ダイワラボやたがらす日記 なぜ武道をやるのか? | ダイワ・ラボ〜八咫烏拳遊記〜

ダイワ・ラボ〜八咫烏拳遊記〜

大和流護身術八咫烏会が主催する練習会「ダイワ・ラボ奈良葛城」のお知らせブログです。
大和流柔術は四天王寺発祥の武道で、初心者、女性、子どもが、最低限逃げるための護身術を練習しています。
体験、飛び入り参加大歓迎です。



先日、患者さんから
「何か運動はやってるんですか?」
と聞かれました。
「35年ほど武道をやっていて、今は合気柔術をやってます」

と言うと
「あー、護身術的な?」
といわれ、
「そうなんです。 でも役に立たないですけどね。」

これを言うと大抵の人は
「役に立たないんですか?」
と疑問に思うようです。

「役にたたないですよ。 あれは打ち合わせで動いてるだけで実戦では無理ですよ。」
と言うと、みんな
「じゃあ、何でやってるんですか?」
と不思議そうに聞いてきます。

みんな運動の目的として「健康のため」「痩せるため」「ストレス発散」など何らかの目的をもって行い、それを達成したら止めてしまったり、再発防止のために行ったり、次の目標を決めて、それに向かって運動をしていきます。

健康のためならウォーキングの方が良いです。
痩せるなら走った方が良い。
ストレス発散ならテニスや山登りの方が良いかもしれない。

武道は「強くなる」「身を守る」という目的がありますが、「強くならない」「身を守れない」のを分かっていながら、じゃあ、何のために武道をやるのか他の人からしたら不思議でしょう。

そんなとき私は大抵
「自分の体のことを知るためです」
と答えます。
技を通して、自分の体のどこに力が入っているか、自分の動きのどこに無駄があるかを知ることで、結果的に健康増進、怪我防止、精神安定などの効果があると思います。

しかしそれは表向きの答え。
私が武道をする理由はやっぱり「幸せになるため」です。

大和流は仏教を根本原理として作られています。
仏教の原理とは何かというと上座部仏教の人も大乗仏教の人も「空」であるということは否定しないでしょう。
この「空」をどういう形で追い求めるかによって「自分が正しい」と主張しあってるのだと思います。

私のやっている大和流柔術も「空」を追い求める方法の一つです。
「空」とは不二であり本来一つのもの。
しかし人間は我により、自分とその他を分けることで自分の優位性を保ち、そしてそれによって自ら不幸になっています。

大和流柔術は、絶対に脱力できない自分と、絶対に脱力させる働きを一つにする武道です。

練習で脱力が感じられたとき、自分の中に「空」の片鱗が見え、それがまたより所になって頑張ろうと思います。

でも、安心してください。
その時感じた「空」の片鱗は間違いなく錯覚ですから。

その意味を練習を通して追い求めていってください。

※画像は文と関係ありません