頑丈すぎて外れにくいし目に見えないところでとにかく修理しにくい機種だった。
修理屋泣かせの「奇跡の逸品」と言っても過言ではない。
記録だけですのでコメント不可にしています。