ビートルズを入り口に洋楽の森へ分け入っていくことになったのは既に述べた。
中学2年生の夏頃から、周りの音楽好きの間ではネクストビートルズの音として、幾つかのバンドの名前があがっていた。
その中のひとつ、ビートルズ同様英国からやってきたこのバンドに耳がとまる。
Led Zeppelin
ヘビー且つキャッチーなリフがなんともカッコよく、またビートルズには感じられなかった「ヤバさ」を持つこのグループに惹かれることになる。
(実はビートルズも十分にヤバい人達だというのは後に知る)
見た目も前面に立つジミーペイジ(G)とロバートプラント(Vo)2人の画力(エヂカラ)も素晴らしく、また美しい。
私がギターを手にしたのも彼らを聴いたことが大きかったかも知れない。
しかし飛行船ヒンデンブルグ号の大惨事をジャケットに持ってくるとはなんとも豪胆な試みである。
現代では考え難いのではないだろうか。
そしてこのグループを知る。
Cream
このアルバム"Wheels of Fire"(邦題 クリームの素晴らしき世界)はその後の聴き込んでいくジャンルの方向を決定してくれた作品である。
特に"クロスロード" や"スプーンフル"での演奏はエリック・クラプトンの名を一躍轟かせたものだろう。
私も痺れた。
元々ロックはブルースから派生したものであるが、このクリームはブルースをロック風に演奏したというより、そのエッセンスを抽出し、ロックの楽曲の中により反映させてみせたバンドであり、一部の嗜好ジャンルに過ぎなかったブルースのカッコよさを世に広めたと言ってもいいかも知れない。
当時インタビュー等でクラプトンが頻繁に「ブルース」や「ロバートジョンソン」を口にするのを知った私は上記"クロスロード"の原曲を聴いてみた。
(クロスロードはロバートジョンソンの作品で自身で演奏し、歌ってもいる)
「・・・クリームの方が全然カッコいいな。。。」
アコースティックギターによるデルタブルースは若い私にはあまりにもtoo muchであったのだ。
成人し、何年か経ったある時、戦前のデルタブルースやカントリーブルースを聴く機会があったのだが、10代のときには感じなかった「ナニカ」がスッと我が身に入り込み、(凄いものを聴いてしまった)との想いが湧き上がる。
それ以来、俄然黒人音楽というものに興味を持ち、ブルースという泥水へはまりこんでいく。
ただ、クラプトンは見た目もプレイも未だにカッコいいのだが、やはり若い頃の方が「もの凄い」プレイであったと思う。
正直、今は昔の貯金で生きているように見えて仕方がない。
いや、どう生きようとそれは本人の勝手である。
他人がどうこう言うことでもないだろう。
そして多くのブルースを聴いて気がついたのは、クラプトンの音は「それほど黒くない」ということである。
*個人の感想です。
しかしながらそれは本人が一番分かっていることではないかと思う。
彼が、というより超えられない壁があるということを。