弓聖阿波研造 2,700円 Amazon |
これもまた大和拳の鬼たくわんぼーず殿に借りた本です。
阿波研造氏と言えば弓道を作り上げた人物。
その生涯を本人の書いたものや講演の内容などから紐解いて、どんな人物だったかを書いた本です。
徳川家の兵法指南役柳生宗矩が剣術に禅の考えを導入しましたから、てっきり弓道にも昔から禅の考えが入っていると思ってましたが、どうやら違ったようです。
明治になっても弓は弓術。
いかに正確に速く的の真ん中に当てるかという考えでした。
それを弓がいらない時代にいかに弓を必要とさせるかという事で、人間形成に役立てようと作り上げたのが弓道です。
当時では弓に禅の考えを導入することにかなりに反発があり、変人扱いするもの、門を去るものも沢山いたようです。
しかしだんだんと弓道を行う人が増えてきて、今や世界中に広まったのは、やっぱりその内容と人物が本物だったからだと思います。
本物じゃ無かったら弟子も育たないし流派も残りません。
武道の世界に良くある「先生だけできる」「弟子にだけかかる」というものはやっぱり指導者が悪いとしか言いようがありません。
阿波研造氏が言うように「弓道で人を幸せにする」というのが、今の平和な時代に武道に求められる役目であり、指導する側もそれに見合う技術と人徳が必要です。
大和流の目的は人を幸せにすること。
弱者を救うこと。
四天王寺発祥のお坊さんの護身術ですから、ただ敵を倒すのではなく、塩田剛三氏が理想とした「敵と友達になる」事が大和流の理想です。
大和流は技は少なく2、3年もすれば簡単に技ができるようになります。
しかしそれはまだまだ入り口に過ぎず、自分を見つめる道具を手に入れたにすぎません。
自分を見つめ、自分を理解したら次の段階の人を幸せにする練習をしなければいけません。
合気道にしても弓道にしても大和流にしても太極拳でも最終的にはみんなが一緒に幸せになるために死ぬまで練習する事が次の時代に繋げることになるのだと思います。
この本に弓道の求める精神段階を図で示してありますが、まさに大和流の理想そのものに感じました。