此奴を好きな人はあまりいないであろうG。
北海道にはいないといわれるG。
我が家を構成する者達も御多分に洩れずGを毛嫌いしている。
奴が現れた時は私の登場である。
何故なら私は"Gキラー"の異名を持つ選ばれし者なのだから。
(言うまでもないことだが "Gキラー"と言っても読売ジャイアンツに強い投手のことではない。)
「選ばれてあることの恍惚と不安 二つ我にあり」
(ヴェルレーヌ)
の心境だ。
というのは真っ赤な嘘でG退治になんの恍惚も不安もないんである。
あんな、少し動きが素早いだけのカナブンのようなものを何故怖がるのだろう。
もし仮にサイズがスリッパぐらいであったとしたら、不安も覚えるだろうし、中型犬サイズなら警察を呼んでしまうかも知れないぐらいの恐怖はある。
ましてや乗用車クラスの大きさならアベンジャーズを呼びたい。
そうでない限りは私の敵ではない。
ある日の朝
「あ〜!Gだ!だけど動いていない。○○ (家の飼い猫)がやっつけたんじゃないかな。」
と、キッチンの方から家人の声がする。
「で?始末出来る?」
「いやいやいやいや無理無理無理無理」
キラー(私)がキッチンへ行くと、黒っぽい身体を平たくして伏せているGがいて、私が近付いてもじっと動かずにいる。
一応追撃として冷却スプレーを見舞ってみる。
ピクリともしない姿を見て、どうやら天に召されたなと判断。
ティッシュを数枚シャシャッと取り、奴の上に被せ捕獲。
ビニール袋に入れようとして、裏返してみると白っぽいヒダがある。
(ん?)と思い目を近づけると、それはソテーされて濃く色付いた椎茸であった。
いや〜まだ暑い日が続くのだ。