幼少時から音楽好きだった私が初めて買ってもらったレコードは"ウルトラQ"というテレビ番組のサウンドトラックであった。
正確にはレコードではなく赤く透き通ったペラペラのソノシートと呼ばれる音源である。
それでも初めて「自分のレコード」を手に入れたヨロコビはそれはそれは大変なものであった。
その後中学生になった頃、姉が持っていたビートルズの「HELP」を聴き、そのカッコよさに痺れた私はビートルズにのめり込む。
そこからはローリングストーンズ、ジミヘンドリックス 、レッドツェッペリン、ジェフベック、クリームなどのロックの海にドップリ浸かる日々。
すると其処此処に「ブルース」というワードが見え隠れしていることに気づき、そこから歴史を遡り始め、時には妖しく蠢き、カッコよくも時にエッチな感じのするその音楽に辿り着いたのだ。
ギターを始めていたこともあり、当然のことながら自分もブルースマンになりたいと思い、それならどんな名前でデビューしようかと考えた。
そしてどうせならブルースネームを持ちたいと思ったのだ、ブルースファンとしては。
ブルースマンの多くは、本名+ニックネームや、本名とはまるで違うものをステージネームに用いていたりする。
そんな時に見つけた「ブルースネーム早見表」みたいなもの。
すると私は・・・
「スキニー・デイビス」
カッコいいではないか!
ブルースマンの卵ぐらいにはなれた気分だ。
よし、これでいこう。
この名でデビューするのだ。
🌸 🌞 🍂 ❄️
しかし、あれから何年経ったろう。
何度「あけましておめでとう」を言ったことだろう。
そんな名前のブルースマンは未だに露ほども聞いたことがない。
卵のまま腐ってしまったのかもしれない。
それはそうだろう。
先人達がどんな環境・生活・体験・経験を経て、あれだけの音楽を作ったのかを思うとそう簡単にブルースマンになれるわけもない。
同じフレーズや音使いをしても「あの感じ」にはならない。
それは勿論、こちらの技術不足もあるだろうが、それだけではなく彼等には、血や肉に染み込んだ歴史の堆積があるからだと思うのだ。
なので只々、カッコいいプレイの真似事をするだけで満足なのである。
ひいてはそれがいつか私のブルースになるかもしれないし、そうなればラッキー!ぐらいのスタンスで。🎸♫〜