"ザ・ビートルズ"

やはりこの辺りでこのグループを挙げない訳にはいかないだろう。

姉が持っていた "HELP" のアルバムが家にあり、それを聴いた時に何かのスイッチが入ってしまった。

「なんてカッコいい曲が多いんだろう」

改めて他作品を聴き始めたところ、ビートルズ初期はカバーが多く、スモーキーロビンソンの"You've really got a hold on me"とか、ドネイズの"Devill in her heart"、"Money"など少し黒さを帯びたモータウンの曲も演奏しているのだが、それらの出来が実に素晴らしいのである。

*因みにモータウンとは自動車産業が盛んだったシカゴやデトロイトの街を「モータータウン」のニックネームで呼び、そこから「モータウン」へと変化したもので、その名をとったレコードレーベルである。
黒人のアーティストが多く、黒人特有のリズムを持ちつつポップな楽曲を多く世にリリースしていた。

ジョンレノンの少し掠れた声は古いポップスに実によく合うと思う。

そしてオリジナル曲が増えていく、中期から後期にかけてのアルバムは怒涛の進撃である。

"ラバーソウル"



"リボルバー"



"サージェントペッパーズロンリーハーツクラブバンド"



"ザ・ビートルズ" (通称 "ホワイトアルバム)



"アビイロード"


辺りは何度聴いたことだろう。


今の若者にすれば退屈で心を動かされることも少ないのかもしれない。
教科書に載っていて、学校の音楽室で聴く曲など「カッコいい訳がない」と思うのも仕方あるまい。

しかしビートルズの出現は、近代音楽史に於いてエポックであり、正に事件ですらあったと個人的には思う。

モハメド・アリが単なるボクサーではなく「俺にアジア人を殺す理由は何一つない」と言ってベトナムへの派兵を拒否し社会問題となり、その存在がジャンルを超えたように、ビートルズもただのポップスのグループではなく、存在そのものがジャンルと呼べるような集団であり、それは時を経ても色褪せることはない。

以前、洋楽への入り口となったのはショッキング・ブルーの"ヴィーナス" であったと記したが、その沼に沈み始めたのはビートルズを知ったことがきっかけであったように思う。