海外を旅していて色んな人に会うことはとても楽しい。

お互いの文化の違いや、どんなことに関心があるのかなどを聞いたり話し合ったりすることも有意義な時間である。

よく聞かれる質問に、住んでいる街の規模や人口に関することが割とあって、普段それを気にしたことが無かったので返答に困ることも良くあった。

宗教のこともよく聞かれた記憶がある。
私はほぼ無宗教なのでそれを言うと「なんちゅうやつ!」的な視線を向けられたことも一度や二度ではない。

神の存在云々の論争は非常に骨の折れることであり、「ああ、これはしたらアカン話題なのだな」と学習したものだ。

またある時、私が日本人と知ると「カラテ!カラテ!What dan?」と聞いてきた少年がいた。
「俺かい?俺は・・そう、two dan だよ」と答えたのだが、すると彼はこう言ったのだ。

「オー 僕はone danなんだ。稽古付けてください!押忍っ!Osu!!」

いや、あの・・・嘘。 ごめんね。



電車の中であった可愛らしい女性は、日本語が漢字・平仮名・カタカナを使い分けるということに興味を持ち、其々の文字で自分の名前を書いて欲しいとリクエストしてくる。

名前を聞くと「マルゲリータ」。
ピザのように可憐な彼女に良く似合っている。

平仮名とカタカナは簡単だ。
さて問題は漢字である。
どう書こう。

(マルゲリータ、、マルゲリータ。。)

まぁ、マルは丸でいいだろう。
ゲリーは、、「ボールを蹴る」の蹴るでいいか。
しかしその字を完全に失念している。
今ならスマホですぐにケリが着くのだが。
(大して上手くはない)
それとも丸・・ゲリ、、いやいやまさかあの字を当てるのは忍びない。

うーむ。
刈はどうだ。
マルゲリータもマルガリータも元は同じ名前だし、日本に帰化したロペスだって呂比須だし、音が近ければいいだろう。
それでいこう。

タはもう田んぼでいいや、丸刈りだけに。

このような顛末で書いた文字は

「丸刈田」

彼女はとても喜んでいたが、私はどこか後ろめたさを感じてはいた。

でも、いくら名前の音をホボそのまま表しているといっても「丸○痢田」よりはずっといいだろう。

今なら「丸蹴多」とか「丸軽板」と書いてあげただろうか。

えーと、あんまり進歩してないな。
ごめんね、マルゲリータ。

今も元気でいるだろうか。